あらすじ
電子版は本文中の写真の一部をカラー写真に差し替えて掲載。
公家社会と深く交わるなかで王朝文化に精通し、明国の皇帝には日本国王の称号を授与され、死後、朝廷から太上天皇の尊号を宣下される――。三代将軍足利義満の治世はしばしば「皇位簒奪」「屈辱外交」という悪評とともに語られる。だが、強大な権力、多様な事績に彩られた生涯の全貌は、いまだ明らかにはなっていない。本書では、新史料にも光を当て、公武に君臨した唯一無二の将軍の足跡をたどる。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
2015.7.19
武家は公家の世界からつまはじきにされているものだと思っていました。朝廷を蹂躙したのではなく、行事・しきたりを通じて合一へ向けた動きの中で双方を支配していく巨人だったのですね
簒奪説のほうが面白そうですが、その根拠になった事例が他愛もない話でした(残念)
2020.8.8(再読45ページ)
荒廃した朝廷を立て直したイメージを再確認したくて再読
Posted by ブクログ
義満といえば足利3代目で、南北朝統一を果たし、あの金閣寺をたて、明から日本国王に任じられた、という教科書的知識と、マンガ一休さんのややお調子者のキャラクターのイメージだったが、大人になって冷静に考えると数々の偉業を成し遂げた大政治家だろうと思いこの本を読んだ。 この本は京都における諸公卿との関わりが中心に書かれており、武将というよりいかに貴族として振る舞いきったか、貴族内”政治力”に長けていたかが、良くわかる。武将面としては各大名の制御にやはり苦労しており、室町期共通の苦悩のようだ。天皇の政治的立場が最も弱まった時期で寺社勢力により諸行事も滞っていた状況において政治(というより諸行事を)を取り仕切る立場が求められていた時代に、まじめに取り組み行事をこなすのが好きな武家のトップがいたことが、時代の要望に合い稀に見る位階の出世につながったのだろう。