【感想・ネタバレ】「叱らない」が子どもを苦しめるのレビュー

あらすじ

「叱らない」教育に現役スクールカウンセラーが警鐘を鳴らす一冊。なぜ不登校やいじめなどの問題は絶えないのか。叱ること、押し返すことの意義を取り戻す。現在、不登校状態の子どもは小中学校合わせて約30万人。これまでは「無理させず休ませる」支援が主流でしたが、それだけでは改善しない事例が増えてきていると、現役のスクールカウンセラーが警鐘を鳴らします。

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学んだこと
今の子供に必要なのは「社会への押し返し」
そのためには、自分と社会との間に生じる不快感を受け止めなだめられながら納めていき、折り合い点を見つけていくことが必須
自己肯定感とは自分の得意な部分だけを見るのではない。
褒めて伸ばすの落とし穴

自分の実践を振り替えるとなにか失敗したことに対し
「気にしなくていい」と目を背けさせることばかりだったなと感じる。
短期的な目ではなく長期的に子供を見たときに、ネガティブにしっかり向き合わせていきたい

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2025年11月25日

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子供と毎回ゲームのことで喧嘩になることがいけないことだと思っていたけど、お互いに行きすぎない程度に押し合うことは子供が世界からの押し返しを経験することにもなるし、まだ仲直りのきっかけがお互い掴みやすい小学生のうちは、面倒がらずに、このゴチャゴチャしたやり取りをした方がいいのだとホッとした。
叱りすぎないこと、思い通りにいかないときの対応の手本を親が見せることを忘れずにいたい

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2025年09月02日

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私は、「正しい叱り方」がわかりません。
小さい頃は、母に感情的に叱られることが多かったと記憶しています。ただ、叱られすぎたせいか、親の顔色をうかがい、怒られないように行動するようになっていました。自分の行動の何が悪かったのかまでは、あまり考えられていなかったと思います。

そんな幼少期の自分の姿が正しかったとは思わないからこそ、子どもに対して感情的に叱りたくないと強く感じています。しかし、いざ叱る場面になると「正しい叱り方」がわからず、その場しのぎでやり過ごしてしまっていました。

ところが、子どもが2歳後半にもなると、無理なことでも自分の意見を押し通そうとする場面がかなり増えてきました。きちんと対応できるようになりたいと思い、本書を手に取りました。

最近では「褒める育児」がよく取り上げられるようになり、私のように叱ることに抵抗を感じる親が増えているそうです。
しかし、そうした社会環境の中で叱られずに育った子どもたちは、自分のネガティブな面を受け入れられなかったり、過度な万能感を抱いてしまい、不快な感情を処理できなくなってしまうことがあるようです。その結果、小学校の早い段階から不登校になる子どもも増えてきているといいます。

子どもが学校などの社会に適応していくためには、親がネガティブな面も恐れずにきちんと伝えることが大切だということが、本書を通してよくわかりました。特に未就学の時期から、親子で不快な感情を受け止め、整理していく経験を積むことで、子どもは「あなたは大切な存在だ」というメッセージとともに、自分のネガティブな面も受け入れやすくなるのだと分かりました。

叱ることは、子どもから反発を受けることもあり、正直なところ面倒だと感じることもあります。
それでも、子どもが将来、社会に出たときに適応できず苦しまないためには、親が叱るべき場面でしっかりと向き合い、子どもを納得、説得させることが必要だと実感しました。

なお、本書では「何歳から叱り始めるべきか」といった明確な年齢の記述はありませんでした。
そのため、我が家では、3歳くらいまではできる限り本人のやりたいようにさせてあげて、それ以降は社会のルールを少しずつ教え、身につけていってもらえたらいいなと思っています。

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2025年07月31日

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子どもを叱ることがうまくできない、と悩んでいてこの本を手に取った。バイトで子どもに注意する機会があるけど、なんだか「ぱしっ」といかない。この本を読んで、私は子どもが不快になることを過度に恐れていたと気づいた。思い通りにいかず世界から押し返されることを小さな頃から経験するのは大事と知って、したいようにしてあげるだけが優しさじゃないとわかった。ネガティブな部分があるあなたでも大切だと伝えつつ、自分の中にある苦手やわからなさと上手に付き合えるようにお手伝いしたい。

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2025年05月04日

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ネタバレ

タイトルから、「子育ての指南書かな?」、「イチローも『最近の子どもは大変だ。なかなか強く指導されることがないから、よほどのガッツがある子しか成長していけない』と言っていたな」、「経済学者の成田さんも、子ども時代に否定されることの経験は重要と言っていたな」など思いながら手にしました。そうしたことも含みますが、本書の大筋は、不登校を取り巻く環境の変化についての指摘でした。スクールカウンセラーと心理学の先生との共書です。

