あらすじ
塾講師として働いている遙は、友人とのルームシェアを解消して気落ちしていた。そこに同僚で恋人の百ちゃんがやって来る。同棲を始めるふたりだが、暮らしの中で明らかになる価値観の違いを原因に、少しずつ、しかし確実にすれ違っていき…? 好きなのに分かり合えないカップルや、距離感のある父と娘、アパートの隣人同士。誰もが記憶の片隅に持つ、人と生きる日々のもどかしさや愛おしさを、優しく掬い上げた傑作短編集。
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日常生活の中のちょっとした出来事と考えたこと。とても好きなタイプの話。同じく好きな滝口悠生さんの小説を思い出した。どのお話もよかった。そういえば川上佐都さんて『街に躍ねる』もいい小説だった。今回で確実に名前覚えた。好きです。
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日常の何気ないひとこまを文字に起こすと、ありふれた出来事も心が温まる思い出になるのだと思えた作品。青年から大人へ、いい意味で酸いも甘いも知り尽くした大人になる前の、悩める若者たち。
ライフステージの変化に伴い、誰もが同じ場所にとどまることはできない。関係性も変わっていく。変わったとしても、ともに過ごした日々の思い出は確かに残る。
登場人物の心情の描写がリアルで、等身大だった。表現の仕方や比喩もおもしろく、声を出して笑った場面もあった。今日のかたすみ、取るに足らない出来事にこそ、味がある。ライトに楽しめる作品だった。
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一章目の途中で「あー、駄目かも」と思ったが、とにかく二章まで読み進めた。やめないで良かった。二章目の『毎日のグミ』も良かったが『避難訓練』がなんだか沁みた。ちょっとした比喩や丁寧な心理描写が独特で、好きだなと思った。登場人物たちの背景や関係性がだんだんわかっていく構成になっているので若干戸惑うが、最後しっかり回収されて爽やか。
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読み始め、うまく情景が想像できずにいたが、読み進めるうちに引き込まれた。人物の関係性が後からわかるように文章が構成されているから、そこに辿り着くまで、理解するまで時間を要したところがある。
読み進めていくと、自分以外の人の行動よって、自分の心が動いている、動かされている、抗いようのない心情がよく描かれている。物語のあちらこちらに、自分もかつて似たような感覚を抱いた部分もあり、読むたびに思い出された。自分の過去の記憶も一緒に想起されて、読後は物語と一緒に解き放たれる感じがしてよかった。
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誰かといることや一緒に暮らすことの難しさの描き方がすごくリアルで共感した。
劇的な何かが起こるような作品ではないけど
日常ってつまりこういうことの連続だよなーと実感。
誰も悪くないだけに相性って難しい
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わたしの好きな連作短編集ということで読み始めました。どの話も面白かった。1番が、、決められないな…愛が一位かピンクちゃんかな?悩む。。みなさんの感想を読むの楽しみにしている!みなさんの1番はどれだ!?
愛が一位は、遙くんの自分のしたいことをしたい気持ちも、百ちゃんの自分の思い通りに動いてほしい気持ちもわかりながら読んだ。それぞれに引っかかるところがあって、こんなカップル居そう!って思った。
毎日のグミは、全然話の行き着くところがわからなくて、緋名とママが仲直りすることが行き着くところ?と思いながら、そわそわしながら読んだ。
避難訓練は、戻田のことを心配しながら読んだ。あとめっちゃ戻田って口に出した。戻田、言いたくなる魔法のワード。
ピンクちゃんはほんとーにあっという間に読み終わってしまったわ。続きが気になるお話ナンバーワン。中原さんがすごく好き。とっても愛嬌があるよね。かわいい。
荷ほどきは待ちに待ったモキチ視点のお話。ほかの人の視点だと楽観的で行動力のあるモキチが、実際は考えをめぐらせて行動しているところに驚きだった。あと、誰とでも楽しく気を遣わず会話できそうなキャラのイメージだったので意外だった。
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川上佐都さんの2作目の作品。
前作『街に跳ねる』も良かったので
新作を楽しみにしている作家さんのひとり。
部屋と家を舞台に描かれる連作短編集。
第1話「愛が一位」
ルームシェアを解消し恋人と同棲を始める遙の話。
恋人との生活にモヤモヤとしたものを抱えるが
彼は〈他人の言うこと・することをまず飲み込む癖がついていた〉
無理をしていないかな。
そんな心配をしてしまう。
