あらすじ
真冬の欧州を走る豪華列車オリエント急行には、国籍も身分も様々な乗客が乗り込んでいた。奇妙な雰囲気に包まれたその車内で、いわくありげな老富豪が無残な刺殺体で発見される。偶然乗り合わせた名探偵ポアロが捜査に乗り出すが、すべての乗客には完璧なアリバイが……ミステリの魅力が詰まった永遠の名作。
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Posted by ブクログ
素晴らしい謎と解。間違いない名作。
全員で間違ったポアロの案を支持するという、驚きと感動のラストがとても良かった。すっきりしました。
Posted by ブクログ
最初は、誰が犯人なんだろ?っとワクワクしながら読みました。そしたらまさかの展開!でもう奇想天外でした。この本には図などかいてあるので、自分も推理できます!とっっっっっっっっても面白い本なのでぜひぜひ読んでみてはいかがでしょう?
Posted by ブクログ
ポアロシリーズは全て早川で読んでいるが、この作品は訳が良い。
登場人物全員犯人は予想していなかった。
全員がアームストロング事件の関係者であると導き出すのは根拠が足りなすぎるのではと思ったが、ポアロレベルになると、数人が怪しいと踏むや、また、満席という異常事態を鑑み、推理しきるのはありうる。
名作と呼び声高い本作だが、期待を裏切らなかった。
Posted by ブクログ
初めてのアガサ・クリスティ
ミステリ好きなのに、今まで読んでいなかったのは、「古い作品」だと思っていたから
読んでなるほど、映画や舞台に起用されるわけだ
華やかで芸術的で、結末も映える
頑張って推理しようと思って読んでいたけれど、ここまで嘘が重なると、分かるわけがなかった
Posted by ブクログ
昔読んだことがあり、その後もテレビドラマや映画でも散々見たので、ネタは知っていた。それでも改めて読み返すと面白い。トリックや推理、犯人が追い詰められるまでの緊迫感といった、ミステリーとしての面白さというよりも、この全体が醸し出す雰囲気が、魅力だと思う。
真冬に欧州を横断する豪華列車オリエント急行の中は、日本に暮らす自分には、想像もできない空間である。
まず、公爵夫人や外交官の伯爵、大金持ちの紳士と、そのメイドや秘書たちに、貴婦人とセールスマン。こういった人たちは、国籍も違えば、使っている言葉も違う。そして、初対面にもかかわらず、車内で顔を合わせるうちに親しくなり話をするようになる。こんな豪華列車の一等・二等車両という社交空間は、今でも世界にはあるのか知らないが、自分には全く無縁の世界観である。
文庫版の冒頭に、著者アガサ・クリスティーの孫マシュー・プリチャードも「今日では、金持ちの乗客がこれほど多く乗り合わせていたとは想像しにくいことですが、1930年代にはまったくありえないことではありませんでした」と言っている。この舞台設定は、1930年代という時代の空気感が可能にした設定だったのだなと思うと、その空気感を小説から味わいたくなる。
個人的に印象的だったのは、エルキュール・ポアロの取り調べに立ち会った国際寝台車会社の重役ブークと、医師のコンスタンティンの言動だった。2人の推理は、全て「〇〇人」に対する偏見から出てくる。ナイフを使って殺人をするようなのはイタリア人だ。名誉を重んじる真っ正直なイギリス人が、12回も相手を刺すことはありえない。
そんな中、ポアロだけは、繰り返し「事実だけを見ていきましょう」と言う。そうして、並べた事実と事実の間に、矛盾がない説明を探し続けることで真相に辿り着く。文章からひしひしと伝わってくる、ポアロの人を小馬鹿にしたようなプライドの高い感じと相まって、かっこいい。
荷物検査の際に出てくる乗客の持ち物や、会話の度に何語ができるのかを確認するやりとり、取り調べる相手によって変わるブークやコンスタンティンの態度。そういった些細な物と振る舞いの描写に、当時の旅の常識や社会関係、それぞれの国のイメージといった時代の雰囲気が色濃く残っている。ポアロという人物の魅力と、車内を取り巻く時代の空気感が、ネタも結末も知っているのに、何度見ても面白い理由の一つだと思う。
「賛成ですとも」コンスタンティン医師は言った。「医学的な証拠に関してですが、わたしはーそのうーひとつかふたつ、的はずれなことを言ったようです」
「それでは」ポアロは言った。「事件の真相についての説明も終わりましたので、わたしはそろそろ退場するとしましょう……」
(p408)
トリックを暴かれると、犯人たちは、淡々と事の経緯を語り出す。結末は、ずいぶんとあっさりとしている。犯人たちは、立ち会った者によって、その動機から、あっさりと「正義の殺人」を許されるのである。
これは、探偵がトリックを暴くところに物語の重心があるミステリーだからこそのすっきりさなのかもしれない。ただ、自分の今の境遇と重ね合わせて、犯罪に対するこうした結末の描き方に、とても共感する。
Posted by ブクログ
そして誰もいなくなった以来2作目のアガサ・クリスティ。
こういう古い小説を読むと今の小説とは違う点があって面白い。1番感じたのは、何回も刺してるから女の犯行だ、とかイギリス人だからこう、イタリア人だからこう、みたいな感じのセリフ回し。今の時代はこういう偏見にセンシティブだからその時代ならではの物を感じられた。
もちろん事件の方も面白かった。一見バラバラに見える乗客の関係性が繋がって真相に辿り着くのが気持ち良くてスッキリした。全員が犯人だっていうのは度肝抜かれた。昔のものだけど斬新で新鮮だと思った。その時代に描かれたものが今読んでも衝撃を与えてくれるのは本当にすごい。
終わり方も良くて面白かった。