【感想・ネタバレ】絡新婦の糸―警視庁サイバー犯罪対策課―のレビュー

あらすじ

ネット界最恐の情報通〈市民調査室〉。芸能人の醜聞、政財界の不祥事など、様々な暴露ネタで、物議を醸していた。しかし、ネットの炎上が現実に飛び火して、人命に関わる事態に発展する。サイバー犯罪対策課の延藤は、執念深く捜査を進め、特定寸前まで追い詰めるのだが――明日は我が身、体中が粟立つSNSサスペンス!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『絡新婦の糸』は、SNS時代の人間心理と群衆行動の危うさを表現するミステリー。
物語の中心には、「市民調査室」と名乗る匿名アカウントが存在し、このアカウントは一見、公益のために動いているかのように見えるが、実際には選び抜かれた情報と刺激的な言葉でフォロワーを煽り、特定の人物や組織を糾弾させていく。その結果、老舗高級旅館の支配人と女将が自殺に追い込まれるという痛ましい事件まで発生する。
ネットに氾濫する玉石混交の情報の中で、人は自分が信じたいものだけを選び取り、それを裏付ける情報ばかりに視界を奪われていく。本作は、その思考の偏りがどれほど容易に形成されるか、そしてそれがいかに破壊的な力を持ちうるかを突き付ける。現実への不満や鬱屈を抱えた人々が、縁もゆかりもない相手を炎上の餌にし、驚きや嫌悪を伴うニュースを快楽のように拡散していく様は、現代のSNS炎上事件と重なって見える。
さらに、カルト教団が信者を取り込むために用いる「神秘体験」の手法も巧妙に物語に組み込まれており、一度その糸に触れてしまえば、抵抗する免疫のないまま深く絡め取られていく。「絡新婦」が小蜘蛛を操り、無数の糸を張り巡らせて獲物を逃さないように、本作の情報網もまた、読者をじわじわと追い詰める。
自身もまた誰かの小蜘蛛になっていないか考えさせられる一冊だった。

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2025年08月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かったです。ネット犯罪を扱うサイバー犯罪対策課に所属する主人公が、市民調査室という、フェイクニュースを流す人物を突き止めようと捜査する話です。市民調査室は何者なのか、目的は何なのか。ネット社会である現代の闇につながる話もあり面白かったです。

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2025年03月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

Twitter民なら心臓にナイフを突きつけられたかのような冷や汗をかくのではないか?SNSインフルエンサーの発信が同好のフォロワー群によるエコーチェンバーによって高められ、自分も参加したうえで何かの真実に触れたかの様な高揚感に達する喜び・・・平凡な人生に瞬間ではあるが虹色がさすのである
良心的で的確な批評で知られた「市民調査室」が恣意的な発信、既に信者と化している十数万人のフォロワーが発信内容の周辺情報を掘り・膨らませ・拡散することで老舗宿は潰れかけ・大企業の株は暴落

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2024年08月28日

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