【はじめに】
「褒めて伸ばす」が定着しているが、それは万能ではない。「褒めて伸びるものもあれば、それでは伸びないものもある」「適切に叱ることで、子どもの成長を促すことができる」 
【第1章 子どもの不適応が変わってきた現代】
・時代によって不登校の原因は変遷してきた。〔戦後〕病気や経済的困窮→分離不安(親から離れて過ごすことの不安)→「学校恐怖症」→「登校拒否」→〔1960年代〕低学年から高学年、中学生へと拡大:心理的つまずき→〔1975年以降〕受験などの教育体制の問題「不登校」→『登校刺激を与えず待つことが大切』支援方針→ひきこもり
・「学校には行くべき」価値観をもつ児童にとって、不登校は「抑え込んだ気持ち」が症状として表れたもの=学校を休むことが有効⇔「学校に行くべき」価値観をもたずに欠席+教育機会確保法(2016年)=やりたくないことはやらない
・小学生59人に1人、中学生17人に1人が、不登校(1年間に30日以上欠席)
・この10年で不登校の小学生は4.9倍、中学生は2.1倍
・社会的学習(他の人がやっているのを見て自分も真似る)も要因
【第2章 成長に不可欠な「世界からの押し返し」の不足】
・不適応の特徴の一つ「思い通りにならないことに耐えられない」
・基本的信頼感(世界に対して安心できるという実感)+能動的な力の感覚(積極的に世界に働きかけていく力)+「世界からの押し返しの経験」が子どもには必要。適切に叱られる、諫められることによってもたらされる「子どもの心の成熟」も絶対に必要。
・「思い通りにならない環境に出会った時の不快感」を親子の関係性の中で納めていくという作業は「子どもが幼い時期の方がやりやすい」→社会的な存在として成長
・「〇〇が怒るから」という他力本願ではなく、共感的に受け止めつつも親自身が押し返すことが大切。
・学校も含めて、その子どもの発達段階に応じた「自然な枠組み」を提示するべき。
・子供時代に押し返された経験がないと、大人になって押し返すことができない。
・「ネガティブな自分」に出会った時に、それを回避したり周囲のせいにしたりするのではなく、それも「自分の一部だ」と認める「こころの強さ」が必要。
・「理解できた時の喜び」が学びの意欲として機能するのは、「未熟であることへの不全感」を感じている人⇔自らの未熟性から目を逸らす人にとって学校は「耳にしたくない情報を与えられる場所」
・社会全体的に、子どもの万能的な自己イメージを下方修正する機会が少なくなり、「ネガティブな自分」を共有する経験がない。その経験不足から、自己イメージが棄損されることへの回避(人のせいにする、問題から目を逸らす)に走りやすくなる。
・「他の児童が叱られているのを見て怖がって学校に行けない」のは、「自他の境界線の薄さ」や「こころの奥底にある自信のなさ」が本質的な原因の時が多い。本質的な改善が必要。
・保護者自身が、子どもの不穏感情と向き合うことが苦手であるということが大きな原因。
【第3章子どもの「不快」を回避する社会】
・△幼少期の万能感に親が共感的に反応しないことで自己愛が適切に発達できず未熟?⇔◎「世界からの押し返し」の経験が少なく自分の不穏感情と付き合うことが難しくなった。
・子供の不快を見分けることが重要。「要らない不快」は不要。「成長のための不快」は必要。
・自分の+-両面を肯定できることが「自己肯定感」。親は子どものネガティブな面をきちんと「押し返し」つつ、「そういうあなたが大切だ」と伝えることが大切。
・児童期の子どもが身に付けるべきは「協力・競争・妥協」(米精神科医ハリー・スタック・サリヴァン)。
・「自分に合わせて環境を変えろ」ではなく、本当の個性は「他の人と同じことをしていても滲み出るもの」であり環境に関わらない、もしくは環境をも自分で変える。
・「自分のことをバカにする」と思う人は、同じ状態の他者をバカにしている人。
・親が課題の分離をきちんとしておかないと、子どもは干渉を不快に思いつつ、全ての課題は親が抱え込んでくれると思ってしまう。
【第4章子どもが「ネガティブな自分」を受け容れていくために】
・「弱くてダメなところのある自分」も自分自身の一部であると認め、受け入れることができる状態を目指して支援をする。
・子どもに「ネガティブな側面」があったとしても関わり続ける、子どもが「ネガティブな自分」を感じている時の不穏感情を大人との関係性の中で納めていく(ごちゃごちゃとしたやり取りを根気強く続ける)ことが大切。その時大人に大きな負担がかかるので、こうした親の窮状を支援することも大切。
・「思い通りにならないこともある」というメッセージを、折に触れて言葉で伝え続ける。
・子どもたちがこの世界で生きていくのに必要なのは、この世界と折り合いをつけながら「うまく巻き込まれていくこと」
・10歳前後を境に「ネガティブな自分にむき合わせる」というアプローチがやりにくく、またその効果が出にくくなる。
・子どもにネガティブな側面があってもそれを認め、「それを含めたあなたが大切」と伝え続けることが大切。
・カウンセラーは、まず「ネガティブなことをやり取りできる関係性を構築すること」が一歩。「あえて触れない」と「触れる覚悟がない」は天地の差。伝えにくいことは「一般論で言えば」と前置きする、相手の発言に「びっくりするという反応」で違和感を伝える、等の手法がある。
・問題のある親は、家庭での対応を変えず、学校のせいにすることが多い。学校に罪悪感や無力感を覚えさせる、「子どもが望んでいる」と訴える等。学校の枠組みを明確に示し、情報共有して社会的に適切な対応を心がける。
・「〇〇してはダメ」ではなく「私は〇〇してほしい」というI messageを送る。他人の言動を変えるのは難しいが、自分の言動を変えるのは比較的簡単。
【第5章予防のための落穂拾い】
・ゲーム内のキャラクターを自身と同一視することで「万能的な自己イメージ」を満たしている場合、家庭で適切な制限がかけられるかが重要。「万能的な自己イメージ」によってゲームにのめり込んでいる子どもほど、傍若無人に振舞い、家族との関係性が遠ざかっていることが多い。親は「好き放題させてしまっている」という状況に目を向け、その中から少しでも押し返せるポイントを探し、親子のコミュニケーションを復活させることから支援を開始する。
・「発達障害だから合理的配慮をする」ではなく、様々な要素を見極めて適切な「押し返し」をすることが大切。
・家庭内のルールの設定も大切だが、それをどのようにして関わっているかも考えて支援。家庭ルールに「通常から逸脱した緩さ」があるから改善しないことも多い。
・①10分を超えて叱らない、②人格を否定しない、③他の子どもと比べない、④子どもはすぐには変わらないし、親の思い通りにもならないと考える。

