【感想・ネタバレ】砂の女(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。家を守るために、男を穴の中にひきとめておこうとする女。そして、穴の上から男の逃亡を妨害し、二人の生活を眺める村の人々。ドキュメンタルな手法、サスペンスあふれる展開のうちに、人間存在の極限の姿を追求した長編。20数ヶ国語に翻訳されている。読売文学賞受賞作。(解説・ドナルド・キーン)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

 読みやすい文体なのに、サラッと読めないストーリーのため読み終えるのに長時間かかった。そのため読後直後は☆4。しかし、考えを深めるにつれて☆5。
 最後のシーンが深く心に残り続ける。執着心は愛情に擬態する。男が物語のラストで選んだものは、救いがないと同時に救いのあるものだった。この二重構造、すざましい作品だ。

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2026年01月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

失踪から7年たって死亡の認定を受けたと小説の最初に書かれた時点で男が逃げられないことは確定していたが、正確には逃げられなかったのではなく最終的に逃げようとすらしなかったという終わり方にするのが良かった。

これこそ安部公房というような難解な比喩が定期的に書かれていて、そこを読むのに体力を使った

に閉じ込められて初めて普通の生活に固執する意味を考えるようになるという展開が自然で良い。自由は必ずしも全ての人間に望ましいものではない。

政府は砂の被害に対する対策を支援しないという無責任の結果、塩の入った砂を流通させるという部落民の無責任が生まれてしまった。

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2026年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

安部公房らしい奇想天外な設定だが、「砂」に対するの論理的な着眼点が世界観に説得力を持たせる。不条理に囚われた主人公の男に共鳴するかのように、ずっと口の中に砂が入ってるかのような居心地悪さを抱えながら、夢中になって読んだ。ずっとどう終わらせるのだろうと考えながら読んでいたが、あそこまで完璧なラストはなかなかない。「罰がなければ逃げる楽しみもない」。自由という甘美な響きはまるで砂地獄のように彼を捕らえの身にするが、彼は最後に現実の砂地獄で生きることを決め、その砂地獄から抜け出すのだ。いや、もっと深い穴にハマってしまったのかもしれない。男と女が暮らす砂地獄が突如として私たちの日常と重なり合ってくる。

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2026年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ニワハンミョウに騙されて命を落とすネズミやトカゲのように、砂に魅せられて騙されて、穴の中での女との生活を余儀なくされる男の物語。

何度かの逃亡が失敗に終わり、最後は逃げられる状況であっても逃げる事はせず、その後7年の間、元の生活に戻る事はなかった男。

極限の生活の中でも生活の充足や生き甲斐を見つけてしまう人間は、哀しい生き物だろうか、それとも幸福な生き物だろうか。
7年の男の生活、生死は不明だが、ある程度充足した生活を送ったのではないかと思う。誰かに強く必要とされる事、新しい家族ができる事、生き甲斐となる仕事(水の採集)が出来たこと。毎日の砂との戦いが日常になれば、他に煩わしい事はない生活。
仮に女や子供が男より先に死んで、穴の中で孤独になった時にせめて後悔のない人生を送ってほしいと思った。

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2026年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

現状との馴れ合いを作品的背景として扱い、砂の底での生活を通して人生における選択の必要性を読者にぶん投げる作品。
描写として虚実皮膜の真髄と言って良いほど精緻な直喩。
語り手、文体の無常な立ち居振る舞いにはあらためて、文学の全ては自由であることを再確認した。
この虚構性と現実性の混同に働きかける仕掛けが世界的に評価されるのも納得。

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2026年01月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

理由らしい理由もなく行方不明になった男がいて、7年後に失踪者として死んだものとみなされた……と、そういう話なのだけれど、その間に男の身に何が起きていたのかを読んでいく作品だった。
孤独の本当の意味に気づいたシーンが印象に残っている。ほとんど正気を失いかけながら、衝動的に命を絶つことのないように日々を過ごしている姿が居た堪れない。逃げ出すことを諦めて監禁場所でおとなしく暮らすか、諦めないで外に出ることを目指すか。これはもう人生なんだと思った。
なぜこんなにも面白い作品なんだろうと不思議になる。人間というものは罰があるから逃げるし、歩かないで済む状況になればむしろ安心し、馴染んでいくものなのかもしれない。
世の中すべて自分の希望通りに生きている人は少なく、砂の生活を、そっくりそのまま読者の生活に置き換えることもできるだろうと思う。まるで現実の社会や人間の構造そのものの話を読んでいるかのようで、目が離せない緊迫感があった。

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2026年01月23日

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砂から社会や人生の無常さを投影することができた。
砂に自由を投影していたが、砂による不自由を強いられる。
自由とは、幸福とは、満たされることの重要さを考えさせられた。
不自由さがあるからこそ、目標や意義を見出しやすいのかも。
あんなにも脱走を望んだ彼は、結局は自分の成し遂げたことを理解してもらいたいという欲求を超えることはできなかった。
新種の昆虫を発見するという半永久的な名声ではないにしろ、自分のしたことを理解してもらうという何よりも難しいことは、待ち望んだ外の人たちには理解し難い。

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2026年03月25日

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ネタバレ

読んでる間中、口の中に砂が入ってくる感覚になる。ザラザラしてて、湿っぽくて。砂の本読んでるだけなのに。安部公房すご。
砂の穴の中の生活。地獄なのに、最後は「今じゃなくていい」と逃げるのをやめて引き返す主人公……。そんなものなのかしら。そんな気もしてくるから、怖い。貯水装置を誰かに見せたいという欲望が勝った瞬間……。
こんな世界もあるのか、と、現実逃避できた。
文庫本の誰かのあとがきみたいなの読んでたら、内容めっちゃさらっとまとめてくれてて笑 これ読めばいいのでは?となるが笑
でもやっぱり安部公房の文章を読みたいよね。

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2026年03月24日

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セックスの描写が妙にエロく感じる。
「希望」にて,水が溜まるのをこだわり出すところもなんかいい。

2026年2冊目

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2026年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

砂にさらされることで人生観が浮き彫りになるの、なんか嫌だなあ! 嫌だなあ、という気持ちがずっとあった。人生の本質の一つがあまりにも容赦なく書かれてると感じたからかもしれない。そこに悪意はないけど、だからこそ。
これってタタール人の砂漠を読んだ時と同じ感情かも。奇しくも砂漠モチーフというのも共通(タタール人の方は山岳地帯のイメージの方が強いけど)。 "タタール人の砂漠"には、停滞を破るきっかけとなる役割・それを支えに停滞に甘んじさせる楔の役割、どちらもあったと思うので、そこらへんも似ている。

もし男が一人で放り出されてたとしたらどうなったのか(女がいないとしたら)。
その場合もなんだかんだで停滞を選ぶ気がして嫌だ。

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2026年02月21日

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