あらすじ
源氏物語には795首の和歌が登場する。
ここぞ、というときの和歌は、恋のゆくえを大きく左右する。
心の結晶である和歌を、小石のように飛び越えてしまうのではなく、
氷砂糖をなめるように味わったならば、
源氏物語の世界はさらに豊かな表情を見せてくれるだろう。
千年の時を越え、「万智訳」でよみがえる愛の物語。
解説=東直子
※この電子書籍は2003年7月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
源氏物語を現代の女性の感覚で、身近に捉えることができた。末摘花の和歌の下手さや野暮ったさ、明石の君のおっと思わせる歌のセンス、なかなか古典常識とか古典の経験値がないとわからないことがたくさんあるけど、そこを解像度高く面白く語ってもらえてよい。源氏物語に795首も和歌があって、恋愛に限らずいろんな情をその人の言葉で伝え合う、その和歌の面白さも感じた。夕霧がずっと根に持っていた「もののはじめの六位宿世よ」を、ずっと後に乳母にちくりと言い返すとか。散文だとただ角が立つものを、和歌だと機智をもって角が立たずに、でもちゃんと伝えられる。そう言う言葉の技術って、日本人が昔から培ってきたんだなと思う。
かぎりとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり
限りある命だけれどどうしても今は生きたいあなたのために
Posted by ブクログ
和歌を一つ一つ取り上げて、詳しく、しかも、俵万智さん流に解説がなされていく本。さらに、一帖一帖取り上げるのではなく、何かのテーマを絞っての解説、横断的に解説をしていくのが面白かった。
ただ、源氏物語をちょっと読んだだけでこれを読むことは難しかった。全部を読み終わってから読むと「なるほど」・「おお、面白い解説・新説だ」と思う。
光源氏の女ったらしぷりを万智さんは楽しんで読んでいるような気はした。薫の優柔不断っぷりには、御怒りというか、あきれているような気がした。
Posted by ブクログ
## 感想
源氏物語は人によって見方が変わる不思議な物語だ。
色々な本を読んできたけど、それぞれで見る角度が違って面白い。
和歌は31文字の文字制限がある分、伝えたい気持ちが凝縮されるので、この和歌の中にこそ、キャラクターたちの本音が込められている。
思えば、源氏物語にはたくさんの恋愛の形が描かれる。
源氏物語が長く長く読まれているのは、誰もがキャラクターの誰かに感情移入できるからかもしれない。
私は学生の頃学校で習ったときには正直「長いな〜」「すごい浮気するな〜」くらいに思っていた。
しかし本を読むにつれ、色々な角度から見ることで、だんだんキャラクターたちの理解が深まっていった。
これだけの本が今でもあって、考察されて、そんな物語は今後現れるのか?とさえ思う。
こんな物語を書き上げる紫式部は一体どんな頭の中をしていたのだろう?