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2025年03月23日

Posted by ブクログ

良書。新書ながらも大変読みやすかった。
未就学児2人を育てる母として、大変惹かれるタイトルだったので手に取った。

親として長年感じていた違和感(叱らない親が多いと感じるが、そちらと比べると我が家は叱り過ぎ?しかし叱ることをやめるとネガティブなことがあると、すぐに挫けてしまう子どもになるのでは?)が解消された。

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2025年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最近不登校の子どもが増えているのは、褒めて育てる子育ての弊害によるものである。親が子へ間違いや苦手を指摘しなくなり、個を重視するあまり、子どもが社会に適応できなくなってきている。

親は子どもを不快にさせないことが重要なのではなく、不快(思い通りにならない)になった時にどうやっておさめるかを、幼児期に教える必要がある。

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2025年03月16日

Posted by ブクログ

最近教育関係の本をよく読んでいたが、、、この本、きたー。
正直タイトルには違和感があった。叱らないが子供を苦しめる?
最近は褒めて伸ばすのが主流、いいんでないの?と思うことが半分、
確かに今の風潮、ちょっと違うんじゃないか、と思うこと半分。

読み始めるといきなり登校拒否、不登校。
時代遅れの学校なんざ行きたくなかったら行かなくてもいい、そう思ってた。
しかし読み進めるにつれ、、、そればかりではない。
子供の時からなんでも思うようになる、と思わせてしまうことが
どんなにリスクがあるか。どうにもならないことがあることを知るのも必要。
・・・そりゃそうだな。不快だから、と、自分の我儘だけ通していたら
生きてはいけない。
社会に適応することが必要だと。
社会に振れず、親の庇護のもとであればごり押しできても、
そんなの通用するわけがない。
まして親にも反発し家庭内暴力になるような子は、その後社会では生きていけない。

この本は発達障害にも触れている。
不適応と発達障害の区別は難しいと。
発達障害は周りの協力がなくては今の社会環境で生きていくのは大変。生きづらい。
しかし不適応は、、学べる。親が辛抱して学ばせる。
学ぶってのは暗記じゃない。社会で生きていくことだ。
それを子供の不快を無くす、という安易な方に走ってはいかんのだと、、

いい本だ!

はじめに

第1章 子どもの不適応が変わってきた現代
1 不登校の歴史を振り返る
まだ説明可能だった不登校/説明ができない不登校の出現/不登校の多様化・あいまい化/不登校はどんな子どもにも起こるが……

2 「登校刺激を与えず、ゆっくり休ませる」はなぜ効果的なのか?
不登校の子どもたちは強い登校圧力にさらされてきた/「登校刺激を与えず、ゆっくり休ませる」という方針について/「学校には行くべき」と反する気持ちを抑え込む子どもたち/抑え込んだ気持ちが悪さをする/「登校刺激を与えず、ゆっくり休ませる」という方針の有効性/「学校には行くべき」という価値観の意義とその変化/意味がないというわけではないけれど……

3 従来のアプローチでは改善しない事例の出現
従来の不登校支援において大切なこと/従来のアプローチでは改善しない不登校の出現/本書で目指すこと
コラム 不登校はなぜ増えているのか?

第2章 成長に不可欠な「世界からの押し返し」
1 思い通りにならないことに耐えられない子どもたち
「思い通りにならない場面」への強烈な拒否感/「思い通りにならないことを受け容れる」ために必要な経験/不快感を関係性の中で納めていくこと/「世界からの押し返し」が少ない子どもは不適応になりやすい

2 「世界からの押し返し」になっていない大人の関わり
「世界からの押し返し」を外注する/子どもの現実を「加工」する/子どもの環境を「操作」する/不快感から目を逸らすための「仲良し」/「押し返し」ができない教師

3 ネガティブな自分を受け容れられない子どもたち
私に「✓」を付けないで!/不登校の主因になり得る「ネガティブな自分を認められない」という特徴/学びの前提は「未熟であることへの不全感」/子どもたちが抱く「万能的な自己イメージ」/こころの奥底にある自信の無さ

4 学校で見られる具体的な不適応パターン
環境に対して過剰に適応しようとする/他の子どもが叱られているのが怖くて学校に行けない/他者を低く価値づける傾向と絶え間ない自己否定/苦しい状況を「操作」する/子どもの問題を抱えられない親の反応
コラム 反抗期って必要?

