あらすじ
藤原兼家の三男に生まれた道長は、才気溢れる長兄の道隆、野心家の次兄の道兼に比べて、平凡で目立たない存在だった。左大臣の娘・倫子と結婚、そして父の死により、出世競争の道を走り始める。平安王朝の貴族社会を描いた傑作歴史小説。
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Posted by ブクログ
光る君へ、に触発されて道長に関する小説を探し読んでみる。
昭和59年発刊。当時はまだ清少納言の評価が高くなく才をひけらかす、奔放・高慢といった評価が多かったとされる。その状況に比べればやや抑えた形になっている。才をひけらかすまでではなく、才を誇るといった感じ。
なお紫式部はまだ登場していない。彰子さまが入内していないので当然と言えば当然だが。
道長自体も上巻の時点では上昇志向もあまりなく、父、兄、姉に振り回される呑気な三男坊という態。光る君へ、にも通ずる性格付け。
徐々に権力というものに取り憑かれている感じを見せながら下巻へ続く。
強気な姉と柔和な弟という関係性が徐々に変わっていくさまは同じ永井路子著の「北条義時」に似ている。当作はまもなく詮子は身罷るのでそこまでに関係性がどう変わっていくか楽しみ。