あらすじ
福島原発事故は、本当はどこまで深刻な事態に陥っていたのか? 「冷温停止」の年内達成で、一段落なのか? 「汚染水処理」の順調な進捗で、問題解決なのか? 「原子力の安全性」とは、技術の問題なのか? SPEEDIの活用、環境モニタリングの実施は、なぜ遅れたのか? ――原子力の専門家であり、内閣官房参与として原発事故対策に取り組んだ著者が語る、緊急事態で直面した現実と極限状況での判断。【光文社新書】
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
・Fail Safe(人間が失敗しても安全が確保される)とSafety in Depth(ひとつ
の安全装置が作動しなくても、他に幾重にも安全装置が施されている)
・「確率論的安全評価」の限界
・NIMBY;Not in My Backyard Syndrome
NOPE; Not on the Planet Earth
Posted by ブクログ
チェック項目14箇所。原発事故の後の最大のリスクは「根拠の無い楽観的空気」。根拠の無い楽観的空気が広がったとき信頼の喪失が起こる、国民から政府への信頼が決定的に失われる。国民からの信頼を回復するには政府が原子力行政について国民から信頼を失ったことを深く自覚するべき。信頼回復には2つのことをする・・・「身を正すこと」、「先を読むこと」。高レベル放射性廃棄物は極めて長期にわたって(10万年以上)人間環境から隔離し安全を確保しなければならない。東海村の臨界事故は技術的要因ではなく作業員がマニュアルに無い想定外のことを行ったことによるもの。原発再稼動には地元の協力以上に国民の納得が必要、国民感情の理解が必要。ソ連政府は原発事故のとき36時間以内に住民4万5千人を避難させるためにバス3000台を緊急動員した。日本では未曾有で未経験の災害だったため、対策マニュアルも整備されていない、原子力災害において周辺住民を強制避難させる強権を発動できる法律的根拠が無い。リスクマネジメントで最も取ってはならない判断・・・この基準を遵守するとかなりコストがかかる、実際には大した健康コストではないから当面基準を緩めようという「経済優先主義」な判断。リスクマネジメントにおいては「空振りコストは覚悟する」。これから特に大きな社会問題になるのは「将来被爆しによって病気になるのではないかとの不安を抱えながら生きていく」という精神的な健康被害。強力なリーダー出現の願望と幻滅が繰り返されているが真の原因は我々の中に巣食っている「自分以外の誰かが、この国を変えてくれる」という「依存の病」であり、この病こそ克服しなければならない。英雄願望を克服し、自覚を高める、この国を変えるのは他の誰でもない、我々一人ひとりの国民なのだ!