あらすじ
ヒトラーの護衛に過ぎなかった親衛隊は、ナチ政権発足後、党や全国の警察組織を掌握。強制収容所を創り敵対勢力を弾圧する。第2次世界大戦開始後は行動部隊、アウシュヴィッツなどの絶滅収容所を起動しユダヤ人の大量殺戮を主導、80万人の巨大な軍事組織・武装親衛隊も併せ持った。本書は、ヒトラーに最も忠実な「エリート」たちの選抜から、ホロコーストの実行、カルト的信仰、戦後の姿までその全貌を描く。解題・芝健介
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Posted by ブクログ
ナチ親衛隊(SS)についていくつかのテーマを持って歴史的に概説した本。少し人名が多すぎて分かりずらいが、もともとはドイツで出ている本のようなので、多分、単に日本人にはあまり馴染みがないだけなのかも知れない。もっとも興味を引いたのが、最終章の戦後に親衛隊がどう扱われたかと言う部分。最近まで(正確には今でも)元親衛隊員が追及され裁判にかけられているとは知らなかった。確かに、戦争時における犯行(蛮行)というのは、果たして機能(歯車)としての兵士の受動的なものなのか、それとも個人としての能動的なものなのかと言うのは測りがたい。ドイツが全体主義的になった時代に親衛隊にだけ全責任を負わせて、他の国民は犠牲者だという考え方(「国民のアリバイ」というらしい)には違和感があるが、全国民に罪を被せるのも現実的には難しいだろうとは思う。これは日本にも当てはまるのだろう。