あらすじ
風、雲、雨、雪、台風、寒波……。日々変わる天気は、「大気の大循環」と呼ばれる地球規模の巨大な循環システムの、極めてミクロな表現でしかありません。「大気の大循環」は赤道付近に大量に供給された太陽エネルギーが、対流や波動によって高緯度に供給される大気のシステムで、大気の誕生以来、営々と続いている地球規模の現象です。大気の大循環によって地球上のそれぞれの地域の気象・気候が決定され、さらに、砂漠や森林、ステップやサバンナといった地上の状態も大気の大循環の結果として形成されます。ですから、気象に興味がある人なら、是非とも理解しておきたい気象学の基礎でもあります。
本書では、大気の大循環を構成する偏西風、貿易風、偏西風波動、ブロッキング高気圧、さらには低緯度から高緯度への巨大な流れであるハドレー循環、フェレル循環、極循環、ロスビー波などを解説するとともに、大気の大循環に最も大きな影響を与えている「コリオリの力」を、高校生でも納得できる形で解説します。
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Posted by ブクログ
難しかった.こんな用語が出てくるよとp36にリストされている.長波放射、短波放射、静水圧平衡、温位、コリオリの力、気圧傾度力、等高度線、スケール解析、温度風、鉛直シアー、ロスビー波、相対渦度、絶対渦度、傾圧不安定波、ポテンシャル渦度、テレコネクション、カオス、非線形 である.気象予報士の方々はこれらの用語が頻出する試験問題を解ける由.彼らを見直した.唯一ある程度理解できたのは、最初の二つだ.温室効果ガスに関する事象だ.太陽と地球の関係で、地球に届く光のスペクトルは波長の短い側から紫外線、可視光、赤外線の順だが、太陽からの短波放射(可視光)が地表を温め、地表からは長波放射(赤外線)が逃げていく.これで一応バランスが取れているのだが、温室効果ガスは長波だけを吸収して再放出する.それで大気が暖まる.大気は窒素:約78%、酸素: 21%、それに微量の二酸化炭素やメタンでできているが、後の二つが赤外線をよく吸収する.この現象で地球が生物が存在できるような温度に保たれている由.温室効果ガスがない状態だと大気はマイナス10度前後に落ちて生物が住めなくなるそうだ.コリオリの力は聞いたことはあったが、仮想の力だそうで、あまり理解できなかった. 難しかった!
Posted by ブクログ
中緯度上空を流れる西風が偏西風。高度一万メートルくらいの高いところはジェット気流と呼ばれて強い部分。
熱帯付近の低緯度には、海上付近で偏東風=貿易風が吹く=北東から南西に向けた風。
高緯度には貿易風と似た極偏東風が吹く。
ハドレー循環によって、赤道で上昇した空気が上空でコリオリの力によって北東に流れ、地上付近で反対に流れる風が貿易風。サハラ砂漠やオーストラリアの砂漠はハドレー循環で上空の空気が下降してきたところにある。
赤道付近は、上昇して雲ができる=台風の卵になる。
中緯度の偏西風は蛇行して高気圧や低気圧が発生する。地上では北向き、上空では南向きの循環=フェレル循環。
高緯度の極偏東風は極循環がある。
対流圏は10k程度まで。地球の膜程度。実際の空気の流れは横に広い。台風は大きさは数百キロあるが高さはせいぜい10数キロ。
亜熱帯ジェット気流は安定しているがその北側の亜寒帯ジェット気流は途切れることもある。中高緯度はジェット気流を中心とする西風の世界。
地表に届く太陽エネルギーは反射や吸収でかなり少ない。大気を温めているのは地表かが放射される赤外線。
太陽から地表に可視光線などの短波放射が届き、同量の赤外線などの長波エネルギーが逃げる。二酸化炭素やメタンは、可視光を通過させるが、赤外線は吸収する。この差が地球温暖化を起こす。
太陽からの短波エネルギーは3割が反射で宇宙に戻る。雲や大気に2割吸収されて、地上に届くのは5割。
上空に冷たい空気がくると大気は不安定=対流が起こりやすい、ということ。水蒸気は熱源=潜熱をもっている。
乾燥断熱減率は100mで一度。湿潤断熱減率は0.5度=潜熱が熱を出すから。上昇する空気の塊の温度が周りより高くなれば、勝手に上昇しながら潜熱を出して周りの温度よりまた高くなる=自由対流高度。=積乱雲の構造。水蒸気が熱源となっている。
