あらすじ
雨宮一彦の話をしよう…雨宮一彦の話をしよう…西園信二じゃなくて?…いや、どっちだろう…どっちだっていいじゃない--1999年、昭和74年。この世界では「昭和」は続いている。これはいわば終わり損ねた時代をめぐる物語である。メディアを自在に縦横断し、多発的に、そして多義的に紡がれるストーリー『多重人格探偵サイコ』――全6話で描かれたドラマのシナリオ郡をベースに、7パーツの書き下ろしドキュメントをシャッフルして編んだ、ファン待望の一冊。デュアルの文庫オリジナル。※巻末ページのリンク先にはジャンプ出来ませんのでご了承下さい。
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Posted by ブクログ
『どんな表現でも「ダメ」と可能性の両方を抱えているのであって』
『同じまんがを読んだってそこから受け取る「イメージ」は読者の数だけあるのであって、それをすべて反映させることなんて不可能である。』
『書物は手懸かりに過ぎず、まして一冊の書物、一人の作者に全面的に依存して、それを介してのみ世界を見るのは全く間違っている。』
「人は国家に管理されたがっているんだ。そのスキを権力は見逃さない」
「あいつの親父、警察の偉い人でさ、ゆづるが11歳の時からセックスしてるんだぜ。あいつ連れて何度も逃げたんだけどすぐ掴まっちゃって…すげーんだ、ケーサツが本気だしたら、すぐ見つかっちゃう。」
「すーぐ他人の話に左右されて自分が信じられなくなっちまうんだから。おじちゃんの頃のおたくは人がなんといおーとてめーの目で見て耳で聞いたものだけを信じて人生突っ走ったもんよー。」
Posted by ブクログ
30代の男性をターゲットに角川書店がいまさらながらに創刊したコミックチャージに、連載再開されるはずの「多重人格探偵サイコ」がいまだに姿を見せない状態で、近所のコンビニから販売さえもされなくなったこの雑誌に、本当に期待していいのか、とちょい不安になりながらも、大塚英志の短めの文章を読みたくなって手にしたのは、徳間デュアル文庫から出た「多重人格探偵サイコREAL」
これは、映像版サイコのシナリオと書き下ろしの大塚英志のエッセイっぽい短めの文章でまとめられた比較的商業ベースとは関係なさそうな文庫本である。実際のところは、徳間で出すネタがなくてシナリオ使ったってオチらしいんだけどね・・・
ところで、この文庫本の冒頭に大塚英志は「17歳の少年の犯罪」について語っている。映像版サイコの初出であるWOWWOWの放送のとき、佐賀県の17歳の少年が西鉄の高速バス「わかくす号」をバスジャックした。また、マンガ版サイコの第一話が月刊少年エースに連載開始したとき、神戸の小学生連続殺人事件の容疑者「酒鬼薔薇聖斗」が逮捕されたそうだ。そういう形で、サイコは現実の少年犯罪と同化されるが、創造される虚構が現実を凌駕できない情けなさについて弁明している。