あらすじ
鷹島珊瑚は両親を看取り、帯広でのんびり暮らしていた。そんな折、東京の神田神保町で小さな古書店を営んでいた兄の滋郎が急逝。珊瑚が、そのお店とビルを相続することになり、単身上京した。一方、珊瑚の親戚で国文科の学生・美希喜は、生前滋郎の元に通っていたことから、素人の珊瑚の手伝いをすることに……。カレー、中華など神保町の美味しい食と思いやり溢れる人々、奥深い本の魅力が一杯詰まった幸福な物語、早くも文庫化。
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Posted by ブクログ
また素敵な本に出会えました。
進むにつれて登場人物の恋路や進路についてが明らかになっていって、滋郎さん、珊瑚さん、美希喜ちゃんを始め、登場人物皆が温かい心の持ち主で、本が人と人とを繋げていっていて…。神保町でよく知っているお店が出てきたり、本の中でまた、読んでみたい本に出会えたり。
最後の方は、珊瑚さん視点と美希喜ちゃん視点の交代が、次の展開が超気になる丁度いい尺になっていて、ページがするすると捲れました。二人が、決心したことを伝え合えた瞬間には、流石に涙しました。
Posted by ブクログ
読んでいてとても人の温かさを感じる本だった。古書店の周りをはじめとした神保町の人々全員がとても穏やかで、珊瑚さんや美希喜とのやり取りがほっこりとした。食についても取り上げられているシーンが多く、読み進めている時にお腹が空いてきた笑
また、
「愛の形はいろいろあって、何が正しいとか、何が間違いとか簡単に言えないものでしょう。人を傷つけるのはダメだけれども」
最後のこの発言で、いつの間にか愛についての固定観念を持っていた自分に気付かされた。
Posted by ブクログ
主人公・鷹島珊瑚が亡くなった自分の兄の店である神保町にある古書店を引き継ぎ、親戚で国文科の大学院生・美希喜とともに周りの人に助けられながら過ごしていく話。
古書を通じて人の悩みを解決したり、人と人をつないだりと本の持つ暖かい力を感じた。
電子書籍が主流になりつつあり、こういった暖かい人情ある本屋や古本屋が失われつつあるので、後世にもこういった店員さんと気軽に世間話でもしながら本を探せるような本屋を遺していきたいと思った!
Posted by ブクログ
亡き兄が営んでいた古本屋を整理する妹の”珊瑚”と、親戚の大学生”美希喜”を主人公とする小説。
ふたりの共通点は、将来を決めかねて悩んでいること。古書や店を訪れる人たちの出会いを通してそれぞれの道を見つけていく過程が描かれています。
兄が大切にしていた古書店と誠実に向き合う珊瑚が、とてもチャーミングで素敵でした。
美希喜は嘘をつけないまっすぐな性格で、相手の気持ちを大切にしつつ、自分の意見もしっかり言える強さを持っています。
共通点が多いふたりだから、年齢差を感じることなく距離が縮まったのだ。とてもいいコンビだ。と感じました。遠慮がちだった冒頭から徐々に距離が縮まり、ラストのやり取りはまるで姉妹のようで微笑ましかったです。
どちらかが外出した時に、お土産に食べ物を買って送り合うのも思いやりがあって素敵。
その他の登場人物も、人情味に溢れ魅力的でした。ユーモラスなやり取りに吹き出しそうになる場面もあり、とても面白かったです。
舞台となった神保町の食べ物が、少し緊迫したタイミングで登場しホッとしました。
古書への興味もでて、いつか神保町に行ってみたくなりました。
Posted by ブクログ
色んな人生の問題を抱えるクセの強い人たちとそれの未知な世界である本との出会いと変化!キャラクター達がクセが強くて面白い。ご飯も美味しそうである。すでに故人だが、やはり前の古本屋の主人の人格がおもしろい。人生を豊かに生き抜いた人特有の余裕や自信、周りの人々の心に深く残る姿がありありと残っており、死後もその存在感が健在である。このような人間こそ大人物といえるのかも?
Posted by ブクログ
何かにつまずいたり悩みを抱えている登場人物に対してオススメの本や美味しい料理を絡めて道を照らすという内容。処方箋のような飛び切りの選書と湯気や匂いを感じさせるような美味しそうな描写の料理に登場人物たち同様にメンタルもお腹も満たされていく気がした。
著者も大学時代に学んだという古典文学など文化の継承とか「三千円の使い方」の著者らしいファイヤーを目論む青年との会話、本好きにはたまらない神保町の有名店と作家とのうんちくなど読みどころも満載である。
そして、物語は亡くなった慈郎兄(大叔父)の想い人の真実がわかり、主人公2人の女性の抱えていた思いも…