あらすじ
営業1万人・お客様1万人=2万人調査による膨大な検証分析をもとに
12年間・営業4万人を指導してきた、現場に根差す
実践的知見を持つ著者が
「お客様の本音がわからない」という悩みで直面する
各プロセスの「壁」を乗り越えるノウハウを
1冊に凝縮。
「成果を出す営業のメカニズム」を
データとロジックで裏づけ
「誰もが使える武器」として体系化。
「がんばっているのに売れない。なぜ?」
そんな思いが頭をよぎったことのある方に、ぜひ読んでいただきたくこの本を書きました。
いわゆる「営業本」の多くは、「私はこんな努力をして売れるようになった」というストーリーが書かれています。一方、「自分もそれなりにがんばっているのに、結果が出ない。努力が足りないのだろうか?」と悩む方もいらっしゃるのではないでしょうか。
本書は、4万人以上の営業を支援してきた筆者が、営業1 万人+お客様1 万人(合計2 万人)にわたる調査を踏まえ、営業における「急所」を科学的に解き明かした本です。
「急所」を外してしまうと、残念ながら、どんなに努力をしても報われません。しかし、「急所」を押さえたアクション(=「武器」) が身につくと、努力の効率が驚くほど上がり、アポイントや受注が増えていきます。
その急所に対する「武器」を、本書では「ガンバリズムの罠」と「購買者の仮面」というキーワードを用いて、できるだけわかりやすく、すぐに実践しやすい形でまとめました。
営業活動における「急所」とは、「購買者の仮面」の裏にある素顔(=本音)であり、急所を捉えるためには、「ガンバリズムの罠」にハマらないよう注意しながら、お客様が自ら本音をさらけ出したくなる提案活動(=「武器」)が必要です。
本書では、この「武器」を効果的にお使いいただけるよう、結論だけお伝えするのではなく、2万人以上に尋ねたデータの中から、重要なものを抜粋して詳しく解説しています。
「よくあるお客様の表面的なセリフ」に振り回されず、裏にある本音を捉えるプロセスを一緒に考えながら解き進めるように書きました。
「がんばり方を変えたら受注がこんなに増えた!!」こんな喜びの発見がたくさん生まれて、あなたのチームの努力が報われるようになったら、著者としてこの上ない喜びです。
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Posted by ブクログ
営業の科学
2章
大前提
お客様から出てくる「表面的なセリフ」と「裏側にある本音」のギャップが掴めず、表面的なセリフにそのまま対応し、結果として翻弄されてしまう
「購買者の仮面」5パターン
①ヒアリングしてくる営業に、どこまで情報を出していいか判断がつかない
②レベルが高い営業なら会いたいが、レベルの低い営業とは会いたくない
③社内で検討するため、複数の会社から急いで見積もりを取る必要がある
④判断基準が分からないので、まずは「安い価格」で最低限の安心を得ておきたい
⑤詳細な状況を伝えるのが面倒くさいので、とりあえず返答を先延ばしにしたい
・お客様の「仮面」に対するアプローチは実らない
「購買者の仮面」の裏側にある素顔(=本音)が、営業成果を上げるための急所なのです
「確率論的アプローチ」→1件1件の「質が一定以上のレベルである」
100 件のアプローチから1件の受注を獲得できる人は、さらに成功率を高める方法を見つけ、次の段階に進み、100件のアプローチから2件の受注を獲得できる様になります。
成果を上げるフレームワークの盲点
「不信・不要・不適・不急の壁を超える」「Why you・Why me・Why now」
3章
「意思決定に関わるデリケートな情報」の代表的なものは、いわゆるBANTCH(バントチャンネル)と呼ばれる。
Budget:予算
Authority:決済者/意思決定に関わる重要人物
Needs:ニーズの詳細
Timeframe:検討スケジュール
Competitor:競合
Human Resources:社内の組織体制
成果を上げる営業はそもそも「質問することはお客様のためになる」と考えている。
お客様の負担を減らす方法
「お困りごとはAですか?それともBですか?」
→業界の事例・呼び水質問
「はぐらかしの仮面」を外すうえで鍵になるのは「質問の引き出し」です。
5種類の枕言葉を使いこなす
①お客様に「メリット」を作る枕詞
・「御社のビジョン実現のためにお伺いするのですが、今回の導入によってどの様な変化を期待されていますか?」
・「フィット感のある見積もりを作るためにお伺いしたいのですが、ご予算はどの程度をお考えですか?・
・「当社ならではの提案でお役に立ちたいのでお聞きしますが、他にはどちらの会社様を検討されていますか?
