あらすじ
母の死を機に生きる意味を見いだせなくなった槐は、川越で染織工房を営む叔母の家に居候していた。そこに、人気の女性画家・未都の転落死事件に巻き込まれ、心を閉ざした従兄弟の綸も同居することに。藍染めの糸に魅了された綸は次第に染織にのめり込んでいく。ある日不審な男が現れ、綸が未都の最後の言葉を知っているはずだと言う。死の謎を探りながら、槐は「なぜ生き続けなければならないのか」という問いに向き合っていく――
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Posted by ブクログ
染色(草木染)と織物の世界に満たされながら、何者かになれという母の言葉に縛られた主人公の気付きと再生の物語。また、彼女のいとこの落下事故の巻き込まれによるその後の展開も、少しミステリータッチでハラハラさせられた。
祖母の作品「御神渡り」など登場する色々な作品は創造するだけで美しい。
Posted by ブクログ
槐は、川越で染織工房を営む叔母の家に住む。
亡くなった母は家族と折り合いが悪く孤独に生き
槐を残し亡くなった。
生き辛さを抱えた者がもうひとり。
従兄弟の綸も叔母の家に身を寄せる。
唯一無二の作品を生み出すこと。
その難しさも含め染色の世界に魅了される。
ただ、槐や綸に共感できないことも多かった。
不審な人物に跡を付けられ槐は切りつけられる。
その恐怖は相当だと思う。
付け回す理由が知りたいためだけに
自分を切りつけたその男を問い詰めることができるだろうか。
転落死をした画家・未都と綸の出会いも唐突すぎる気がした。
息詰まる日々を過ごす二人が
それぞれの何かに惹かれたということか。
職人技は知らないことが多くおもしろく読んだ。
私には心理描写が薄く感じられ少し残念。