あらすじ
国家権力に叩きのめされた弓成は、すべてを失って沖縄へ辿り着き、様々な島の人々と出会う。取材に邁進していた頃は見えなかった沖縄の辛い歴史と、いまもレイプやヘリコプター墜落など基地がらみの事件が頻発し、アメリカに蹂躙されつづける現実に直面した彼は、ゆっくりと甦り、ふたたびペンを手にする。そのとき、あの密約を立証する公文書が米国立公文書館で発見されたというニュースが飛び込んできて……感動の巨篇、ここに完結。電子版には、沖縄取材記を特別収録。
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Posted by ブクログ
失意の内に弓成が向かった沖縄に舞台が移る。
そこで本土決戦の証言を聞くことになるのだが、途中で文章を区切ることもなく、内容も相まって実に重苦しく綴られていた。集団自決のため、我が子を手にかけるとか地獄だ。そして今でも沖縄は矛盾を押し付けられている。
それを伝えるべく弓成は再びペンを取る。三巻の感想で「変な理想に目覚め」と書いたが、弓成はここ沖縄で初めて確かな足場を得たのではないかと感じた。
思うに任せず運命の荒波に飲まれたが、自分に課せられた使命を受け入れ再起した、運命の人とは弓成自身のことではないか、と最後まで読んで思った。
ヌチドゥ宝=命あってこそ。生きてさえいれば。
Posted by ブクログ
いわゆる『外務省機密漏洩事件』、『西山事件』を題材にする本作。
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これまでの三巻で、元特ダネ記者弓成の光と影、頂点と凋落が描かれました。
第四巻は、言わば弓成の回復が主題です。
最高裁への控訴が棄却され、自らが信念をもって行っていたことが法の最高法律機関からも否定される。仕事も放って、失意の中沖縄へ流れ着いた弓長。
悲惨な沖縄戦の歴史、自らがすっぱ抜いた返還の際の密約、そしていまだ絶えない米兵の強姦事件。これらの舞台となった当の場所に住まう人々の生の声を聞き、それでも優しさを失わない様子に触れる中で、弓長の心は徐々にほぐれてゆきます。
そんなさなか、沖縄出身の学者によって米国で沖縄返還時の費用補償についての密約の文章が発見され、弓長の潔白は事実上証明されたことになります。また妻の沖縄への来訪をきっかけに、長年の溝がこれから埋まろうとする兆しも見えてくるなか、物語は終焉を迎えます。
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しかしどうしても感じるのは妻の悲惨さです。
30代で事件がおき、20年以上放っておかれ、自ら家と子供をまもりつつ仕事をもこなした由里子。本人には本人なりの感情・充実・ないしは紐帯があるのかもしれません。でも、誤ることすらなくこれだけの間、他人ではなく自らの家族を放置するような連れ合いに対する感情はいかばかりか、と思いを馳せずにはいられません。
本作、政治とジャーナリズム、戦争の歴史等、学ぶべきトピックが多い一方、家庭の在り方についてもまた昭和の悪しき?例も見ることが出来た作品だったと思います。
Posted by ブクログ
4巻はガラリと話が変わって沖縄の現状についてのお話。戦前・戦後の沖縄について知るには良い本だと思いました。・・・が、小説としては面白く無かったです^^;。
Posted by ブクログ
宝島を読んでもう少し沖縄の事を知りたいと思い、以前途中で挫折したこの小説を再読。
でも奥さんがあまりにもかわいそうなのと、主人公と不倫相手に対してイライラしてしまったのとで、今回も読むのが辛かった。
クリーンハンド:人を責めるものは自分の手がきれいでなければならない。まさにこの言葉通り。
国の行った事は責められるべき事だとは思うけど、結局それを暴く側の人間がクリーンでないと、何を言っても響かなくなってしまう。残念な話。
4巻で主人公が沖縄に実際に行って、沖縄の現状を描いているけれど、4巻の内容をもう少し詳しく描いて欲しかったな。