あらすじ
平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる。質感なき時代に「実」を見つめる者たち──圧巻の結末に心打たれる、『罪の声』に並び立つ新たなる代表作。
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Posted by ブクログ
血の繋がりはなくとも、思いが繋がっていく圧巻な作品。初恋の思い、記者や刑事の思い、画商の思い、そして家族の思いが絵画を通して繋がったとき、真実に辿りつきました。
自分が、大切にしている思いを子どもに話し続ける父の姿が温かく、読後に自分の子育ての思い出も溢れてきました。
本当に読んで良かったとおもえる作品でした。
存在とは何かを考える
「すごい…」
読み終えて出た言葉はありきたりで陳腐なものだったけれど、何かずっしりとした重量があるのに遠く上の方できらきらとした澄んだものがみえる、そんなものが腹に胸にのしかかっている感覚を覚えた。
家族愛、虐待、憎悪、淡い恋慕、執念、悔恨、そして希望、その間を湧水のような清らかで力強い写実画が繋いでいる。
作品の中で絵画の挿絵は1枚もないのに、そのほとばしる生命力と存在感溢れる彼らの作品が脳裏に焼き付いてしまう。
「彼」の存在感も実体も記憶の中のもので靄がかかった輪郭の薄い人物に感じられるが、彼の作品の描写からは生きている一人の芸術家の命の力、思いの強さを受け取るのだ。
この作品にはたくさんのメッセージやテーマがあり、読み手によって受け取るものは本当に様々ではないかと思う。
が、少なくとも絵画好きならぜひ、読んでみてほしいと思います。
ミステリーが好きな方も、とても読み応えのある大作ですのでぜひ。
作中の「トキ美術館」は間違いなく千葉県の「ホキ美術館」がモデルで、ここには写実の大作が多く展示されています。静謐な空間で写実画に圧倒され続ける体験は、他ではなかなか味わうことができません。
Posted by ブクログ
前半の取材パートでは登場人物が多いしなかなか繋がらないしで、これから面白くなるのか不安になりながらも頑張って読み進めた。
そして7章、ついにこの方の視点がきたか!!となり、そこからは一気読み。
願い事で涙涙。あー切なくてしんどい。
もう少し先も知りたい終わり方だったけど、この作品を読めてよかった。
読み終えて、寝ている息子の頭を撫でた。ママって当たり前に呼ばれることってこんなにかけがえのない、愛おしいことなんだ。一緒に過ごせる時間を大切にしようと思った。
Posted by ブクログ
すごく良かった。めずらしく母に勧められた1冊だけど、私も人に勧めたくらい、心が震えるっていう感覚になった。後半から様々なことが明らかになってきて、繋がって、涙が止まらなかった。分厚いから読み直すのに時間かかるけど、それでもまた読みたい1冊。
Posted by ブクログ
3年後に誘拐された子供が帰ってくる??なんてありえるだろうか…と真相が早く知りたくて頑張って読みました。
子供がいなくなって破綻してしまった夫婦…さびしく思った。最後門田さんはどうするのか??スッキリしなかったなぁ。
Posted by ブクログ
友人に勧められて読みました。
文庫じゃなくハードで本を買ったのは久しぶり。
買ってよかったと思いました。
正直登場人物が多くて、途中は関係性がわからなくなったり、誰がなんて言ってたかわからなくなって戻ってみたりしましたが最後まで諦めず読んでよかったと思いました。
元々絵画が好きで美術館に行くことも多いですが、写実画は見たことがなかったので美術館に行ってみたいなと思いました。
物語は最初の誘拐事件から、どんどん話の主人公が変わり、色んな立場でこの事件を見ることができました。最後は涙涙で、本でこんなに泣いたのは初めてに近いかも。救いがあってよかった。みんなの愛を感じた。
Posted by ブクログ
三度目の正直でようやく読み終えられた!
そして、読んで良かったと思えた。
最後は母の気持ちでぼろぼろと涙が。
わたしは案外門田さん好きです。
それから、文章がとても写実的で、実際のその場をよく知る人なら脳裏にそのイメージがありありと浮かぶのだろうなと感じた。
スマホで画像検索しながら読みました。
作者の他の作品を知らないのでなんともいえないけれど、写実画家のお話でこの描写。
読み終わって考えてみれば、幸せとは何か、本当にわからなくなる。
亮と関わったことによって生まれた幸せと破滅。
関わらなければ安穏とした日常がただ続いていたのかもしれないと思うと、なんともいえない気持ちになる。
でもそんな物語なのに、読後がどこか爽やかなのは、全編通して描かれる写実画の素晴らしさだと思う。
ただただ素敵でした。
Posted by ブクログ
★3.5
登場人物が多いので混乱したが、最後全てが繋がったときは涙がでそうだった。
誘拐事件の裏にある新事実、誘拐されていた空白の3年間にいったい何があったのか…
親と子の絆、愛の物語、
Posted by ブクログ
事件パートから時効成立後も事件を追いつづける記者パートは、ちょっと読みづらさを感じたが、空白の期間の被害者の状況を描いたパートは読み応えがあった。
いつの世にも家族に迷惑をかける人はいるのだろうが、たまったものではないな。
Posted by ブクログ
真相が明らかになっていく面白さと、夫婦と子の関係性が印象に残った。
姿を消した貴彦を思うと心苦しい。そうすることでしか家族を守れなかった。
立花敦之が後々犯罪に加担していたことも示唆されていたけど、彼に何があったのかも気になる。
「存在」をそのものとして確かに捉える、謙虚さが写実の絵についても、普段の生活で物事を見る時も大切というメッセージと受け取った。
436「これから世の中がもっと便利になって、楽ちんになる。そうすると、わざわざ行ったり触ったりしなくても、何でも自分の思い通りになると勘違いする人が増えると思うんだ。だからこそ『存在』が大事なんだ。世界から『存在』が失われていくとき、必ず写実の絵が求められる。それは絵だけの話じゃなくて、考え方、生き方の問題だから。」
あらすじメモ
2人の男児が誘拐される。片方は発見されるが、ナイトウリョウは3年もの間姿を消し、突然祖父母のもとに戻った。時を経て、画家の如月脩(ナイトウリョウ)についての記事が出たことをきっかけに、新聞記者の門田が空白の3年間について追う。
リョウは貴彦の兄達にさらわれ、何も知らない貴彦と優美のもとに連れてこられる。次第に状況が明らかになり親の元へ返すことを考えるも、ずさんな家庭環境を目の当たりにした2人はリョウを引き取ることにして滋賀へ行く。そして北海道へ。しかし小学校進学のタイミングでこれ以上事情を隠しながら共に暮すことは難しくなり、岸朔之介の協力の元、リョウは祖父母の元へ帰る。その後、兄に脅された貴彦は姿を消し、里穂も連絡がつかなくなる。
ついに門田、里穂はリョウに会う。
優美はリョウと再会できていた。