【感想・ネタバレ】存在のすべてをのレビュー

あらすじ

平成3年に発生した誘拐事件から30年。当時警察担当だった新聞記者の門田は、旧知の刑事の死をきっかけに被害男児の「今」を知る。再取材を重ねた結果、ある写実画家の存在が浮かび上がる。質感なき時代に「実」を見つめる者たち──圧巻の結末に心打たれる、『罪の声』に並び立つ新たなる代表作。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

【ニ児同時誘拐事件】第九章-空白-で涙腺が崩壊。門田記者がたどり着いたのは、事件に巻き込まれた野本貴彦と優美が亮のために最善を尽くした結果だった。産みの親と育ての親。『みんなでいっしょにずっとくらしたい』と七夕の短冊に書いた子に『一緒に暮らした、、、お父さんとお母さんのことは忘れなさい』と言わなければならなかった。胸が締め付けられた。門田記者が書いた記事がこの『存在のすべてを』になったのかな。重い内容の中、里穂との関係が純愛として続いてホッとした。貴彦と亮の親子のストーリーだった。

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2025年12月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

写実主義という美術のカテゴリを知ったのは最近のこと。
本物らしさを追求して手を入れ続けるのものだそうだ。

主人公(ネタバレ含むのでぼかします)を
サポートする人たちが、
自身の人生をかけてサポートする様子が書かれている。

予定された大団円かな?と
ちょっと美化しすぎな気もするけど、
キャラクターの一言に重みがあって
読み応えのある作品。

長い作品を仕上げるのに体力が必要と思うけど、
この読後感は、丁寧に人物の心情を書いたからなんだろうなと。
ありがとうございました。

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2025年11月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

時間の流れが長く感じるほど
じっくりと読ませる一冊
読むほどにじわじわと心に染み入る一冊
映画化されるとのこと
上映開始前に再読しよう

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2025年11月23日

ネタバレ 購入済み

存在とは何かを考える

「すごい…」
読み終えて出た言葉はありきたりで陳腐なものだったけれど、何かずっしりとした重量があるのに遠く上の方できらきらとした澄んだものがみえる、そんなものが腹に胸にのしかかっている感覚を覚えた。
家族愛、虐待、憎悪、淡い恋慕、執念、悔恨、そして希望、その間を湧水のような清らかで力強い写実画が繋いでいる。
作品の中で絵画の挿絵は1枚もないのに、そのほとばしる生命力と存在感溢れる彼らの作品が脳裏に焼き付いてしまう。
「彼」の存在感も実体も記憶の中のもので靄がかかった輪郭の薄い人物に感じられるが、彼の作品の描写からは生きている一人の芸術家の命の力、思いの強さを受け取るのだ。
この作品にはたくさんのメッセージやテーマがあり、読み手によって受け取るものは本当に様々ではないかと思う。
が、少なくとも絵画好きならぜひ、読んでみてほしいと思います。
ミステリーが好きな方も、とても読み応えのある大作ですのでぜひ。

作中の「トキ美術館」は間違いなく千葉県の「ホキ美術館」がモデルで、ここには写実の大作が多く展示されています。静謐な空間で写実画に圧倒され続ける体験は、他ではなかなか味わうことができません。

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2024年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

平成3年の未解決「二児同時誘拐事件」の発生というジェットコースターのようなスタート。30年後の新聞記者の門田の再取材からは信憑性に欠ける情報を頼りに展開していくため、長いトンネルに入ったような気分だった。事件の真相と「空白の3年間」が描かれる後半は夢中になり、読み応えがあった。文章は読みやすいが、取り扱う内容の重さもあって読むのに時間がかかった。シリアスな雰囲気の中でも里穂視点と優美視点が時折和ませてくれた。最後は育ての両親と再会を見たかったと思いつつ、「芸術に完成はない」というのを見せられた気がした。

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2025年12月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

サスペンスでありミステリーでありドキュメンタリー的な要素もあり、そして美術史やラブストーリー的なところもあり……重厚なエンタメ小説であるのと同時に、なんかこれは、もう、人生!!人生の小説です!!と思いました。人生やって頑張ってる人、みんな読んでほしいです。

激動の生活を送る中でも、あの約束が忘れられてなかったって分かったとき、私も泣いちゃった。そして今から老後に備えてオタクグッズの整理に入らせていただきます。それでは。

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2025年10月30日

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