第3章子どもの「不快」を回避する社会
1 何が子どもたちの不適応を生み出しているのか?
本書で「自己愛」という表現を用いない理由/従来の仮説との相違点について/社会背景が子どもたちの不適応を生み出している可能性

2 子どもを不快にできない社会
学校が変わることの意味/「要らない不快」と「成長のための不快」/「褒めて伸ばす」が変質してしまっている/「やりたいこと」と「できること」/社会の風潮が学校や家庭に降りてきている

3 外界と調和することへの拒否感
「なまはげ」が教えてくれる大切なこと/「外界と調和するつもりがない」というマインド/個性とは他者との関係の中で滲み出るもの/only one とoneof them

4 外罰的な風潮の影響
「恥ずかしい」から「怖い」への推移/他責的なスタイルで生きていくリスク/「自由」と「責任」の連動性を学ぶこと
コラム それって誰の問題?

第4章 子どもが「ネガティブな自分」を受け容れていくために
1 「ネガティブな自分」を受け容れる
支援の目標を考える/「ネガティブな自分」と向き合う/「ネガティブな自分」に向き合わせるための要点/向き合わせることが効果的なのは期間限定である

2 親子関係をもとにしたアプローチ
親子関係から始めねばならないが、母屋を壊してはならない/子どもの状態像に対する親の価値観を確かめる/親が子どもの心理的課題を「正しく認識する」ことの価値/支えとしての「甘え」/「甘え」と「甘えではないもの」の弁別が絶対に必要/支えとしての「安全な対話」

3 本人との「付き合い方」
カウンセリングに来ることの意義/カウンセリングでの本人との「付き合い方」

4 学校との関係がこじれやすい家庭への対応
どんな事例を想定しているのか?/学校とのやり取りで見える特徴的なパターン/学校での対応/経過や予後について
コラム You Message とI Message

第5章 予防のための落穂拾い
1 その他の不適応との関係
従来の不登校/ゲームにのめり込む/発達障害との弁別/身体症状との関わり

2 支援の落とし穴と予防について
見逃しやすい落とし穴/家庭でできる予防の例/学校でできる予防の例

3 最後に大切なことを
子どもたちに関わる大人たち/「誰が支援を行うのか」という視点
コラム スクールカウンセラーは何をしている?

おわりに

引用文献・参考文献

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2025年02月26日

Posted by ブクログ

昨今の【叱らない子育て】に一石を投じた本。
全文、全ページに同意しかない。
学校教育に携わる人は読んでいた方が良い一冊。
絶対にもう一回読む!

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2025年01月30日

Posted by ブクログ

世間からの返しの必要性。親子のごちゃごちゃの必要性。強く納得です。
タイパ、コスパとよく言われるけど、家族にはごちゃごちゃが大事。もめるのが大事。対話が大事。

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2025年01月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

叱らない育児が主流の現代を生きる親世代へオススメ。「〈叱る依存〉がとまらない」という本とセットで読むとバランスが良い。

子どもが社会化するということは、世界から押し返された経験を自分の中で昇華し、その上で自分を表現できるようになるということ。

世界からの押し返しを経験せず、ネガティブな自分を受け入れずに社会化することは難しい。

そのためには親が、社会から押し返されて不機嫌になっている子どもをなだめる必要がある。そうして、子どもは自分でなだめ方を学んでいく。

「不機嫌になられるのが面倒臭い」と思っていた私が、「これも大切なプロセス」と思えるようになった本。

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2025年01月15日

Posted by ブクログ

こういう本を読むと、著者はさぞ立派な子育てをしているんだろうな…と卑屈になることがある。しかし本書は、「鬼から電話がくるアプリを使って、悪いことをした子供を怖がらせた」という著者のエピソードをダメな例として懺悔していて感動した。取り繕わず、自分の失敗を認められるのが真に強い人だと思う。また、「誰でも試行錯誤しているんだ」と親近感も出て、文章が心に響くようになった。

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2024年12月08日

Posted by ブクログ

・責任の範囲を自覚する
・心配ベースで伝える
・自身の未熟性から目を逸らす
・子どもが落ち込むからといって、
 子どもに伝えていることが不要とは限らない
・思い通りにならない環境に出会った時の
 不快感が親子関係の中で受け止められ、
 なだめられながら納めていく
・思い通りにならない場所での体験を通して、
 不快感を納め、環境との調和を経験していく
・その年齢に応じた責任を感じ、引き受けていく
 ことが社会的な成熟のためには欠かせない

心理的衝撃を受ける経験の有無が
大きな別れ道となる。
もう一度読み返そう。

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2024年11月24日

Posted by ブクログ

◆「世界からの押し返し」が成長には不可欠
・「世界からの押し返し」(叱られる、止められる、など)によって現実に合わせて自分を調整していく。
ほどよい母親⇨欲求不満(思い通りにならないこと)を経験させる
・only one(個性の尊重)と、one of them(大勢の中の1人)のバランスが重要
⇨◎なんでも子供のいうことを聞くんじゃなくて、我慢させることも大事。その我慢をさせる軸を明確にしなきゃいけないなと思う。

