あらすじ
日本推理作家協会賞に輝いた超絶ミステリ。「私は、嘘吐きなのです」。かつての銀幕の美女・美波絹子こと柚木陽子は謎めいた言葉を口にした。蒸発した加菜子が大財閥・柴田家の遺産相続者だったという事実の他に、彼女は何か隠している……。一方、魍魎を封じ込めるという霊能者・御筥(おんばこ)様の奇怪な祈祷と文士・久保竣公の嗜癖が新たな惨劇を生む! 百鬼夜行シリーズ第2作。
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Posted by ブクログ
京極夏彦による百鬼夜行シリーズ第2弾2冊目。
前の巻で起こったバラバラ殺人、少女の殺害未遂事件と新興宗教、謎の研究施設などが少しずつ関連性を見せ始める。京極堂にそれ以上踏み込むなと注意を受けていても知りたい欲求に突き動かされる関口、憧れの元女優を何としても助けたい木場など京極堂の友人たちに加え、カストリ雑誌の編集者・鳥口が非常にいい働きを見せる。時代設定が戦後しばらくということで、東京通信工業のデンスケなどという知る人ぞ知る的な機械も登場する。
本書の中ほどで京極堂はある結論に到達する。それは解決したとしても不幸になる人はいるが、幸福を手にする人はいないという。そして、バラバラ殺人の次の被害者の命を救うべく、青木刑事に依頼する。この過程で少しずつ舞台の裏側が明かされていくが、一瞬、あれ?2分冊だったっけ?と思うほど、探偵小説でいうところの解決編のごとく次々に謎を解いていく。残り一冊でどんな物語が紡がれるのか、心配になる程だ。
しかし、そんな杞憂もなんのそのの展開がこの後待っている。
Posted by ブクログ
今すく出かけよう。彼の娘を
燻っている謹慎中の木場から始まり、『匣の中の娘』の一文で終わる第2巻。
これまで紡がれていた物語を別視点で見ると違う風景が見える。凡てが見えることが良いとは限らないのかもしれません。
今回のおちゃめな京極さんは「そりゃあ僕だ」と云いきる辺りでしょうか。そもそもは君が僕を引っ張り出すからややこしくなったと宣い、楠本頼子の目撃証言を解説しだします。関口センセの小説が引用されているのがちょっと嬉しい。もう少し関口君の幻想的な世界に触れてみたいなーと個人的には思います。
Posted by ブクログ
京極堂シリーズ
美馬坂博士の「匣」から消えた加菜子。謹慎中の木場。青木の訪問。榎木津の元を訪れた弁護士・増岡。榎木津の父親からの紹介で富豪・柴田輝弘の孫である加菜子の捜索依頼。関口を引き連れ頼子の母親に会う榎木津。魍魎を恐れる母親。御亀様にされた関口。京極堂に集まる関口、榎木津、木場、鳥口。京極堂の語る加菜子の転落事故の真相。バラバラ事件の影に現れる黒い男の謎。久保俊公の秘密。消えた頼子。発見された頼子の腕。
2011年6月3日再読
Posted by ブクログ
上巻に次いで中巻は魍魎についての蘊蓄が文字の洪水のように押し寄せてくる。京極堂の知識はどれほどのものなのか!?もうここまで来たら京極堂は全能過ぎて、周辺のメンバーが少しの情報をかき集めてきたらすぐに解明してしまうやん笑
もうすでに解明がほとんど終わってしまった京極堂だけど、まだ中巻。いくつかの事件が解明されているけれど、肝心要がまだ残っている。それも京極堂は分かっている?ならどうやって下巻でのボリュームを稼ぐつもりなのだ、京極さん。
全巻1000ページを超えるボリュームでありながら読んでいてもそんなに疲弊しない。これだけ興味を引き続けさせるこのシリーズはほんと病みつきで、この魍魎編が終わったら次のシリーズ4話目が楽しみになってしまう。さて、下巻、どう締めくくるのか!?