思春期の娘が元父親の家に居候する
第2話「毎日のグミ」も好き。
久しぶりに2人で過ごす時間が愛おしい。
第3話「避難訓練」
男3人のルームシェアの様子が書かれているが
第1話の遙とは違う面も見られて楽しい。
アパートの隣人同士が交換日記を始める
第4話「ピンクちゃん」
ちょっと切なくて。
隣人のおばあさんと、この先も交流は続くと信じたい。
第5話「荷ほどき」
社交的なモキチだが、他人には見せない顔がある。
〈俺らは確実に歳を重ねていた〉
モキチが友人と楽しむ花火。
そのシーンがパーッと頭の中で広がる。
確実に歳を重ねてきた私も新鮮な気持ちで楽しめる。
川上佐都さんの次回作をいまから楽しみにしている。
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人と過ごすこと暮らすことについて色んな登場人物の視点で見れて面白い。この本読むと誰かと暮らすのはやっぱりしんどい寄りだなって思う。
すり合わせって難しいよな〜
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最初のももちゃんが出てくる章は読みにくかった。同棲でほとんどを自分好みにすると、相手を苦しくさせてしまう。我が家はほとんど私好みなので、反省した。
ピンクちゃんの章が良かった。年齢の離れたこういう関係もいい。突然終わりとなってしまったのが寂しいが、それぞれに大きなものを残したことと思う。
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「愛が一位」わかる。。。と思いながら読んだ。
他人と暮らすのって時々楽しいけどめんどくさい部分が多い。理解できないことは理解できないんだなぁ、それでも好きなら合わせるしかないんだろうな。。と色々考えた一冊でした
Posted by ブクログ
ゆるっとした日常の中に少し感じる違和感を、感じつつも小脇に置きながら受け流す…的な?
私は好きでした。
結局実際の生活はこんな感じで、派手に立ち回ったり、問題が解決したり、しっかりとしたハッピーエンドではないはず。
そう考えると等身大な小説。
自分と他者、やっぱり違うよねー。
ところどころ感覚合わなすぎて、恐怖を感じたけど。
避難訓練が好きです。
Posted by ブクログ
人と暮らすことで見えてくるものはいろいろあって…。
人と暮らすのは不自由なことだけではないはずで、だけど自分の時間を優先したい、気儘に暮らしたい人には窮屈さを感じるかもしれなくて…。
[愛が一位]
〜分かり合えないカップルのこと。価値観の違い。
[毎日のグミ]
〜距離感のある父と娘。両親の離婚後からの生活。
[避難訓練]
〜友人同士のルームシェア。いつまで成立するもの。
[ピンクちゃん]
〜アパートの隣人同士。おばあちゃんと短大生との不思議な関係。
[荷ほどき]
〜ひとり暮らしの青年のこと。
5編の連作短編集。
それぞれに悩ましい…。
誰かと暮らすということ…温かさだけではないものがあるのかもしれない。
Posted by ブクログ
「愛が一位」
「毎日のグミ」
「避難訓練」
「ピンクちゃん」
「荷ほどき」
五話収録の連作短編集。
私は三年間一人暮らしをしていた時期がある。
不安や寂しさもあったが自由を感じ快適さの方が勝っていた。
誰かと共に生活する事は面倒だ。
この作品に登場する人々も、その面倒臭さに直面し葛藤する。
一話で登場する、優先順位の一位を愛とする百ちゃんと、自分の時間を持ちたい遙くんのやり取りはリアル。
私も一人の時間が欲しい派だけに遙くんの思いに甚く共感した。
アパートの隣室に住むおばあさんと交換日記を始めた女子大生の物語は切ない余韻が残る。
Posted by ブクログ
初めて読む作家さん
フワフワした恋の話かと思ったら
そんなことなかった
人のこと慮れないたちなので
ストレスを感じるところが多かったが
誰かと交わりながら生きてけるの
なんだかうらやましい
スイーーーッと読んでしまったので
今後、思い出の中に登場することも
きっとないだろうが
さっさと読み終われたのと
つまんなくはなかったってところで
星は3つ
Posted by ブクログ
シェアハウス、同棲、一人暮らし、実家。
色んな住み方があって、どんな住み方にも、それ特有の楽しさと寂しさがある。
実家暮らし時代、一人暮らし時代、同棲時代…その時々の楽しさ寂しさを思い出させてくれた本でした。
生活をする中で、些細なことで同居人や隣人とモヤモヤすることがあったり、勘違いされてしまったりもする。
でも、そんな事情に関わらず、時間は進んでいく。
それに流されて忘れていく記憶、ずっと覚えている記憶、忘れないように頑張って覚えている記憶。
全部をずっと覚えることはできなくて、逆に全部を忘れることもできなくて、そんな感じでぼんやり楽しかったことや寂しかったことを残していくのもいいかもなぁと、この本を読んで思いました。
そんな懐かしい思い出を引っ張り出して楽しみたくなる、クスッと笑えて少しセンチメンタルにもなる温かな短編集。