【感想・ネタバレ】文学キョーダイ!!のレビュー

あらすじ

現代文学の最前線に立つ姉弟の対話

ロシア文学者・奈倉有里と、小説家・逢坂冬馬。
文学界の今をときめく二人は、じつはきょうだいだった!
姉が10代で単身ロシア留学に向かった時、弟は何を思ったか。その後交差することのなかった二人の人生が、2021年に不思議な邂逅を果たしたのはなぜか。予期せぬ戦争、厳しい社会の中で、我々はどう生きるのか?
縦横無尽に広がる、知性と理性、やさしさに満ちた対話が一冊の本になりました。

◇目次◇
はじめに――逢坂冬馬
PART1 「出世しなさい」がない家 Family
PART2 作家という仕事 Literature
PART3 私と誰かが生きている、この世界について World
おわりに――奈倉有里

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Posted by ブクログ

ネタバレ

よかった!この2人が姉弟という事への興味で読み始めたが、成人してだいぶ経ってからこんなに深い話をする機会はふつうの家ではあまりないのではないか。長い時間をかけて何回も対談をしたものを編集の人がまとめたとの事。
3つのパートに分かれていて、特にパート3ではまさに今、ロシアやウクライナの人々がどんな状況に置かれているのか、他人事ではない、関心を持ち続けて、考えることを手放してはいけないと、2人ともが話している。国民が賢くなるのを嫌がるのはどこの国でも同じなんだと。翻訳家としてロシアの学者の言葉を伝えたいとか、作家が政治的な発言をしてもいいんだ。自分の作品を誤読されたくない、など切実な話も出てきて、なるほどと思った。
本を読むことが平和な社会を築くことにつながるのね。デモに参加出来なくても、自分の行動や発言の意味を考えることは出来る。たしかに。

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2025年04月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ


「同志少女よ、敵を撃て」の作者が男性と聞いて、逢坂先生に興味が湧いた。お姉さんとの対談本。2人がどのような環境で育ち、どのような考えを持っているのか。非常に考えさせられる本だった。

※ ネタバレがあるので、先に「同志少女よ、敵を撃て」を読んでからこの本を読んでください。

◎「ゆっくり見守ってくれる」「さかなクンになればいい」10-13ページ「受け取りかたをサポート」58ページ「大絶賛と大酷評の両極しかないわけじゃなくて、いい作品の
中にも変なところはあるし、評価が低い作品にも思わぬ良さがあるよね」62ページ

親はそれぞれ熱中しているものがあり、出世を促さない。自分の子供が社会に馴染めず、家にずっといたら、あれこれ言ってしまいそうだ。子供は自分ではないし、違う人間ということを肝に銘じよう。
本の書かれた背景を子供に説明し、楽しみながら子供とディスカッションできるようになろう

◎ 「好きなことを楽しんでやっていると、いつか同じような人に出会えるんだよ」71ページ「周りに合わせると一時的に楽なんですけど、長期的に見れば、自分の中の信念というものが死んでいく苦痛のほうが勝っていくんですよ」66ページ

転校先で思うように友達ができず、無理やりピエロを演じていた過去の自分に伝えたい。

◎ 「現代は文字を書いて人に見られるという作業をあまりに大量にやらされ続けている」
「Twitterでバズる言葉を出力する機械になっちゃうよ」150-151ページ

学校、会社、SNSは、自分ではなく、相手が良いと思う文章かどうかが重視されている。初めて気づいた。自分のために、文章を書くのは良い昇華。

◎小説を読む理由は「必ず世界が拡張する」「なんでなにかのためじゃなきゃいけないの」163ページ

以前は知識や技術を得るために本を読んでおり、小説を読んでいなかった。小説は楽しんで読んで良いのね。

◎ 「独裁者をキャラクターとして消費する 」214ページ
「パンとサーカス」221ページ

自分がその通り。権力者をキャラクター化して、それ以上は考えず面白がる。ちゃんと考えます。

◎「民主主義をどれだけ積極的に行使しているかということは、むしろ抑圧耐性下にない国の人が考えていかないといけない」226ページ

戦争はダメだと思うが、参加していない国の人間が訴えても意味がないと思っていた。成功した事例もあるし、参加している国の人こそ訴えられないことを知った。
まずは、背景を知り、自分の考えを持ち、行動していこうと思う。

◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎ ◎◎◎◎◎ ◎◎

悲しい映像が頭から離れず、戦争について考えたり学ぶことをやめていた。この本は、それはいけないと気づかせてくれた。
映像ではなくても、文章であれば学ぶことは出来る。
まずは、戦争、世の中で今起きていることを
読書で学んでいきたい。

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2023年10月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文学研究家・翻訳家の姉、小説家の弟。

この2人が姉弟だったなんて、そりゃ高橋源一郎さんも椅子から転げ落ちるだろう。そんな偶然の一致が起きることは滅多にない。しかしこうやって対談を読むと自分も姉妹だからわかるという雰囲気がある。同じような文化を享受しつつ、ほんの数年の差や本人の受け取り方で異なる視点。別の方向に目を向けているのに、共通する意識。面白く読んだ。

本を読むことの強さを感じる。友だちがいなくたって、いろいろなものに縛られていたって、本を読むことで世界は広がり、自分は変わる。自分もそう思っている。だから本を読めるように生きていきたい。大学はある意味計算ずくで卒業してしまったけど、ひたすら知的好奇心に基づいて深みにはまっていってよい世界は楽しかった。小説家にはならないだろうけど、小説を趣味として書くことはあるかもしれない。

そして戦争と政治について。政治的なものを忌避する気持ちはある。サーカスに浸っていたい気持ちもある。けれど聞くに耐えない主張に対して、自分はNOだと言いたいこともある。小さな声でもいいから言おうと思う。そのためにも本を読み、自分の言動が自分を裏切らないように責任を持っていこう。そういうように生きていこう。

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2025年07月29日

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