あらすじ
責任感が強く、うつ症状から自殺未遂を起こした会社員。両親への信頼が崩れ、リストカットに走る女子高生。単身赴任中に妻と子をなくし、パニック発作に苦しむ男性。緊迫した症状の患者と向き合い、心の悲鳴に真摯に耳を傾ける精神科医の人間ドキュメント第2弾。仕事を失いそうな時、大切な人をなくした時、心のバランスを崩す可能性は誰にでもある――悩める現代人、必読。
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Posted by ブクログ
2014年の70冊目です。
精神科医である著者:備瀬 哲弘の前作「精神科ER」の続作です。
精神科とERが結びつくイメージを持ちにくいと思います。
精神的に急激に悪化していくというより、継続的な精神的不調が続くことで、突発的に(周りにはそう感じられる)発現する行動に対処が必要だということです。
代表的な事例が”自殺”や”自傷行為”です。幻聴に悩まされている人は、突然意味不明の事を叫んだりします。
こういったケースで、警察へ通報されると、普通の人の行動基準と異なるため、精神科への緊急入院措置が取られるのだそうです。そして、そこでベットに拘束具で縛られ、病室に鍵を掛けるんだそうです。そういった経験をした患者さんは、二度と病院に入院したくないと頑なに拒まれるようになるそうです。鍵の無い診察室で診療ができているうちは、その人にまだしも寄り添ってケアーができます。
精神的な疾患には、多くの種類があります。統合失調症や広汎性発達障害(代表的なものではアスベルガ―症候群)や一時的な抑うつ状態など。
これら精神的疾患に対しては、多くの場合、完治させる薬があるわけではない。その時その時の患者さんの状況に寄り添う以外に方法は無いようです。いくつかの事例が紹介されていますが、どれも切なくなります。
相手の気持ちに、迎合するのではなく、寄り添うことは、自分の身近な人に対しても難しいことだと思います。精神的な状態におけるダイバシティーが広範になりつつある現代において、この精神科医のような人への接し方が望まれているのでしょうが、ハードルは高い。
Posted by ブクログ
精神科ERに勤めていた先生が、個人で開業をされて、鍵のない診察室で診察を始めた後の話。
でもどちらかというと、慢性期の人の話ではなくて、急性期と慢性期の人のボーダーの話が多めです。
それと、先生が研修医だったころのお話も少し。
読んで思ってたのが、これが私の知ってる精神科だなあ……と。
私の知ってる世界だ……と思いました。
でも、行政の保健師が行くのは訪問看護扱いはしないと思うのだけれど……と、そっと付け加えておきたいけど、沖縄ではそう呼ぶのかな?
精神科の入院の基準は自傷他害の危険性ってことになるから、私は結局、いつまで経っても入院できないわけだ(死ぬ気はないし、他人を傷つけるなら自分が死ぬことを選ぶけど、そもそもにして他人を傷つけたいとは思わない)。
なんか、そういうルールがこういう本で、もっと広がればいいなあって思います。
だって説明するのめんどくさいし。
まだまだ偏見がいっぱいあるから。
でもこういう本って結局、興味がある人しか読まないんだよねえ……。
難しいです。