日常の何気ないひとこまを文字に起こすと、ありふれた出来事も心が温まる思い出になるのだと思えた作品。青年から大人へ、いい意味で酸いも甘いも知り尽くした大人になる前の、悩める若者たち。
ライフステージの変化に伴い、誰もが同じ場所にとどまることはできない。関係性も変わっていく。変わったとしても、ともに過ごした日々の思い出は確かに残る。
登場人物の心情の描写がリアルで、等身大だった。表現の仕方や比喩もおもしろく、声を出して笑った場面もあった。今日のかたすみ、取るに足らない出来事にこそ、味がある。ライトに楽しめる作品だった。