②お客様に「コストやリスク」を発生させない枕詞
・「頂いたお時間を無駄にしない様お聞きしたいのですが、今回のプロジェクトで最も優先度の高い課題はなんですか?・
・「間違いがあってはいけないのでお聞きしますが、御社の組織体制や担当の役割分担について教えていただけますか?」
・「後で手戻りが起こらない様にあえて伺うのですが、導入にあたってのご懸念事項はなんですか?」
③お客様の「コスト」を小さくする枕詞
・「最初に一つだけよろしいですか?このプロジェクトの導入スケジュールとして、どのぐらいお急ぎかを教えていただけるとありがたいのですが」
・「お忙しいかと思いますので一つだけよろしいですか?現在ご検討中のソリューションについて、何か特別な要件がございましたら教えてください」
・「最後に一つだけ、今回、意思決定の判断基準として最も優先順位の高いものを教えていただけませんか?」
④お客様の「リスク」を小さくする枕詞
・「個人的なご意見で構いませんので、他社様との比較で弊社の製品についてどうお感じか教えていただけませんか?」
・「可能な範囲で構いませんので、意思決定者の取締役が特に重視される条件や要素を教えていただけませんか?」
・「あくまでも暫定で構いませんので、導入スケジュールについて教えていただけませんか?」
⑤そもそもの前提を変える枕言葉
・「もし仮に、予算のという問題がクリアされたら、いつ頃のご導入になりそうですか?」
・「もし仮に、わがままを自由に言えるとしたら、当社の提案に対してどんな要素を付け加えて欲しいですか?」
・「もし仮に、他者様のサービスを今ご利用中でなかったら、どの様な点で当社のサービスが魅力的だと感じましたか?」
・お客様には「ギリギリまで深く」聞くべし
お客様の3分の1以上は、ニーズをはぐらかして伝えている
→枕詞をつけて質問してもお客様が当たり障りない答えを返してきたとき、さらに突っ込んで聞けるかどうか
購買の鍵は、ポロっとこぼした言葉の「裏側」に隠れている
①発言内容を明確にする
→と、おっしゃいますと
②発言内容の詳細を引き出す
→具体的には
③発言内容の背景を引き出す
→なぜでしょうか
④課題の網羅感を確認し、全体像を捉える
→他にはありますか?
お客様のセリフ→裏にある背景や事情→個人的な想いや感情
4つのフェーズからなる「課題解決質問」
「課題解決質問」とは、お客様が抱えている理想と現状のギャップを明らかにし、そのギャップを埋める自社の提案へとつなぐための質問です。
(=SPIN話法)
フェーズ①
現状を把握
フェーズ②
悩みを深堀
フェーズ③
気づきを促す
フェーズ④
提案に繋ぐ
「買う側の視点」を磨く
→何をわかっていないのかを5W2Hで探る
Why(なぜ:動機や目的)
When(いつ:過去の事実や未来の計画)
Who(誰:登場人物や関係者)
Where(何:テーマやトピック)
What(どこ:場所やエリア)
How(どう:詳細)
How many/How Much(どのくらい:数量や規模)
質問の引き出しを増やし続ける
→「傾聴」だけで終わらせず、意図を持った「質問」を増やし続ける
①「間」と「タイミング」
②「どう聞くか」
③どこまで踏み込んで聞くか
・新たな試みは「楽勝商談」と「惨敗商談」で行う
→質問の引き出しを広げることに挑戦し、経験を積んでいく
・「接戦状況を問う質問」をマスターする
→これから正式なお見積もりを作成しますが、当社からお見積もりを出したら、すぐに決まるような状況でしょうか?