◆ネガティブな自分を受け入れるために
「弱くてダメなところのある自分」と「弱点のない綺麗な自分」が目の前に現れた時に前者を選べる状態
ネガティブな側面があることを認める⇨ダメであっても大丈夫、と伝える
子供がさらに話したくなる対話

宿題の習慣によって、学習習慣を身につけるだけでなく、「社会からの要請にはある程度応えるもの」というマインドも身につける



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2024年08月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

現場で不登校の子どもたちとかかわる中で感じていた違和感の正体が少し見えたような気がします。

「叱らない子育て」や「褒めて伸ばす」というキャッチーなフレーズだけが一人歩きし、「叱る=悪いこと」という誤解

叱ることは、そのあと訪れるであろう子どもの不穏な感情とも向き合う覚悟がなくてはできないことで、ただそれを丁寧に行なっていくことで、自分自身で感情をコントロールできる人間になっていく。当たり前のことのように聞こえますが、前述した耳障りのよいフレーズを盾に、不穏感情を引き受けて来なかったツケが回ってきているのだろうな、と。

さて、これをどう現場で活かすか、、、
読み込んで、自分の目の前の状況とリンクさせていきたいです

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2024年08月10日

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■親を始めとした大人たちが子供の思いどおりになるように環境を変えてしまうことで、子供自身にもくすうしい状況を「回避」する傾向が身についてしまう。それだけでなく、徐々に子供自身が回避したい状況を「操作」するようになっていく。よく用いられる4つの「操作」の手段。
①身体症状とそれに伴うわざとらしさ
 腹痛や頭痛が代表的。
②弱々しい姿─落ち込む、涙を拭わない、日記などを用いた「操作」
 あからさまに落ち込む、涙を流すなど目に見える形で示そうとするのが特徴。
③不機嫌、怒り、脅し、暴力を用いた「操作」
④「操作」をする子供に多い偏食
■子供の問題を抱えられない4つの親の反応
①子供の不穏感情と向き合うのが苦手
 大きく2つのあり様が認められる。
 一つは「優しい」。特に父親に多い。
 もう一つのあり様が「高圧的」
②人のせい・問題から目を逸らす
③罪悪感や無力感を与える
④罪悪感を帳消しにする
■成長に必要な「不快に耐える肺活量」を持つことで子供たちが「昨日の自分」よりも成熟すること、できないことを共有して「どんな自分でも、これが自分だ」と思えること、知らないことやできないことに取り組むことで「可能の範囲」を増やすことなどは全て、子供が社会的に成熟す上で欠かせないこと。
 しかし社会では、子供を不快にすることを避け、できない自分を棚上げし、「やりたくないことはしない」というマインドが育つような風潮が中心になりつつある。こうした風潮が強くなってきているのは、今までの社会が子供を抑え込んできたことへの揺り戻しなのか、養老孟司が述べるような「西欧近代的自我」が導入されたことが関連しているのか、確実なことは言えないが様々な背景がありそうだ。いずれにせよ子供たちの不適応の増加は、こうした社会の風潮が学校や家庭にまで降りてきていることによって生じたと推測する。
■アメリカの精神科医であるハリー・スタック・サリヴァンは児童期の子供が身につけるべきは「協力・競争・妥協」であるとし、学校という社会に加入することは、家庭教育の歪みが是正されるチャンスであるとも述べた。学校社会の中で、誰かと協力したり競争とその結果に伴う感情を体験したりすること、自分の欲求について妥協することなど、家庭ではしなくて済んでいたことを学校社会で身を持って味わわされるということ。
■「恥ずかしい」と「怖い」では精神内界にて生じるメカニズムがかなり異なる。「恥ずかしい」という体験は自分の内側に生じた感情体験が「自分のものである」という認識があるからこそ生じるもの。「こんなものが自分の内にあるなんて恥ずかしい」という感じ。一方「怖い」という体験は自分の内側にあるものが他者に投影され、投影されたものが自分に向かってくるから「怖い」となる。例えば自分が「ある状態の人」をバカだと思っているとする。だが、自信がその状態になったとき、自分自身をバカであるとは受け入れられないので他者に投影し、その他者が「自分のことをバカにしてくる」と感じるわけだ。つまり、自分のうちにある否定的な感情体験を「自分のものである」とは認められず、それを外部にあるものとみなすために「怖い」という感情が生じる。この自分の内側にあるものを「自分のもの」と認識しているか否かが「恥ずかしい」と「怖い」の大きな違いと言える。
■叱るときのマナー
①10分を超えて叱らない
 叱責されたという感覚だけが残り、叱られている内容は入らない
②人格を否定しない
③他の子供と比べない
④子供はすぐに変わらないし、親の思いどおりにもならないと考える

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2024年07月21日

Posted by ブクログ

現代の子育て環境について感じていた疑問に答えてくれるような一冊。「世界の押し返し」とは言い得て妙である。

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2024年07月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

