あらすじ
『悼む人』『永遠の仔』の著者が贈る、ノンストップ・クライムサスペンス。
誰もが容疑者。誰もが当事者。
性にまつわる犯罪……ジェンダー・クライムは連鎖する。
土手下に転がされていた男性の遺体。
暴行の痕が残る体には、メッセージが残されていた。
「目には目を」
なんと男の息子は、3年前に起きた集団レイプ事件の加害者だった――。
次々現れる容疑者、そして新たな殺人。
罪を償うべきは、あなたかもしれない。
天童荒太の原点回帰にして、記念碑的作品!
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Posted by ブクログ
最後の最後まで読めない展開づくりはさすが!
性暴力の根底にあるミソジニー、男尊女卑。性暴力は魂の殺人であり、被害者を一生に渡って苦しめるし、その周囲をも巻き込み苦しめていくのにも関わらず、その被害の深刻さは軽視され、「そんなことで大げさな」「あなたにもすきがあったんじゃないの」「ひとりで夜道を歩くから」「なんでもっと気をつけなかったの」等などのセカンドレイプが繰り返される。「明確に拒否しなかったのは同意していたから」なんて、まじハラワタ煮えくり返り案件である。日本は本当に、ちゃんと幼少期から、正しい性教育を行うべき。あわせて人権教育も。性暴力は人権蹂躙だから。
一方で、怪我によって性行為ができなくなった志波と恋人の、性行為を前提としない恋愛関係、信頼関係が沁みる。好きな人と性行為をしたいと思うのは当然だし、支配関係のない対等な性行為は素晴らしいものだけど、それがないからといって関係性が不完全というわけではない。恋愛と性的感情は似ているけど違うことも、あわせて学びが必要かも。
Posted by ブクログ
この本を選んだ動機を忘れてしまいましたがこれから読み始めます。
謝辞の冒頭に、できるだけ現実に即した、身体だけでなく、精神的にも人々を苦しめつづける被害を取り上げるように努めた。とあるように読み進めていてとても辛く読むのを辞めてしまおうか、とも考えました。
伊坂幸太郎さんのグラスホッパー、マリアビートル、AXと読み終わり三冊分よりさらに辛い内容だったからです。
この作品で問題提起しているように主人とか昔からの表現が呪い?的に人を縛っているところもあるのだろう。
言葉は選んで使わなければいけないなと思いました。
別件で夕方友人とした会話の中で謝られてしまい何で謝るの?と聞いたらだって戻るのが遅かったという意味でしょ?と言われてしまい自分の無自覚な発言に反省したました。
後半暖かな場面が多くなり安心して読み進めることができるのは良かった。
Posted by ブクログ
育ってきた環境が違うから、自然に男女性差別は身につくのさ。警察という一般企業とは異なる環境は、きっと男女差別が令和verにアップデートは追いついていないだろう。
ベテランと若手新進気鋭のバディによって、ベテランの考えがアップデートされる。
話のモデルには、実在する歌舞伎町の女性保護団体や政権寄りジャーナリストによるレイプドラッグ事件も出てくる。
日本はいつになったら、性被害者に寄り添った法案ができるのか。
Posted by ブクログ
ある殺人事件からその背景にある過去の事件をも追うミステリー小説。
殺人の次に許せないのはレイプです。
ある意味、殺人以上に被害者及びその周辺が苦しむかもしれません。
ということで、背景にある過去の事件とは集団レイプです。
最後はなんとなく救われたというか微かな光みたいなものが見えたのは良かったです。
ちなみに、自分も配偶者の呼び方が気になっていて、普段は「相方」と紹介しています。
時々、芸人の方ですか?とか同性の方ですか?とか言われるので他の言い方がないか模索中です。
「パートナー」呼びはしっくりこないので既に却下しています。
Posted by ブクログ
全裸で男の遺体が発見され、犯人を捜す年齢も性格も違う2人の相棒刑事。事件には被害者の息子の過去のレイプ犯罪が関わっていた。
今も苦しんでいる被害者とその家族、反省もしていないレイプ加害者達。
そして真犯人の意外性と過去におきたことが繋がっていく流れも秀逸。
なるほどそうだったのかと気持ちが温められるラストのエピソードも良かった。
Posted by ブクログ
目には目を と書いた本人の意図が少し感じられた時に性の虐待を受けた人のダメージが、見えた気がした。
恐ろしい、特に子供や若い人が性を搾取される事件を目にすることがあるが、その子供たちの将来を全く考えてない、自分の欲だけで突っ走る人間がいることが本当に許せない。集団性加害などもってのほか。捕まえてもう出てこないで欲しいとさえ思う。
被害を受けた方の家族はどうしたら心が晴れるのか。
被害者やその家族にもっと寄り添うこと、加害者にはもっと厳罰な罰を与えて欲しい、同じことを加害者に味わって欲しいとさえ思う。