1.「競合」と比較される接戦
→当社の順位を暫定でも把握したい
2.「保留」と比較される接戦
→提案への納得度が低いと、先延ばしになる
3.「内製」と比較される接戦
4章 「忙しさの仮面」
ハイパフォーマー
・誠実さや真面目さ 1位
それ以外の武器も存在する
・課題解決能力
・情報収集力
・プレゼンテーション力
・周囲を巻き込む力
お客様が会うかどうかを判断すること
1位 課題解決
2位 費用対効果
→費用対効果
「XXXの様な課題を抱えているA社様で〇〇に取り組まれることにより、■%の売上アップにつながりました」
事前準備の質
・こちらからの質問や要望に対して、その場でスピーディーな対応がされたとき
・前回の商談で伝えたことを漏らさず盛り込み、資料が作り込まれていたとき
・商談の進行及び時間配分がスムーズで、何のストレスも感じなかったとき
つまり、あくまでも「準備体操」であり、実際にお客様へ価値を発揮する事前準備は「その先」にあること
商品紹介
・的確な返答
・具体的な課題解決プロセス
・他社導入事例
・類似商品の差別化
ハイパフォーマーの勝負
レスポンスの速さ・お役立ち情報
┗お役立ち情報の中身
・商品・サービスの機能や特徴
・商品・サービスの料金プラン詳細
・商品・サービスに関する導入実績や事例
営業感のない方法
・客観的なデータの入った情報
・商品・サービスの情報提供は「5つのC」
┗市場・お客様
┗競合
┗自社
┗お客様にとっての競合
┗お客様のお客様
・カスタマイズされたメール
〜関係構築〜
・対面商談で話した回数
・営業担当者がこちらの質問や要望に素早く対応してくれたかどうか
・商談で営業担当者が本音で正直に話してくれたかどうか
5章 いきなりの仮面
仮面の裏側にある素顔
┗「話が早くて頼りになる営業にお願いしたい」
「高速ラリー」=「クイックレスポンス+密なやりとり」
提案65点→提案80点ど精度を上げていく
・コンタクトの頻度は「週1回以上」をキープする
・初回訪問から5営業日以内で「仮提案」を出す
┗課題への対応
・お客様の悩みや課題、実現したいことをキーワードで整理する
・弊社がどの様に対応できるかの方針を示す
┗費用間
・おおよその費用間がどのくらいになるかを示す
・費用対効果の判断基準を言及する
┗今後の進め方
・これから検討すべき論点や、しないといけないタスクを列挙する
・大まかなスケジュール感や段取りを示す
6章 とにかく安くの仮面
仮面の裏側にある素顔
┗判断基準がよくわからない
①そもそも、「何を基準に判断すべきか」が十分に洗い出されていない
②それぞれの判断基準について、どの様に考えるべきかが具体かされていない
③判断基準が複数ある場合、それらの優先順位がはっきりしない
現場の議論段階で重要視される項目
1位 当社の要望や悩み・課題を的確に整理してくれている
2位 当社の要望や悩み・課題を的確に整理してくれいる
3位 提案を採用した時の費用対効果が分かりやすい
決済者はこれに対して、費用対効果を一番念頭に置いている
要件整理
・網羅感
・具体化
・優先順位
提案書で費用対効果の高さを伝える
・サービス導入によって、売上プラスやコストダウンの定量的な試算が成り立つか
・サービス導入によって、会社全体が成長する将来が描けるか
・サービス導入によって、自社のミッション、ビジョンやパーパスの実現に役立つか
・サービス導入によって、会社のメンバーの心理的負担やストレスが軽減されるか
失注原因の確認
「途中まで迷われていたと思うのですが、当社が落ちてしまった瞬間はいつだったのでしょうか」
=決定的な「場面」を尋ねる
「担当者の『脳内イメージ』にある金額」
「安すぎる他社と比べた金額」
「他の予算枠との間で調整する前の金額」
→お客様の期待値を超えた行動を見せること
見積もり提示前に「テストクロージング」をすべし
Posted by ブクログ
無敗営業シリーズに2019年に出会って、それまでSPINやシップレイほかで学んできた営業ノウハウがすごく体系化され、それ以来すっかり高橋浩一さんの大ファンになっており、連休でぜひ読もうと(読んでレビューまで書ききろうと)後輩と約束した本。 これまで無敗営業や質問力の本は、それこそ10冊以上買っていて後輩にプレゼントしています。 この本もぜひ僕が関連する営業の皆さんには多くの方に読んでもらいたい本ですね。サブタイトルにもありますが「根拠なき指導を一掃する」とは手厳しい。しかしながらメッセージは非常にわかりやすく、さすが高橋浩一さんだなとグイグイ読み進められました。
