【感想・ネタバレ】バチカン近現代史 ローマ教皇たちの「近代」との格闘のレビュー

あらすじ

フランス革命以降、「政教分離」を推進する近代国家の登場で、ローマ教皇は領土や権威を失っていく。20世紀に入り、教皇はイタリア政治に介入し続け、ムッソリーニの思惑もあり、バチカン市国が成立する。その後バチカンは、「反宗教」の共産主義を常に敵視。ナチスに秋波を送り、戦後は米国に接近、「人権外交」を繰り広げ、それは「東欧革命」に繋がった。本書は、カトリック総本山バチカンの生き残りを賭けた200年を描く。

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Posted by ブクログ

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20141003~1015 近現代史をバチカン視点で俯瞰できる。イタリア統一の事情も初めて詳しく知った。バチカンの活躍により、現在の西欧諸国のキリスト教系政党が成立したことも興味深い。現在のバチカンは、ヨハネ・パウロ2世の時代よりもいっそう困難な問題を内外に抱えていると思う。

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2014年10月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

近現代の世界の変化に対応するヴァチカンの歴史。特に20世紀のソフトパワーを生かした外交手腕は日本も参考になると思われるすごさ。

プロテスタントとの抗争(?)おおむね敗北したあと、改革の芽も出てきて保守派と改革派のせめぎ合いとなる。一方各地で国民国家が生まれ、特にフランス革命後は宗教の否定を含む社会/共産主義も生まれ、対応を迫られる。19世紀半ば以降のイタリアではフランスの影響を受け国民国家への動きが貴族支配を打倒して行く動きが強まる。ヴァチカンは改革派教皇が出てくるが、フランス的国民国家の動きにはついて行けず、むしろ反動で保守的な対応に戻ってしまい、教皇領を失いヴァチカンに限定されてしまう。
イタリア統一/国民国家成立後はむしろカトリックのソフトパワーを生かした動きが強まり、第一次大戦では赤十字と並ぶ人道的支援を積極的に行う。第二次世界大戦前は反共産主義からファシズムを容認する行動に出ることで後々に禍根を残す。
第二次大戦後は反共産でプロテスタントの影響が強いアメリカとも連携し、共産圏のキリスト教勢力と連携し東側との結びつきを保つ。その中で東側最大のカトリック国であるポーランド出身のヨハネパウロ2世が選出され積極的に働きかけ東側の崩壊を促進する様はまさに世界を動かした瞬間につながる。

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2014年04月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

意外と知らなかったバチカンの歴史。フランス革命(ピウスⅥ時代)のバチカンへの衝撃、イタリア統一と初代国王の葬儀の非カトリック化(異教信仰の神殿パルテノンでの実施)によるイタリアとの対立(ピウスⅨ時代)、反ソゆえにヒトラーなど3国同盟側への傾斜と中立(ピウスⅩⅠ、ⅩⅡ時代)、共産主義への脅威からギリシャ正教との和解を目指す第2バチカン公会議の開催、ユダヤ教との和解(パウロⅥ時代)、東欧民主化への影響(ポーランド人法王ヨハネパウロⅡ時代)、バチカンという国が今なお非常に政治的な影響力をもっている歴史でありがら、なおかつ宗教性が深く残っていることが驚きであるとともに、やはりという納得の気持ちとがないまぜに。

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2013年11月06日

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