押し返される経験はたしかに大切かもしれない。何でも自分の思い通りにいくわけではない。大人になってからもそう。きちんと叱ることも大切だと思うが、自分の失敗体験も子どもに語り、押し返されたがそこからどう立ち直ったかという事例を示してあげたいとも思った。

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2024年06月23日

Posted by ブクログ

「世界から押し返される経験」=「思い通りにならない経験」が不足していることで、社会に不適応を起こす子どもが増えるということを、カウンセラーの立場で書かれている。実例も豊富。
親は泣く子に「ただ寄り添う」、「なだめる」ことで、子どもは「できない自分を受け入れてくれる存在」「ありのままを受け入れてくれる=安心していられる存在」だと親を認識できるのだという。
共働きの家庭が多い現状、難しいこともあろうが、子ども第一で考えることが大切であろう。
また、本書の親の事例では、親指導も必要だと感じる例もあった。

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2024年06月05日

Posted by ブクログ


【要点】

・子どもを褒める事は大切だが、褒めるアプローチは万全ではない。
褒めることによってかえって子どもが苦しんでいる状況がある。それが、「世界からの押し返し」の不足。
世界の返しが不足すると、思い通りにならない場面への強烈な拒否感から不適応になりやすい。また、大人も世界からの押し返しになっていない関わりがある。
その結果、ネガティブな自分を受け入れない子どもたちがいる。


・従来の不登校は登校刺激を与えず、ゆっくり休ませる方式が有効だった。しかし、今ではそれでは改善しない事例が増えている。

・理由
世界からの押し返し不足がポイント
思い通りにならないことに耐えられない子どもたち、また大人も世界からの押し返しを外注(自分の子を親が叱らず、鬼からの電話←アプリ などですり替える)、子どもの現実を加工、子どもの環境操作する事例がある。(親も教師も)
その結果、ネガティブな事例を受け入れない子どもたちが「できない」と思う場面に直面すると、不登校になる




★環境への過剰適応も、心の奥底にある自信のなさが関係している。自信のなさが明るみにでないよう、指摘されないように環境に過剰に適用しようとする。

幼い頃から周囲に対して気を張って生活すると、自然と周囲の人の顔色や機嫌を察知し、自分が周囲から批判的な形で扱われないように振る舞うよう調整している。
処世術とも言えなくもないが、不安や恐怖に基づいたものだから、非常に緊張感が高い。そして疲れやすく、状況の変化に敏感で打たれ弱いと言う特徴もある。感覚的には目の奥に緊張感があるような感じ。

一見して非常に規範的で問題がないように見えるため、周囲は「こんなにしっかりした子が苦手なものから逃げるはずがない」と言う印象を抱くことも。

・特に女子に多いが、「本当に信頼できる友達がいない」と語ることも。
(一見して良い関係を築いているように見えても。)
それは彼女らが、自身の欲求を抑えて、周囲に合わせた姿で対人関係を築いており、心の奥では「本当の自分を出したら、友達は受け入れてくれないだろう」と感じ取っているため。



・反抗期がない子ども
理由①子が先に親子関係の段階に進んだのを敏感に感じ、親はすぐに子と同じ段階に進み、段階のズレを解消すれば、子は反抗する必要がない

5つの段階
①親がこの手の届く範囲に置く段階(1歳位まで)
②親が子を手あるいは声の届く範囲に置く段階
(1歳から小学校に入るまで)
③親が子を信じ、期待する段階(小学校時代)
④親が子と距離を取り、子の判断に任せる段階(中学生から大学生くらいの時期)
⑤親と子が対等になる段階(大学生以降)

(例
③親が信じ、期待する段階に子どもはきているのに、②親が高め、あるいは声の届く範囲に置こうとするから反抗する。)


理由②親子揃って年齢にそぐわないような低い段階でとどまっている場合は、良くない。
(例
毎日の学校の荷物や修学旅行の用意を親がすべて用意するケース→ ①の段階)


・褒めて伸ばすつもりが、いつの間にか子どもの問題を指摘しないで、ネガティブなところを示さない形に変質してしまっていることも


・親を始めとした周りの大人が自分の責任の範囲を理解し、それを守っている姿を見せること。
子どもが自分の責任の範囲を踏み超えた時に注意すること。
そこで出てくる子どもの感情を受け止めることが大切。


・「思い通りにならないこともある」経験が大切

・子どもが「ネガティブな自分」に向き合うことが大切
その上で大人は「ダメでも大丈夫」と伝える


・親の要求を聞いている中で、学校が受け入れたことを書面に示せと言うパターンも見られるが、書面を出すのはその時点での合意内容と言うことを強調しておく事は重要。
なぜなら、子どもの状態は日々変わり得るものであり、昨日まで適切だった対応が次の日に不適切なることもザラだから


・×「今日の体調はどう?」と過剰に聞きすぎる。
子どもが身体症状を手放せなくなる。
◎「今日の気分はどう?」「学校に行くのが嫌な気持ちはある?」のように、体よりも気分、気持ちに焦点を当てる聞き方をする方が望ましい。