無敗営業に始まり、チーム戦略、質問力、ほか、高橋さんの本は読み進めてきたのでベースとなる部分があるからこそ読みやすい、というところもありますが、今回は何といっても営業1万人、お客様1万人という事実のデータから積みあがった情報から考察・解説していることもあり、まさにデータドリブン、「お客様の仮面の外し方」に関しても、「忙しさの仮面」の部分を読んでいると、あぁ〇〇君が苦戦している△△さんの対応だな、なるほどなるほど、確かになぁ、と思うところ多数。「検討しますの仮面」の部分に出てくる「決裁者は、権限はあるが決められずに悩む人。提案がきちんと腹落ちするよう、緻密に提案を練りこもう」という部分は、あぁこれは◇◇さんが応対している□□さんへのアプローチだな、「費用対効果は、財務インパクトだけでなく『成長イメージ』『理念の実現』『負担軽減もセットで』」というところなんて、まさに□□さんへの次の提案書に盛り込もう!なんて具体的に思ったりしてました。
2019年より無敗営業で学んだ工夫をいろいろと日々の実践でチャレンジし、おかげさまでハイパフォーマーとは言えませんがいくつか成果が出た事実もあります。 お役立ち情報や高速ラリーや深堀質問、要件整理(要件整理に関してはフォーマットにまで落とし込んでよく活用させていただいています)等々、高橋さんのおかげで確実に実績があがってきている事実があります。 後輩たちにも質問力の本や無敗営業を配ってチームとしての底上げを図っているところです。
そんなところで、P202 の“「課題解決力」「費用対効果」「クイックレスポンス」は個人として取り組むだけでは足りず、会社(チーム)として実現させるタスクであると考えています。”の部分には、ガーンとなりました。ほんとおっしゃる通りですよね。確かに僕ぐらい長いこと営業やってれば確かに「お役立ち情報」も「クイックレスポンス」も意識すればかなりなスピード感で実施できますが、若手社員にはやっぱり難しいですよね。少しでもチームで解決できるネタを少しでも少しでも集めていけるよう行動に変えていこうと感じました。
雑多な感想はこのぐらいにして、以下、抜粋引用となります。(ほんとはもっと多いのですが…)
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P9 「お客様の隠れた本音にはパターンが存在する。 表面的なセリフに振り回されず、適切なアクションを取れれば、商談は前に進むんだ」と言うようになりました。指導が具体的になったのです。
P31 (忙しさの仮面に対して)「今取り組まれている別件について、差し支えない範囲で伺ってもよろしいでしょうか?」
「忙しい」と言われたときは、相手の様子を見て、聞けそうな雰囲気なら「どんな別件で取り組まれているのか」をヒアリングすることを推奨しています。
P53 表面的なセリフとして「検討しますのでお待ちください」と言ってくるお客様のうち86.3%は、心の中では(特定の条件が満たされれば)話を聞いてもよいと思っています。「お待ちください」と言われてそのまま待っていても、受注は増えないのです。
P65
・「とりあえず、予算は決まっていなくて」→「提案がズレないよう、『この金額を超えたらNG』のラインを教えていただけますか?」と聞いて予算感をつかんでから提案する
・「とりあえず、今は忙しいので資料をください」→事例提示をお客様に合わせて工夫した資料をお送りし、アポイントにつなげる
・「とりあえず、すぐに見積もりをくれませんか」→見積もりを送るだけでなく、お客様との高速ラリーで「話が早い営業」を思わせ、信頼を勝ち取る
・「とりあえず、もっと安くなりませんか」→お客様と判断基準を議論して整理することで、費用対効果を感じられる提案をする
・「とりあえず、社内で検討しますのでお待ちください」→お役立ち情報の提供を続けてチャンスを探り、反応があったら再アプローチする
P84「はぐらかしの仮面」を外すアプローチとしては、主に次の3つがあります。
1.お客様の不安をやわらげる
予算を聞いてもはぐらかされてしまう場合は「教えていただければ費用対効果の高いプランを提案できる」、あるいは「お客様が社内コミュニケーションをしやすくなる支援が可能」といったことを伝えるのが効果的です。
2.質問に答える負担を軽減する
お客様が質問に答える負担を減らすために、「答えるのが楽な」形で質問します。
「お困りごとは、Aですか?それともBですか?」のように選択肢を提示して聞くと、お客様の負担を軽減できます。選択肢を示せば、お客様は答えることが楽になるのです。
3.「売り込みの匂い」を消す
