【感想・ネタバレ】青天 包判官事件簿のレビュー

あらすじ

宋代、瑞州の新任知事・包希仁は、二十代で科挙に合格した秀才ながら、どこか抜けた青年。その資質を疑問視する世話係・孫懐徳であったが、州内で起きた「生きた牛の舌が切り取られる」事件をきっかけに――(「雪冤記」)。清廉潔白、裁きは公平、晴れ渡った空の如し。中華小説の名手・井上祐美子が、中国史上屈指の人気を誇る名判官「包青天」の活躍を描く中華ミステリ短篇集。待望の文庫化!

◆目次
・雪冤記
・赤心
・紅恋記
・黒白
・青天記
・文庫あとがき

※本書収録の「黒白」は、『C★NOVELS Mini - 黒白 - 包青天事件録』に加筆修正を加えたものです。

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Posted by ブクログ

私は中国留学組で、京劇で卒論書いたし自分でも少し習っちゃったくらいの戯迷(シーミー/京劇通好き)なので、包公さんといえば真っ黒い顔で額に三日月が描かれていて恰幅が良くて野太い声で…という中国人に共通の包拯像を持っているんだけど、この包拯は正反対のような人物像。でも、こっちの飄々とした感じ、喜怒哀楽激しくなくて口調も穏やかで食わせ物なところ、頑ななようでいてきちんと清濁併せ呑む如才なさもある…つまりは、大好きです!時代背景などの説得力もすごい!

周りの登場人物たちも魅力的で素敵だし、『桃花源〜』を読んでいる人には嬉しい「あの人」を仄めかす場面も!

もっと読まれてほしい〜☺️続編欲しい〜✨

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2025年06月07日

Posted by ブクログ

文庫化をみつけて、ようやく読むことができました。
『桃花源奇譚』の包希仁とは、別物とわかっていても、そうともいいきれない微妙なところが、『桃花源奇譚』を読んだ読者としては楽しかったです。
桃の文鎮のくだりも、さる高貴な方の手渡しかそれとも人づてか、手渡しだった場合のやり取りなど勝手な妄想で楽しませてもらいました。

1
2023年11月28日

Posted by ブクログ

宋代、瑞州の新任知事・包希仁は、二十代で科挙に合格した秀才でありながらどこか抜けた人柄の持ち主。任官当初はその資質を疑問視していた世話係・孫懐徳であったが、州内で「生きた牛の舌を切り取られる」という事件が起こり――(「雪冤記」)。清廉潔白、裁きは公平。晴れ渡った空の如し。「包青天」と市民から慕われた中国史上屈指の人気を誇る名判官の活躍を描く連作短篇集。初読み作家さんですが、読みやすくて面白かったです。

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2024年05月04日

Posted by ブクログ

中国史上屈指の名判官・包季仁の活躍を描いた連作短編集「青天」。包希仁という人物を知ったのは「桃花源奇譚」でした。同じ作家さんです。
なんというか、勝手に「遠山の金さん」的なイメージで覚えていたので、作中の活躍は予想外。「大岡越前」方面なのか。
いやいや、気軽に市井と交流をするというのは「遠山の金さん」で、公平な裁きという点では「大岡越前」ということなのかな。ちなみに自分的に名裁判といえば、「遠山の金さん」です。おじいちゃんと一緒に松方弘樹演じる金さんを見ていた記憶。懐かしい。

孫懐徳とのやりとりが微笑ましくて何より良い。助手というには役者不足な気がするので、世話役というところでしょうか。主人公の一番の理解者である存在であるのに、一番振り回されて苦労してしまう、という関係は清涼剤なんでしょうね。「青天」ではそういう印象の話はありませんでしたが、血生臭い事件も取り扱うこともある題材なので、主人公サイドには落ち着きを求めるからでしょう。

包季仁、孫懐徳、楊宗之のトリオで、これからの物語ができそう。
秀才だけど日常生活は抜けた青年・包季仁。一番の年長者で、一番の苦労性な孫懐徳。遊侠上がりの前途溢れる若者・楊宗之。頭脳派・苦労派・武闘派といいトリオじゃないですか。シリーズ化とかどうでしょうかね。資料あたるの大変そうだけども。
創作物でもいいんだけどな。

孫懐徳が五十路ということに、最後まで馴染めないままでした。なんだろう、年相応の小言を言ってはいるのだけど。自分の年齢が上がったから、五十路という数字から受ける印象が変わったからかな。無意識に、五十路は年長でなくて若い、とでも思いたいのか。なんだか、無闇に加齢を否定しているようで好ましくないですね。
加齢は悪いことではないですしね。幾つになっても、年相応でありたいし、年甲斐もなくはしゃぎたいし、背伸びして年寄りぶりたいものです。

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2023年12月01日

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