あらすじ
眠った魚のように山あいに沈む町花園。この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟”のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。(解説・佐々木基一)
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
砂の女やら密会やら、安部公房の息が詰まる閉鎖的なストーリー、これらってどれも自らの足で閉じ込められに行ってるね、まあこんなはずじゃなかったとはなりますでしょうけど!
Posted by ブクログ
【本の内容】
眠った魚のように山あいに沈む町花園。
この雪にとざされた小地方都市で、疎外されたよそ者たちは、革命のための秘密結社“飢餓同盟”のもとに団結し、権力への夢を地熱発電の開発に託すが、彼らの計画は町長やボスたちにすっかり横取りされてしまう。
それ自体一つの巨大な病棟のような町で、渦巻き、もろくも崩壊していった彼らの野望を追いながら滑稽なまでの生の狂気を描く。
[ 目次 ]
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
ユートピアを目指すため革命を企てる男、花井の指導の下
町からどこか外れた人々がなんとなく集まってできた飢餓同盟
町の権力争いに巻き込まれてどんどん崩壊していく
秘密結社による革命という目的をめぐって
戦後の生きることに強烈な執着心を持った村人達がぶつかっていたり
花井がずれてしまった目的のために狂っていき、そのため周りの人たちが離れていく様子が
非現実な世界からとてもリアルな現実を突きつけてくる
最終的に狂ってしまった花井は村社会の発展のための生け贄なのか?
いろいろ考えさせられるのだが、何を考えさせられているのかまだ分からない
地熱についての科学的な記述とか
人間を計器にしてしまう想像力は安部公房ワールド全開で少し難解だった
“ひもちび”とか“ウルドック”なんていうもじりの言葉遊びが面白い。
複雑に絡んだ人間関係や権力関係、よくここまで作れるなぁ。
Posted by ブクログ
既得権益者が政治経済を牛耳っている田舎町で、地熱発電所を建設して革命を起こそうという男とその同盟者?たちの物語。
革命といいつつ、地熱発電の掘削場所探索の原理は胡散臭く、革命の思想はあやふや。男一人のドタバタ劇のようになり、結局は精神異常者と扱われてしまう。
閉塞感のある組織に不満があるとき、権力を持たない者が一人でジタバタしてもうまくいかない、みたいなよくありそうな話で哀しい。
口の重しには墓石と重い財布。
Posted by ブクログ
安部公房の小説は、不条理とアイロニーと現実とのはざまでストーリーが揺れ動いて、話は面白いのだけど、大変難解な作品が多いとの印象を持っている。この作品はかなりわかりやすいと思うのだけど、それでも、全体を眺めると、大きなテーマが小さな世界に織り込まれていて、読み解くのは大変そうと思った。小説の舞台はスケールも小さく、舞台をみているようなドタバタ劇もあるんだけど、ストーリーを追うだけでは見えないものがいっぱいありそうな感じ。戦後の時期に隆興した現代文学の中でも、異彩を放っていると思う。
以前、未読主要作品のまとめ買いをしたので、時折挑戦したいと思う。