提案内容を「営業からの押し付け」だと感じさせないことも重要です。「お客様と一緒に課題解決したい」と示すことで、意に沿わないものを売りつけられる不安がなくなります。
「はぐらかしの仮面」を外すうえでカギになるのは、「質問の引き出し」です。
P89 予算や検討状況を聞こうとする営業にとって、「はぐらかしの仮面」の登場確率は4割以上ということです。(中略)
回答の1位は「質問に答えることによるデメリットやリスクを心配しているから」(30.8%)です。そして、2位は「特に深い理由はないが、なんとなく警戒しているから」(20.6%)、3位が「あたりさわりのない答えを即座に返したところ、それ以上つっこんでこなかった」(13.8%)です。
上位1位~3位は、営業との関係構築不足が原因ではなく、「大したことのない理由ではぐらかしている」ということになります。
P118 「困っていないのでは?」と聞くと、売り込み臭が消える
私は、新規の初回訪問をする際、あるときから「困っていないんじゃないですか?」という角度から質問するのが習慣になりました。(中略)
するとお客様は、「いやいやそんなことないですよ、弊社なんか問題だらけですよ」と、自社の問題点を自分のほうから話してくれたのです。
P166 営業が強い会社ほど、事前準備を徹底しています。(中略)
お客様1万人調査で「あなたが『この営業担当者は事前準備をしてきている』と感じるのはどんな時ですか。よく当てはまるものを1位から3位までお答えください」と質問を投げかけた結果です。
最も多かった回答は、「こちらの質問や要望に対して、その場でスピーディーな対応がなされたとき」(1位23.0%、2位16.8%、3位12.5%でした)お客様は事前準備の質を、「質問や要望があったとき、的確に即答できるか」で見ているということです。
2番目に多かった回答は、「前回の商談で伝えたことを漏らさず盛り込み、資料が作りこまれていたとき」(1位17.6%、2位15.5%、3位12.8%)です。前回の商談で言ったことが漏らさず盛り込まれた資料を見ると、お客様としては「自分の言ったことをわかってくれているな」というポジティブな感情が湧いてくるのでしょう。
そして3番目に多かった回答は、「商談の進行および時間配分がスムーズで、何のストレスも感じなかったとき」(1位14.1%、2位12.9%、3位12.5%)です。
事前準備の質は「レスポンス」と「段取り」で判断されます。レスポンスと段取りによって営業のレベルを示すことで、「時間を使う価値がある」という安心感がお客様に生まれ、「忙しさの仮面」が外れていきます。
P172 時間の配分は、商談の時間が何分であろうとも、概ね前半(拡散)50%、後半(収束)50%となるように組むのがよいでしょう。(中略)
お客様に自由に話をさせているようでいて、最終的にはきちんと着地させる商談は、ひとえに事前準備のなせる技です。
P187 ハイパフォーマーが実践している「レスポンスの早さ」と「お役立ち情報の提供」を、習慣化するにはどうしたらよいでしょうか?
ハイパフォーマーは、課題解決スキルや商品知識が優れており、お客様から何かしらの質問や要望が来たとき、迅速かつ適切に対応し、価値ある情報を提供することができています。これを、単なる個人のファインプレーで終わらせず、組織に展開する必要があります。(中略)
ハイパフォーマーの行動を横展開できている組織は、営業チームに対して強力なサポートを提供しています。(中略)
その結果、組織ぐるみで、お客様からのリクエストに対して素早いレスポンスをしているのです。要するに、ハイパフォーマー営業が真に生まれる組織は「個人戦でなくチーム戦」を前提としています。
P202 「課題解決力」「費用対効果」「クイックレスポンス」は個人として取り組むだけでは足りず、会社(チーム)として実現させるタスクであると考えています。
P231 「スピーディーな仮提案」は組織ぐるみで取り組む
当社では、「初回訪問から2日以内に仮提案を出す」というルールを設けています。課題の整理をして、自社がどのように応えられるかを2日以内で示すことを会社として「ルール」化することにより、助け合う文化も生まれ、営業対応のスピードは大きく上がりました。
P276 お客様1万人調査で、「あなたは営業担当者から見積もりを受け取ったとき、費用対効果をどこで判断しますか。1位から3位までお選びください」と質問した結果です。(中略)
最も多くの票を集めたのは、「サービス導入によって、売り上げプラスやコストダウンの定量的な試算が成り立つか」です。(中略)
