【感想・ネタバレ】運命の人(四)のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

失意の内に弓成が向かった沖縄に舞台が移る。
そこで本土決戦の証言を聞くことになるのだが、途中で文章を区切ることもなく、内容も相まって実に重苦しく綴られていた。集団自決のため、我が子を手にかけるとか地獄だ。そして今でも沖縄は矛盾を押し付けられている。
それを伝えるべく弓成は再びペンを取る。三巻の感想で「変な理想に目覚め」と書いたが、弓成はここ沖縄で初めて確かな足場を得たのではないかと感じた。
思うに任せず運命の荒波に飲まれたが、自分に課せられた使命を受け入れ再起した、運命の人とは弓成自身のことではないか、と最後まで読んで思った。
ヌチドゥ宝=命あってこそ。生きてさえいれば。

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2022年04月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

面白かった。ものすごい読み応えのある小説だった。
何より、著者の圧倒的な取材量にただただ尊敬の意を感じる。

今までの3巻はこの4巻のための序章だったのではーー山崎豊子という作家は戦争への怒り悲しみを原動力に筆を取っているというから、そんな感想を持つ。
沖縄に米軍基地がある、ということは無論知っていても、それによる住民の苦悩、実際に受ける理不尽な扱いの数々を恥ずかしながら想像することがなかった。
方言札の話ーー方言を撲滅しようとしていたのに、東京の学者が「方言をなくせば文化がなくなる」と方言を残したために、アメリカのスパイと間違えられ、本土から来た兵隊に殺されてしまっていたーーなんてこと、全く知らなかった。
やるせないにもほどがあるエピソードだ。
最後は密約の存在が明らかになり、弓成氏の潔白が証明されたということだったが、一体何が悪だったのかまだ整理がつかない。
そもそも密約があることはダメなのか、特定秘密保護法はわたしたちにどういう影響を与えるのか、、この小説をきっかけに自分の考えを持ちたいと思う。

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2016年01月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いわゆる『外務省機密漏洩事件』、『西山事件』を題材にする本作。

・・・
これまでの三巻で、元特ダネ記者弓成の光と影、頂点と凋落が描かれました。
第四巻は、言わば弓成の回復が主題です。

最高裁への控訴が棄却され、自らが信念をもって行っていたことが法の最高法律機関からも否定される。仕事も放って、失意の中沖縄へ流れ着いた弓長。

悲惨な沖縄戦の歴史、自らがすっぱ抜いた返還の際の密約、そしていまだ絶えない米兵の強姦事件。これらの舞台となった当の場所に住まう人々の生の声を聞き、それでも優しさを失わない様子に触れる中で、弓長の心は徐々にほぐれてゆきます。

そんなさなか、沖縄出身の学者によって米国で沖縄返還時の費用補償についての密約の文章が発見され、弓長の潔白は事実上証明されたことになります。また妻の沖縄への来訪をきっかけに、長年の溝がこれから埋まろうとする兆しも見えてくるなか、物語は終焉を迎えます。

・・・
しかしどうしても感じるのは妻の悲惨さです。

30代で事件がおき、20年以上放っておかれ、自ら家と子供をまもりつつ仕事をもこなした由里子。本人には本人なりの感情・充実・ないしは紐帯があるのかもしれません。でも、誤ることすらなくこれだけの間、他人ではなく自らの家族を放置するような連れ合いに対する感情はいかばかりか、と思いを馳せずにはいられません。

本作、政治とジャーナリズム、戦争の歴史等、学ぶべきトピックが多い一方、家庭の在り方についてもまた昭和の悪しき?例も見ることが出来た作品だったと思います。

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2023年08月18日

Posted by ブクログ

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4巻はガラリと話が変わって沖縄の現状についてのお話。戦前・戦後の沖縄について知るには良い本だと思いました。・・・が、小説としては面白く無かったです^^;。

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2021年03月27日

Posted by ブクログ

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宝島を読んでもう少し沖縄の事を知りたいと思い、以前途中で挫折したこの小説を再読。
でも奥さんがあまりにもかわいそうなのと、主人公と不倫相手に対してイライラしてしまったのとで、今回も読むのが辛かった。
クリーンハンド:人を責めるものは自分の手がきれいでなければならない。まさにこの言葉通り。
国の行った事は責められるべき事だとは思うけど、結局それを暴く側の人間がクリーンでないと、何を言っても響かなくなってしまう。残念な話。
4巻で主人公が沖縄に実際に行って、沖縄の現状を描いているけれど、4巻の内容をもう少し詳しく描いて欲しかったな。

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2020年10月03日

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