あらすじ
出直し神社の手伝い娘・おけいは、同心の依田丑之助に請われ、練馬の子育て寺へ向かう。労咳が広がった寺には三十人近い女児が取り残されていた。おけいは子らの世話にあたり、かつて縁のあったお小夜・おひな姉妹と再会する。さらに、病に臥した尼僧の看病も託され──。一方、お蔵茶屋〈くら姫〉の主・お妙は、評判を呼ぶ竹取茶屋〈かぐや〉の噂に心を乱される。数奇な運命を背負う人びとに、縁起のよいたね銭とやり直す力を与える出直し神社・うしろ戸の婆の深いまなざし。人情と謎解きが溶け合う、心に沁みる傑作時代小説。
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Posted by ブクログ
楽しみにしている『出直し神社』シリーズの新作がでたので手に取った。
舞台は江戸時代、貧乏神に見初められ出直し神社の巫女として市井の人々の悩みに寄り添い人生のやり直しのきっかけを与えていく人情味溢れる物語と謎解きが絡み合うシリーズ。
貧乏神というと家に住み着いて不幸を運んでくるちょっとヤバい神様というイメージを持っていたけど、でも「出直し神社」に祀られている
貧乏神様は人生のセカンドチャンス!を提供してくれる有り難い神様。
普通の神様ではないところが面白い。が貧乏神様はまだ一度も出てこない。
やはり神様は滅多なことでは姿を御見せにならないのだろう。だから余計どんな神様か想像してしまう。
唯一、出直しのきっかけとなる縁起の良い「種銭」を授けてくれる。毎回どれくらい授けてくれるか気になるところでもある。
神社を守る「うしろ戸の婆」も魅力的。一体何年生きているのやら?
そして千里眼のようななんでも見通す力?を持っていて主人公の「おけい」に課題を与え、それが成長に繋がっていたり、謎解きになっているのも面白い。
本作品では「背負ってやりたい強力さん」が良かったなぁ。妹想いの強力さん、病気の妹への後悔の気持ち、うしろ戸の婆の言葉がじーんときて良かった。ネタバレになってしまうのであえて書きません。
あと相模屋の大旦那の隠された蔵書の中身にも笑えた。中学生の男子がやるような難しい本の表紙のしたには何と〇〇本が。
現代風のストーカー騒ぎがあったり、ギャル曽根顔負けの大食い娘が出てきたりと今回も楽しませて貰った。
今回はあまり出番がなかったけれどくら姫のお茶菓子も楽しみのひとつ。
呉公とくら姫のお茶屋対決は先延ばしみたい。
本作の最後におけいちゃんに変化の兆しが!
おけいちゃんの春はまだまだ来ないようだけど今後も楽しみだ!