【感想・ネタバレ】読んでいない本について堂々と語る方法のレビュー

あらすじ

本は読んでいなくてもコメントできる。いや、むしろ読んでいないほうがいいくらいだ――大胆不敵なテーゼをひっさげて、フランス文壇の鬼才が放つ世界的ベストセラー。ヴァレリー、エーコ、漱石など、古今東西の名作から読書をめぐるシーンをとりあげ、知識人たちがいかに鮮やかに「読んだふり」をやってのけたかを例証。テクストの細部にひきずられて自分を見失うことなく、その書物の位置づけを大づかみに捉える力こそ、「教養」の正体なのだ。そのコツさえ押さえれば、とっさのコメントも、レポートや小論文も、もう怖くない! すべての読書家必携の快著。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

本を読んでも、その内容の受け取り方は人それぞれ。これまで触れてきた本や経験がちがえば、同じ文章でもまったく別の景色が見える。そもそも本のすべてを覚えておくことは難しく、心に残るのはほんの一部分だけ。だからこそ、誰かが語る「その本の話」は、断片的な記憶と、その人自身の人生が混ざり合ったひとつの作品になる。つまり、ざっと流し読んだだけでも、目次しか見ていなくても、そこから想像して語ることはできるし、意外と気づかれない。

この本は、そんな「読書とは何か」を考え直すきっかけをくれた。一冊の本でも、読む人や読む時期によって解釈が変わる。その広がりは無限で、楽しみ方も同じだけ果てしない。そう思うと、読書は一生かけても飽きることのない遊びなんだと感じさせられた。とても刺激的な一冊だった。

0
2025年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

本は読まない方が良いというテーマから創作の始点へと導いてくれる一冊。めちゃくちゃ面白い。
引用される本の引用の仕方が上手いから、古典的な作品すらとてもモダンに感じ、読まないというテーマに反して非常に読みたくなる。ネタバレが多いなと思っていたら、最後の方にどんでん返しがあって、やられた。上手すぎる。

0
2025年04月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

完璧な読書というものはなく、読んだか読んでないかは1と0の差ではなくうろ覚えの程度の差にすぎない。タイトルや著者とか時代背景とかのメタデータだけしか知らない人が、内容をほぼ理解している人と話しても構わない。
本の感想を述べるのは創造的な行為だから、自由に語って構わない。
何と心強い本なのか。
いろいろ例示されているところはあまり関心が持てず読み飛ばしてしまったが、自分が思った通りに語ればいいとこの本は言っている。これから安心して本を読もう。

0
2025年02月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読書する目的は人それぞれであろうが、こと本書の中で語られている読書は、伝達/議論及びその先の創造に目を向けられているものであると認識。

その前提の上で特に印象的であったのは、教養とは読書量を指すのではなく、全体の中で自身の位置付けを理解することであるという主張。
実際、創造へ向けた一種の触媒として読書を行う場合、様々な本の主張を並列するだけでは何も生み出すことはできない。その中で自身がどこに位置付けられているのか、自分はどの方向を向いているのかというビューなくしては、創造に繋がるようなジャンプは困難であると思う。
その意味において、本の位置付けさえ理解できていれば、読んでいない本であっても何かを語ることができる(むしろその本そのものについてのみ、正確に語ることは難しい;解釈の多様性?)という筆者の主張は、一定の納得感があった。

特に印象的であった部分を以下に引用
「読書のパラドックスは、自分自身に至るためには書物を経由しなければならないが、書物はあくまで通過点でなければならないという点にある。良い読者が実践するのは、さまざまな書物を横断することなのである」(p.263)
「より高いレベルでは、創造そのものが、その対象が何であろうと、書物から一定の距離をとることを要求する(中略)読んでいない本についてのコメントが一種の創造であるとしたら、逆に創造も、書物にあまり拘泥しないということを前提としているのである」(p.270)

0
2023年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「読んだ」と「読んでいない」の境界の曖昧さ。
「ある本を読む」ということは、「それ以外の本を読まない」ということ。さらには人の記憶の曖昧さから、「読んだ」本は記憶の中で変形され、作品そのものとは別のものになる。作品そのものは、会話のきっかけになるにすぎない。
重要なのは、文学全体の中でのその本の位置を把握すること、自分自身の位置を把握することであって、その本自体を読んだかどうかはさほど重要なことではない。

0
2022年04月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

テクニック本ではないので自分が語れるようになるかどうかは別の話。だけど、世にある全ての本をよめなかったり、読めても全ページを読んでいなかったり、読んだ本の内容を忘れたりすることは当然のことと認識できるようになった。
「きちんと読めないこと」への羞恥心が消えていったのが一番の収穫。

本の紹介がうまいので、作中に出てくる本たちも読みたくなる。

0
2022年03月20日

「ビジネス・経済」ランキング