【感想・ネタバレ】チョコレートコスモスのレビュー

あらすじ

芝居の面白さには果てがない。一生かけても味わい尽くせない。華やかなオーラを身にまとい、天才の名をほしいままにする響子。大学で芝居を始めたばかりの華奢で地味な少女、飛鳥。二人の女優が挑んだのは、伝説の映画プロデューサー・芹澤が開く異色のオーディションだった。これは戦いなのだ。知りたい、あの舞台の暗がりの向こうに何があるのかを──。少女たちの才能が、熱となってぶつかりあう! 興奮と感動の演劇ロマン。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

神谷さんが、少女を初めてみたのは今年の桜も終わり
どことなくまが抜けた、やたらと眠い4月半ばの
午後のことでした。

久々に古巣の劇団の書き下ろしで 力がはいりますが
なかなか書き始められない焦りのなか
ぼうっとした頭で窓の外を見て座っていました。
窓からの景色は 山手線の駅前の改札口を出た所。
き交う人達の中で 1人何故か気になる少女が
いました。何をしているのか?観察していましたが
突然消えてしまい まるで白昼夢でもみていたのか
との思いでした。

それから1週間後の同じ場所。神谷さんはまだ
書き始める事ができないで 更に焦りを感じて
いました。
また 窓の外を見ていると あの時の少女が。
今回も注意深く観察していると どうやら少女は
誰かをみつけては物真似をしているんだなと思いました。いつのまにか少女はいなくなりましたが
広場を見下ろしながら 身体のなかでは不思議な
爽快感があり 霞がかかっていた頭の中が晴れ渡り
原稿を書き始める事ができました。


東響子さんは 家族も皆役者で ものごころをついた
頃から当たり前のように舞台に立っていました。
この職業には もっと凄い もっと恐ろしい面白さが
この先に続き どんなに求めてもきりがない。
その予感が怖くて 足を踏み入れる覚悟をできて
いないでいました。

そんな中で 同じような境遇で友人の宗像葉月さん
の試写会をみて 衝撃をうけます。
普段は感じない 嫉妬と羨望がじわりと込み上げ
てきました。

響子さんは 子役のオーディションの時に噂で
芹澤泰次郎さんが20年ぶりに芝居に復帰する事を
知ります。芹澤さんの 作品はどれも質が高く
内外から高い評価を得、観客からも根強い支持を
受けています。彼の作品に使われたのちに
俳優として開花した者も多いそうです。

佐々木飛鳥さんは 代々空手家の環境で育って
自身も凄く強いんですが いろいろな経験をして
今は 自身がどうしたいかと考える時間でした。
そんな中 友人と ある舞台を観て
その先にあるはずの景色をみてみたい との思いを
抱きます。

梶山巽さんは 大学のサークルの劇団の練習で
日々汗を流しています。もともとは脚本家希望ですが
劇団の練習をしながら こつこつと脚本も書いて
います。
ある日公園で練習をしていると こちらを真剣に
見つめている少女に気づきます。
少女が、こちらに近づいてきて

この劇団に入れてもらいたいんですけど

と言われて みんなびっくりしましたが
入団テストをする事になります。
劇団の人達は少女の演技をみて、驚き戸惑い
不思議な感覚を覚えます。こうして 無事に
入団した少女が佐々木飛鳥さんです!

飛鳥さん達の劇団に
二日間の公演のチャンスが巡ってきました。
劇団員で話し合い やってみよう!
との決断になりました。
公演まで時間のない中 みんなで必死に作品を
つくり 大成功の公演でした。
この公演を神谷さんが観ていました。初日に感じた
疑問を確認したくて二日目もみましたが混乱と興奮
の衝撃で、なかなか上がらない幕をぼんやり見つめて
いました。

この事がきっかけになり 飛鳥さんはあの
芹澤泰次郎さんの舞台のオーディションを
受ける事になります。
飛鳥さん自身の気持ちも揺れながらも 支えてくれる
仲間や 応援してくれる思いに 背中を押してもらい
無事にやり切る事ができました!

最終オーディションで 響子さんの見た景色を感じ
飛鳥さんが 共に得た感覚は、私ではわからない
ですが 凄いものなんだろうなぁと 精一杯
想像する時間でした。

天才とは どういう事か?なかなか実際に感じる事は
少ないですが、私も若い時に 有名な漫画家さんに
凄くお世話になった事を久しぶりに思いだしました。
同じ物を観ていても もしかしたら色彩までも違う
のかも知れないと 感じたことが沢山ありました。

この物語の 飛鳥さんがこれからどうするのか。
響子さんの これからの景色もどこまで続くのか。
そして この チョコレートコスモスは
どんな公演になっていくのか。
読み終えての 感動の中にいるのに
この物語の人達がどうなっていくのか 
凄く知りたい思いが溢れる不思議な読後感でした。

恩田陸さんの素敵な物語、
この チョコレートコスモス を読むことが出来て
凄く幸せです!(^^)



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2025年02月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

複数の劇中劇が登場するが、特に飛鳥の初舞台となった「目的地」が強く印象に残っている。その設定や観客を巻き込んだ演出が非常に面白かった。彼女の演技からは鬼気迫る様子が伝わり、手に汗握る思いであった。本書は読者を舞台の客席へと連れて行ってくれる。

0
2025年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み終わってため息をついてあとがきを読んで飛び上がって喜んだのは私だけじゃないはず…?(文庫派なので事前情報はなるべく避けてるからかも。
続編があって、また彼等に会えるのですね!
すっごい楽しみです。

0
2025年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

演劇を始めたばかりの天才、佐々木飛鳥が業界を席巻する物語。舞台は誰もが敬うプロデューサー、芹澤が主催するオーディション。
アイデアに困り嘆く脚本家の神谷や舞台俳優一家の女優として名を馳せる東、飛鳥が所属した演劇サークルのメンバーの視点から、飛鳥の奇想天外な演劇が光る。
熾烈な戦いの中で飛鳥が到達した境地に読者は心を震わせる。
個人的に一番好きだったのは東響子の嫉妬に燃えて何がなんでも勝利を掴み取ろうとするタフネス。彼女がいたからこそ、オーディションでの戦いが逼迫しページをめくる手が止まらなかった。

0
2025年11月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

芸術系恩田陸作品。
役者家系で子どもの頃から役者として活躍している響子と芝居を始めて数か月の天才飛鳥が、伝説の映画プロデューサーの開くオーディションに参加する物語。
舞台が主題の話だけど、実際に観客に見せる舞台は一回だけで、それ以外はオーディションのシーン。芝居は見たことないけど、「なんかすごい」と感じさせられる圧倒的表現力。「ゼロ」の初公演、一次オーディション、二次オーディションで飛鳥はどう演じるのかが楽しみでワクワクしながら読めた。
あと、エピローグの雰囲気がすごく良かった…そして最後のタイトル回収もチョコレートコスモスというワードと物語がマッチして気持ちよかった。

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2025年03月31日

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