あらすじ
絵師見習いのおふゆは、亡き人と遺された人への想いを込めて描く「死絵」に心惹かれながら、師匠・歌川国藤のもと、住み込みで修業を続けていた。昨年、江戸を襲った大地震の被害は甚大で、板元からの依頼は減り、国藤は弱った体に鞭打って仕事を探しに出かけている。いまだ町に地震の傷跡が残るある日、同心の梶原がおふゆを訪ねてきた。薬研堀の長屋で女が殺され、疑わしい男が逃亡しているという。その男を見つけるため、似顔を描いてほしいというが……。人生の悲喜をあたたかく包み込む、情感溢れる絵師物語。大好評シリーズ、第四弾。
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Posted by ブクログ
おくり絵師シリーズ
恋女房
腕くらべ
白梅の文
江戸に地震が起きてからの2年間、人の情けで仮住まいを得た国藤、おなみ、岩五郎、ふゆは、どんな小さな仕事でも引き受けて細々と暮らしていた。
相変わらず、律儀で内気なふゆ。絵が上手くなりたい気持ちは誰にも負けたくないが、無名な女絵師に来る仕事は限られている。
それでも丁寧に、目の前の仕事をこなすうち、チャンスが訪れる。
嫌疑をかけられて白洲で裁かれた(無罪ではあったが)恐怖心を克服して、似顔絵の仕事を得る。
正月の菓子の掛け紙は、腕くらべ。
そして初めての女友達が?
細やかな心の描写と、江戸の人情と、厳しいながらも日々生きて行く人々の姿。
読みやすい文体だが、物語の細やかな構成は先へ先へと惹きつける。
書き下ろしのこのシリーズ、1年に一度しか出ないが、人物たちもお馴染みになってきて、ますます続きが楽しみ。