【感想・ネタバレ】友達・棒になった男(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

平凡な男の部屋に闖入して来た9人の家族。善意に満ちた笑顔で隣人愛を唱え続ける彼らの真意とは? どす黒い笑いの中から他者との関係を暴き出す傑作「友達」〈改訂版〉(谷崎潤一郎賞受賞)。日常に潜む底知れぬ裂け目を三つの奇妙なエピソードで構成した「棒になった男」。激動の幕末を生きた人物の歴史的評価に新たな光を当てた「榎本武揚」。斬新な感性で“現代”を鋭く照射する、著者の代表的戯曲3編を収録。(解説・中野孝次)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

安部公房さんの本はこれが初めて。素人ながら、簡単な感想を述べたいと思う。

まず『友達』について。
ページをめくるたびにゾッとするような善意の押し付け。主人公の男の話は誰にも信じてもらえず、ただ孤独であることを許されない様子が非常に気味悪く、滑稽でもあった。
「私たち、友達でしょ?」
「誰かと一緒にいた方が幸せに決まってる」
それはそう、それはそうなのだが。
人は、少なくとも自分は、孤独である事よりもそれをまざまざと見せつけられたり、それが許されないことの方が辛い。押し付けられる善意はむしろ迷惑に感じてしまう。
しかし、実際はその迷惑さは伝わらないことが多いのではないか。
親切には変わりないのが、むしろ厄介なことなのかもしれないし、では全く放置されれば良いのかというと、そうでもない。難しいなぁ。


次に『棒になった男』について。
突然棒になってしまった男、新宿。街。
平凡な日常からの乖離、疎外。自分がこの自然から切り離され、ふらふらと彷徨している感じ。
上手く説明は出来ないが、とにかくこの非日常性の雰囲気が安部公房さん独特のものなのだろうなと感じた。

『榎本武揚』も良かった。最初あまりにボロクソに言われていて少し笑ってしまったが。

ボクシング、鞄の話はもっとよく分からなかったが、何回も目を通してみるとまた違った感想が出てくるのかもしれない。

0
2021年06月27日

「小説」ランキング