あらすじ
無料で「こども飯」を提供する『大衆食堂かざま』。店のオーナーの息子・心也は、怪我で大好きなサッカーができなくなり、中学最後の夏休みを前に晴れない気持ちを持て余している。また心也は、時々こども飯を食べにくる同級生のことを気にしていた。一人は夕花。クラスから疎外され、義父との折り合いも悪い。もう一人は金髪パーマの不良、石村。友情と恋心、夏の逃避行。大人たちの深い想い。〈子ども食堂〉から始まる思いやりの連鎖が、温かな奇跡を呼ぶ。傑作長篇、待望の文庫化!
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Posted by ブクログ
映画化した作品ということで、興味があり、読んでみました!
こども食堂を必要にしている人は少なからずいるのにも関わらず、こども食堂を「偽善」だと感じる人もいる現状に悲しく思った。
伏線に全く気がつかなかった。
最後に伏線回収されて、感動で涙が出た。
この結末を知った上で、改めて再読したいそう思える作品でした♪
読んで心が温かくなるお話でした!
是非、オススメです!
Posted by ブクログ
プロローグ、まだ幼い心也を残してこの世を去ることになる母親の想い。実現の難しさをわかりつつも結んでしまう心也との約束は、非常に切なく泣きそうになった。
本編は、「子ども食堂」をテーマにした2つのエピソードで展開される。
15歳になった心也と、幼馴染の夕花。
ただの甘酸っぱい中学生の恋愛話ではなく、貧困、虐待、いじめなど重く苦しいテーマが2人や、同級生のヤンキー石村くんの人生を妨げる。
たった一夏の話だったが、青春の煌めきも社会の苦しみも入り混じった中身の濃い物語。
できることが限られる年齢ながら、必死に逃亡した最後の夜の描写がとても美しかった。
心也の父親の優しい言葉はどれも愛に満ちていて,まさに「ヒーロー」
利益が出ないながらも子どもたちのために、亡くなった妻の想いも引き継いで営んでいる子ども食堂。
「偽善者」として批判する大人がいることは非常に悲しい現実だった。
もう一方は、子ども食堂を営む夫婦の話。
妻であるゆり子の時点で描かれる。
交通事故によって運営を危ぶまれるも、格安で修理をするという業者が現れる。
見ず知らずの隣町の業者が、なぜこんなに優しくしてくれるのか。
その疑問は、物語の最後に明かされる。
同じ世界線だと思いつつも、なかなか混じり合わない2つの物語。
ところでゆり子は誰?と度々疑問に思いながら読み進める。
終盤、その繋がり方はとてもきれいで、すっきりとした終わりを迎えた。
軽い読み心地の反面、現実的で重い題材のため、決して軽くはない話。切なさや苦しみはもちろんあるが、それ以上に人のと巡りの温かみを感じる心温まる物語だった。
Posted by ブクログ
冒頭、小学3年生の息子・心也を残して病で亡くなる母親の想いが綴られていて、その時点で、もう涙腺が崩壊しそうでした。
自分の命が尽きることを受け入れながら、幼い我が子の未来を思って言葉を残す
その深い愛情が、胸に刺さりました。
物語が進むにつれて、心也が中学生になり、母親の遺した日記を読むシーンが出てきます。
個人的にはここがもう少し丁寧に描かれていたら、号泣だったと思います。
母の言葉と、成長した心也の感情が交差するような描写があれば、より深く彼の心に寄り添え涙涙の作品にもっとなってたよなぁ。
心也の家では「子ども食堂」を営んでいて、それが周囲の目や偏見の的になったり、彼自身もそのことで苦しむ場面がありました。
幼馴染の夕花は学校でいじめを受け、家庭では義父の暴力に苦しんでいて心也の家の食堂の利用者の一人。
クラスの不良の石村も、実は家庭に事情があり、ひそかにそこに助けられていた存在。
でもある日、「石村が子ども食堂を利用している」と机に落書きされ、心也がバラしたと思われて関係が悪化します。
でも、犯人は不良グループの一人だった。
そんなある夏休みの日、心也と石村が歩いていた時に、偶然夕花が義父に暴力を振るわれている現場に遭遇し、警察沙汰に。
37年後の話と、37年前の話が交互に出てきて
読んでるときは、繋がってると思ってなかったけど
最後、全てが繋がった
心がモヤモヤしない終わり方でスッキリ
Posted by ブクログ
私も15歳の時は本当に色んなことに悩んで早く大人になりたいと何度も願ったことがあるから、2人の、今は自分の力ではどうすることもできないもどかしさに当時を思い出して苦しくなった。
それでも心也のように優しく見守ってくれて、助け出してくれる友達がいて本当に夕花は救われたと思う。
そんな2人が37年後に再会して、笑い合っている姿を想像しただけで嬉しくて胸がいっぱいになる。夕花が幸せそうで本当に良かった。心也がお父さんが始めた子ども食堂を続けてくれていて良かった。
甘酸っぱくて切なくて、でもどこか心が温まるそんなお話だった。