・テスト
「悪い点数を取るあなただからといって嫌いになる事はないし、悪い点数を取るあなたも大切なんだから、ちゃんと見せて欲しい」と伝えることが大切。

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2024年04月30日

Posted by ブクログ

特に小学生くらいの保護者なら、一つくらいは近しい経験を見つけられるのではないか。
面倒になったり、ラクな方に逃げるように、叱らなかったり、ナアナアで終わらせてしまうことはあるだろうが、
やはり意見を伝えるべきところではきちんと向き合うという、当たり前のことが大切だと気が付かされる。

本書とは違うけど、子どもの叱り方って難しい。
叱る側がヒートアップしてしまったり
怒りの矛先のおさめ方、叱ることをやめるタイミング
など、どうしたらうまくいくのかわからない。
あ、私はいい子だったので叱られる経験があまりないからかな。それはそれで、良くないなと感じる。
自分が不機嫌になることで、怒りを示せるかなと期待するが、実はそんなことは全くないんですよね。。

著者はスクールカウンセラーなので、ちょっと叱り方を習いたい。

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2025年06月07日

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最近の「叱らない」子育て、教育に違和感を感じていたので、同意することがたくさんあった。
なんでも言いなりや、ひたすら褒めて伸ばすというのはもちろん良くない。でも上手に叱ることも難しいので、匙加減が大事だなと思う。
そういえば、子どもが小さい時に鬼から電話がかかってくるアプリを私も使っていた。
叱らずに怖がらすって、ダメなやつだ…
対して、「悪い子はいねがー」のナマハゲはOKっていうのは、理由を読むと納得。
きちんと訊くこと、伝えること。面倒くさがらずにしようと思った。

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2025年02月19日

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子どもには世間からの押し返しに耐えていく力をつけていく必要がある。
自己万能イメージに苦しむ子ども
親は子どもに押し付けている!そりゃそうだ。親だって人間。認めよう。

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2025年01月17日

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現場にいる人だからこその説得力のある本。近年の不登校の多さの理由も何となくわかる気もします。「世界からの押し返し」とは良い表現だと思いました。「成長のための不快」は確かにあるように思います。カウンセラーは心理学にどっぷりつかり、「無条件の肯定」「共感的理解」などが強調されるが、本書はそれだけではなく、現場にそして不登校児や親の実態に即した主張です。どちらかというと教育学に近いように思いました。成長のために必要な負荷があるのは当然だと思います。親も読んでほしい一冊です。

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2025年01月17日

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スクールカウンセラーの著者は、近年の子どもたちは、世界からの押し返し(=適切に叱られる、止められる、諫められる)の経験が不足しているため、「思い通りにならない環境」「万能的な自己イメージが毀損される状況」「自信の無さが露呈する状況」を回避するようになり、それが不登校の要因にもなりうると主張。
おおむね賛同できる内容だったけれど、「押し返しの経験が必要だからとにかく無理にでも学校に行かせるべき」というように、学校や家庭が旧来と変わらず子どもの尊厳や主体性を無視していいと誤解さてないといいなと思った。


ネガティブな自分を受け入れられるようになるため
親との関わりで重要なのは、「思い通りにならない環境に出会った時の不快感」を親子の関係性の中で納めていくこと、という点は納得。
子育てする上で、自分の思い通りにならない経験も必要だと思っているけれど、モンテッソーリ教育に代表されるような自主性を重んじる価値観が主流になるにつれ「ネガティブな場面にも目を瞑る」こととごちゃ混ぜになっているケースもあるように感じる。。
自主性を重んじることと叱らないことを同一視せず、きちんと線引きをして「ならぬものはならぬ」という経験も積ませていきたい。


また、子どもの「ネガティブな側面」も含めて受け入れ向き合い続けることが親の役割であることは心に刻む。決して不快感を与えないようにネガティブな面を示さないことではない。「自分はここが苦手で課題ではあるが、そんな自分でも存在する価値がある」という自己肯定感を育む関わりを幼児期に行っていきたい。

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2024年11月28日

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夏休みが目前ですが、年度が変わって子どもたちを叱ることが多くて、どうにかならないかと考えていた時に出会いました。

思い通りにならないと耐えられない心は、「叱られる」こと「押し返される」ことの経験が少ないために生まれる。
ということが知ることが出来ました。

私が関わる子どもたちの中には、どうして叱られているのかわからない、と言うか「こんなことで叱られるの?」という表情をする子どもがいます。なので、こちらが叱るポイントというか、「今どきはこういうことはどうでも良いことなのだろうか」と思いながら接しています。
でも、子どもたちの今後を考えると譲れないものは譲れないので、しっかりと伝えていきたいです。

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2024年07月14日

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現代の学校という文化に耐えきれない子の背景を探っていく一冊。「なるほど。確かにそういう見方ができるな。」と、うなづく箇所が多かった。
子どもたちの背景を探るための見方や考え方を広げることができた。

ー以下は心に残った引用ー
「学校に行くべき」という価値観をもっていたとしても、それと反するような気持ちも自覚し、表現している。不登校になりやすい子どもほど、登校と反するような気持ちを抑えこむ傾向にあった。
だから、「登校刺激を与えずに、ゆっくり休ませる」が有効であった。環境の調整によぅて、もともともっていた「学校に行くべき」という価値観と、湧き出てきた「登校と反する気持ち」の間で葛藤が生じる。カウンセリングとは「悩むべきことをきちんと悩めるようにする営み」であるというのが本質的なところ。