コリオリの力は、北半球では右向きの力となって現れる。コリオリの力で亜熱帯以上の北には行けない。=下降して乾燥地帯をつくる。
フェレル循環は見せかけのもの。高緯度で上昇流、低緯度に下降流が見られる。=間接循環。
台風のような猛烈な高気圧は存在しない。高気圧は風が強くなって遠心力が増すとコリオリの力を相殺するので、気圧傾度力が小さくなる。低気圧は、風が早くなると遠心力が気圧傾度力を増やす=強い低気圧が出現する。
気圧傾度力とコリオリの力が釣り合っている状態の風を地衡風という。大気の流れは基本的には地衡風。カーブがある台風のような場合のみ遠心力を考える必要がある。
高層天気図には、等圧線ではなく等高度線が引かれている。地衡風は等高度線に沿って吹く。
低緯度のほうが高層の気圧は高い=空気は軽い。同じ気圧になる高度は、上空では南の方が北のほうが高くなる。同じ高度だと、上空では、南が気圧が高く北が低い。
高気圧を右に見て平行に吹く。
コリオリの力は静止している物体には働かない。見かけの力。赤道ではゼロ。北極と南極で最大。コリオリの力を考えることで、慣性系でない座標でも慣性系であるかのように考えられる。スケーリングが違うので、小さい現象では無視できる。コリオリの力は大きく、遠心力は小さい。気圧傾度力と同じレベル。高気圧の遠心力は1/10くらい。台風だと同じくらい担って無視できない。
偏西風の北側には冷たい空気、南側には暖かい空気。蛇行して南下すると冷たい空気が迫ってくる。高層天気図で蛇行がわかる。ジェット気流の部分がよくわかる。500ヘクトパスカルや300ヘクトパスカルの天気図を使う。
ロスピー波=偏西風の蛇行を生み出す波。ロスピー波は西に進む。波というよりパターン移動。川の流れは端より中央が早い。ロスピー波の波長が長いほど西に進むスピードが速い。移動性高気圧は、基本流のスピードのほうが早いので、東に進む。蛇行がブロッキングされると移動性高気圧の移動を止めてしまう。ブロッキング高気圧は日付変更線やヨーロッパあたりで発生しやすい。冬の異常気象の原因。
気象庁が以上というのは、30年に一回程度のまれなもの。
南岸低気圧は、太平洋上でジェット気流が北上してブロッキング高気圧ができて、東へ進む低気圧が北東に向きを変えてなかなか離れない現象。
ジェット気流が北に向けたあたりに低気圧ができて、南に降りてくるあたりに高気圧ができる。
ジェット気流の谷と温帯低気圧は同じ。
フェーン現象は潜熱を失った乾燥した空気が山を下りて乾燥断熱減率分を取り戻すため高温になる。チベット高原やロッキー山脈は、偏西風にも影響する。日本付近や北米大陸東岸で南に蛇行することが多い。緯度に比べて寒い。ポルトガルのリスボンと秋田は同じ北緯40度付近。1月の平均気温は秋田は0.4度、リスボンは11.6度。
チベット高原がなければ日本には梅雨はない。
大気のカオス=全球凍結から現在の地球まで何がきっかけでどの状態になるかわからない。どちらも釣り合う状態。
初期値依存性=ほんの少しの初期値の違いで将来は大きく変わる。
アンサンブル予報=初期値の誤差をゼロにはできない。確からしさを加えて長期予測をする方法。
Posted by ブクログ
なぜ大気は流れるのか?そのパターン?
大気は地上から10数キロメートルの平べったい現象 水平方向
低緯度は南北循環 注高緯度度は東向きの流れ ジェット気流が気圧変化させる
太陽光の熱を大気と海洋が高緯度に運ぶ
1m2あたり1365W→斜めに当たり、雲などで赤道で300W
太陽光は電磁波のなかでもエネルギーが高い可視光
地表からの赤外線で大気を暖める
気圧の差が空気を水平に動かす
温位=その空気を地表まで下したときに何℃になるかを表す数値 上空ほど高い
雲 =水蒸気が凝固した水滴の塊
気圧 =その位置より上にある空気の重さ
コリオリの力 =自転による 北半球では右向きの力(回転する球体の見かけの力)
3つの南北循環:ハドレー循環・フェレル(みかけ)循環・極循環
赤道付近の高い気圧で亜熱帯に向けて空気が流れる
大気の流れ=気圧傾度力・コリオリの力・(遠心力:台風など)
偏西風(ジェット気流) +ロスビー波=蛇行
ブロッキング(高気圧) →異常気象へ
※難易度:高