2番目に票を集めたのは、「サービス導入によって、会社全体が成長する将来イメージが描けるか」でした。(中略)
3番目に票を集めたのは、「サービス導入によって、自社のミッション、ビジョンやパーパスの実現に役立つか」です。(中略)
そして4番目に票を集めたのは、「サービス導入によって、会社のメンバーの心理的負担やストレスが軽減されるか」です。
たとえば、それまで社内のメンバーが行っていた大変な業務を外部に発注することで、「他に時間をかけるべき業務へ安心して集中できる」というのは、金額には換算できない心理的メリットがあったりします。
P288 特に失注した場合の振り返りは、やり方に注意することが必要です。たとえばこれを「失注原因の分析」のように名付けてしまうと、ともすると失注した本人を責めるような雰囲気になりがちです。
そこで、当社は会議の場でこれをやるときには「ケーススタディ」と定義し、決定した場面の情報からみんなで学ぶ大事な取り組みと位置付けています。
P303 余裕のある予算を確保してもらうコツ (中略)
それには、お客様の期待値を超えた行動を見せることが重要です。特に、新規の営業においては、お客様の期待値が最も低い初期段階のうちに付加価値を感じさせることで、高めの予算を用意してもらう布石を打つのです。(中略)
「多めに確保いただいたほうがプラスになりますよ」というメッセージを伝えられると効果的です。
・ある程度の予算をご用意いただいたほうがROI(投資回収率)があがる
・投資額に応じてお客様のビジネス競争力があがる
・業界トレンドの観点から、各社このぐらいの規模の予算を用意されていることが多い
・この投資は、短期的で考えると損をするので、中長期的な観点から考えていただくべきである
P334 商談終盤の10か条
①今ここに時間を使っている理由
②提案への感触
③進め方の意向
④BANTCH情報
⑤社内における次のアクション
⑥検討上のネックや判断基準
⑦ネクストステップ
⑧当社へのリクエスト
⑨こちらの熱意
⑩直後のコミュニケーション許可
P359 提案に「3つのサブメッセージ」を込める
「当社は貴社の課題解決に貢献できるので、提案を採用してください」がメインのメッセージだとしたら、その下に「貴社はこのような課題にお悩みではありませんか?(課題の把握)」「当社のサービスは、貴社の課題を解決できる希少な選択肢です(解決策の希少性)」「買っていただく費用を上回るメリットを生み出せます(費用対効果)」という3つのサブメッセージを用意します。
P363 できれば、費用対効果の高さを示すシナリオは、一つだけでなく複数考えておけると望ましいです。
たとえば、「将来的にはX億円のプラスインパクトが望める」のような訴求に加えて、「従来の業務で現場担当者に発生していた負担を軽減できる」といったシナリオも準備しておくのがおすすめです。(中略)
「決裁者は、権限はあるが決められずに悩む人。提案がきちんと腹落ちするよう、緻密に提案を練りこもう」と考え、どう支援するかを周到に準備することで、結果的にはうまくいきます。
この準備こそが、決めきれずに悩む決裁者にとって、何よりの「助け舟」となるのです。
P420 お客様は判断に迷い、疑問や反論も思い浮かぶものです。お客様へのクロージングにあたっては、事前にゴールを考えるだけでなく、「起こってほしくないこと」を徹底的にシミュレーションしておくことも重要です。
そうすれば、いざ異論・反論がきたとしても、落ち着いて「もう少し詳しく伺えますか?」と深堀りすることができます。
P429 「がんばること」がもはや人生の土台になっていた私にとって、「方向を間違えた努力がもたらす恐ろしさ」は痛みを伴う教訓でしたが、大きな学びでした。
「がんばれば結果がついてくる」というのは、自分自身に対する叱咤激励としては効果を発揮するのですが、他人に対してこのメッセージを使うと、とても危険だということを実感したのです。
何よりも衝撃的なのは、「みんなが売れる営業組織」になるように、自分としてはできるいことをすべてがんばってきたつもりが、実は組織の成長にストップをかけていたいちばんの原因が「私の誤った指導」だったということです。(中略)
この本は、「ガンバリズムの罠」にどっぷりとハマっていた当時の自分へ語りかけるつもりで書きました。
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以上
読んで伝えたいこと・抜粋したいことが多すぎて、かなりなネタバレになってしまってますが、高橋浩一さん、多くの知り合いにオススメしますのでお許しください(笑)。