学びの前提は「未熟であることへの不全感」
不全感を認めきれなく、社会からの押し返しを経験してこないことが、思い通りにならないことに耐えきれない人を育てていく。

「恥ずかしい」自分の内側に生じた感情体験が「自分のものである」という認識があるからこそ生じる。
「怖い」自分の内側にあるものが他者に投影され、投影されたものが自分に向かってくるから生じる。

甘えと押し返し
目の前の人間は自分とは異なる存在であると言う現実を、心の奥底では受け入れられていないと言う状態が濃くなっている。自分と相手との境界線が曖昧なため、親を自分の手足のように扱う発言が見られたり、自分の1部として顎で使って命令することなどが見られます。このような甘えでないものを向けられた人は、相手の1部として扱われるのですから、自身の主体性が奪われたような感覚に陥りますし、これが見極めのポイントでもあります。
無理なく押し返せるポイントを探すことが重要。例えば子供からコップ持って来いと命令され、すぐに取りに行っていたと言う場合、現場では取りに行く事は仕方ないにしてもしょうがないなぁと言いながら行うなどが、小さな押し返しを作ることになる。
子供にネガティブな側面と向き合わせるような強いアプローチが可能になるのは、些細のアプローチがあってこそ。どちらが欠けてもいけない車の両輪のようなものとして考えておくことが大切。

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2024年06月27日

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不登校には「登校刺激を与えずゆっくり休ませる」という対応が主流だが、それでは解決しない例が増えてきた。叱られたことがないため、少しでも不快なことやネガティブな評価をされることに耐えられない子どもが増えているという。大人が持つべき「押し返す」役割とは。
昔のような暴力的な指導が間違っているのは当然だが、今は子どもを傷つけることを恐れるあまり、学校も親も強い対応ができなくなっている。子どもの個性を尊重するとは、嫌がることをすべて遠ざけるという意味ではないはず。思い通りにならないことに対処する術を学ぶことも生きていくためには必要なのだ。

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2024年06月09日

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ネタバレ

不凍港になる子どもたちは、周囲の価値観や欲求を読み取る技術が強い場合が多く、併せて読み取った価値観や欲求に対して「自分を抑えて合わせようとする才能」を持っていることが多い。この結果、限界を超えたりバランスが崩壊したりすると、様々な症状や問題が出てくる。だから、そういう人に対しては「投稿刺激を与えず、ゆっくり休ませる」という方針は非常に有効。

最近の学校で現れる子どもたちの不適応の特徴の一つに「思い通りにならないことに耐えられられない」ことがある。この背景には、親を中心とした「外の世界」から子どもたちの行動に対して適切に押し返される経験が不足していることが挙げられる。

内田樹「自分の無知や幼児性が自分の成熟を妨げているのではないかという漠然とした不安が学びの起動になる」
よって、「自分は未熟だ」という前提がないと学べない。この「自分の未熟さ」を認められない状態になると、学校は「未熟であるという不全感を解消する場」ではなく、「耳にしたくない情報を与えられる場」になり、教員は「未熟であるという不全感から解き放つ導き手」という尊敬の対象から「不快な情報を送ってくる人間」に成り下がる。

間違えた個所について消しゴムで消さないことは、間違った自分と向き合うことである。辞書を引くという時間は、ずっとわからないことと向き合って体験している時間である。

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2025年01月05日

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積極的に休ませる、子供の声を聞いてあげるが主流に思える今、斬新なタイトルだと思ってざっくりだが読んでみた。

数年前までは、「学校には行かなきゃと思ってるけど行きたくない子」が多かったから、上記の休ませる聞くで良かったらしい。

でも今は、上手くいかない勉強、人間関係、不快とかで、小中高色んな年代で「特にこれが超問題です、の理由が無いけど休む子」が増えているらしい。だから、休ませるとかでは解決しない。そういう子には、多少強引でも思い通りに行かない現実や不快に触れて慣れさせることが必要、みたいな内容だった気がする。

感想
私には現在子供がいない。この本を読むと、子育ての難しさがどんどん膨れ上がった。イメージでしか言えないが、時代が変わって、今も昔も大変なことも今だからこそ大変なことも沢山あると思う。それが原因でノイローゼになってしまったり家庭が上手く回らなくなってしまう関係性が悪化してしまうことも少なくなく、子供を育てられないと言う状況にもなってしまい得るのだと思う。
→子供を産む、育てることへの責任を強く意識させられた。軽い気持ちで子供の命を考えちゃいけないと思った。どんな子供が生まれても育てる責任はあるのか、それを実現させる経済力や関係性はあるのか、困難に合っても配偶者や周囲の人とすり合わせをして乗り越えていけるのか。子供を育てることの難しさと責任を強く感じた。

実際子育てをなさっている方は、この本を元に付き合い方向き合い方を工夫出来ると思う。具体的なケースが沢山乗っていて、正直自分でもこうしちゃいそうだ、という話が多かった。共感できる部分が多い。だからこそ、解決策など役に立つと思う。

興味100パーセントで読んでみたが、面白かった。困難さを感じるだけじゃなく、現実的に向き合っていく対処方法や考え方も次の本などで解決したいと思う。

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2024年06月15日

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