あらすじ
ピュリッツァー賞受賞の医師による『がん』『遺伝子』に続く圧巻の科学ドラマ。顕微鏡による発見の数々から、感染症やがんとの苦闘、脳の仕組みの解明、最新の遺伝子治療まで、「細胞」からヒトそして生命の本質に迫ろうとしてきた人類の歩みを鮮やかに描くノンフィクション。《ニューヨーク・タイムズ》ベストセラー、《エコノミスト》《ガーディアン》年間ベストブック。解説/仲野徹
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
「すべての細胞は細胞から生じる」というラテン語の格言から、あらゆる細胞の機能について語った下巻。
単純な機能のはずである「細胞」が、まとまり集団になることで「生命」というものを作り上げる。「がん細胞」といったイレギュラーはあっても、それですぐ死ぬことはない。
つまり「生命」にはある程度の裕度が存在するのだろう。このシステムが終わるには本文にあるように「損傷のもたらす猛烈な摩耗が治癒のエクスタシーを凌駕」しなければならない、というわけだな。
後編は主にがん細胞がメインなのだけど、こういった難病だからこそ「自己」や「修復」といった機能に対して解明の糸口となる。戦争こそが科学の発展を助けたという説にならえば、病気こそが医療の発展を助けた、と言えてしまうかもしれない。
しかしここまで精巧に作られたシステムを見てしまうと、インテリジェントデザイン説を信じてしまいそうになるな…。いや、もちろんこれは自然淘汰が生み出したシステムというのは分かっているのだけど。