あらすじ
儂は九州をひとつの国にする
――読み継がれる北方歴史文学の原点
叡山を出て六年余、一三四二年のその日、後醍醐天皇の皇子にして十四歳の征西将軍・懐良は、ついに九州の地を踏む。
それは九州全土を南朝の旗の下に統べるという途轍もない戦いの始まりであった。
薩南で島津と対峙していた時、菊池武光という若者が訪ねてきたことから、
懐良の運命は加速する……。
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Posted by ブクログ
菊池武光公は個人的に好きな歴史上の人物の1人なので、彼を題材とした小説が登場してくれてまず嬉しい。
この小説は九州に住んだことのある人なら一層楽しめて読めると思う。著者が九州出身であるからか、地理描写が非常に明瞭である。物語では懐良親王が南朝勢力の旗頭として鹿児島・薩摩半島に上陸したあと、菊池武光との出会いを経て熊本・菊池に征西府を置いて北朝勢力としのぎをけずりつつ、終には佐賀・筑紫平野で展開される筑後川の戦いを決して福岡・太宰府を奪還する。その他にも、菊池と結びつきのある宮崎・西米良、合戦場の一つである大分・日田、水軍の拠点となる長崎・松浦などが舞台となる。
九州地方の南北朝時代という日本史の中でもややマニアックな部分を題材にしているところも去ることながら、上記の様に九州全土をめい一杯使って菊池武光と懐良親王の物語が描かれているところを自分は評価したい。また、この本を片手に九州各地を巡ると、地理描写の鮮明さ、特に山地の表現の緻密さがわかると思う。