あらすじ
成功を決めるのは努力か環境か? ハーバード随一の人気教授が「能力主義」の是非を問い日本中に議論を巻き起こしたベストセラー
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Posted by ブクログ
頂点に立つ人びとは、自分は自分の手にしている境遇にふさわしい人間であり、底辺にいる人びともまたその境遇にふさわしいという独りよがりの信念を持ちやすい。
リベラル派 保守派
左派 右派
民主党 共和党
主流派 反主流派
ヒラリー トランプ
道徳的に行動する責任を負わせることと、われわれ一人ひとりが自分の運命に全責任を負っていると想定することは全く別である。
神は正義に叶う、神は全能、悪が存在 この三つの見解を同時に取ることは難しい
→人間の自由意志 悪への責任を神から人間へ移行する考え
リベラリズムの先駆者
しかし、自由意志を認めれば神の究極の贈り物である十字架にかけられたキリストという犠牲の意味を損ねる、神の恩恵を前にしての謙虚さが自らの努力に対する誇りに取って代わられてしまう
神に選ばれることは自力では決して不可能であり、そのために功績を上げてチャンスを増やそうとすることが冒涜である
→断固たる反能力主義
ただ労働的な考えだと天職について頑張ることが救済のしるしだと見なし、これが選ばれる原因だとすり替わっていく
自分たちが神に選ばれたと確信しているせいで、宗教的貴族社会は地獄に堕ちる運命にあるように見える人々を軽蔑して見下した
→能力主義的おごりの初期バージョン
選ばれたものは自力?自力でなく神の恩寵? 当時
成功は自力?幸福は制御できない要因? 現在
オバマはテクノクラート的な考えそのもの
テクノクラート的なものとしてではなく、権力、道徳権威、信頼にまつわる民主社会に生きる市民にとっての問題としなかったことが問題
このようなことが現在のポピュリストの不満の政治であり、能力主義とテクノクラシーの失敗に向き合うことが共通善に向けた一歩
人びとが能力主義に不満を訴える場合、理念についてではなく、理念が守られてきないことについての不満であるのが普通だと
能力主義はもっと根の深い問題だとしたら?実現できないのではなく、理想に欠陥があるとしたら?
能力主義完全実現は正義にかなうか、いささか疑わしい
能力主義の理想は不平等の解決ではなく、不平等の正当化
才能を自分の手柄ではないと認めれば能力主義的信念は疑問にさらされる。才能の道徳的恣意性を無視し、努力の道徳的意義を誇張してしまっている。
ハイエクの自由市場リベラリズム 才能に対する世の中の価値の尺度が違っているから受ける報酬も変わるわけでそれはただの運である
ロールズの福祉国家リベラリズム 才能のあるものが得た報酬を運に恵まれない人に分かち合う 努力の意欲さえ恵まれた家庭や社会環境によるもの
これが立証されるかはそのコミュニティから恩恵を受けて、共通善に貢献する義務があるかどうか
ハイエクの考えでも功績と価値の区別はできてるけど、お金が尺度となる市場経済の前ではほぼ能力主義と一緒
ナイトの考えだとハイエクの考え➕市場価値と社会的貢献は一致することが疑わしい
薬の売人 高額 小さな価値
教師 低額 大きな価値
平等主義リベラリズムは結局のところ、エリートの自己満足を咎めていないことを示唆しているのかもしれない
大学入試を適格者内でくじびき
能力を一基準として、最大化すべき理想としない
グローバリゼーションプロジェクトは消費者の幸福を追求し、外部委託、移民、金融化などが生産者の幸福に及ぼす影響をほとんど顧みなかった。労働の尊厳の喪失
改善に向けて
生産者として役割 貢献の真の価値は賃金ではなく、対象の道徳的、市民的重要性
低賃金労働者への賃金補助、税負担を労働から消費へ
税務政策は道徳的側面を持つ、労働よりも投資の税率が低いのはgdp増加が目的、それは道徳的前提?
実体経済にとって無益で賭博めいた投機に悪行税を課す
能力の時代が破壊した社会の絆を修復する
完璧な平等を必要なのではなく、多様な職業や地位の市民が共通の空間で出会うことは必要
Posted by ブクログ
能力主義の世の中、能力とされている内容は、純粋な自分の能力ではなく、偶然や機会・環境によって構成されている。
では真の能力主義を実現するためにはどうするべきか?
本来の能力以外の部分を平準化する「平等」の実現が必要である。
一個前に「これからの『正義』の話をしよう」を読んでいたので、スッと入ってきた。
サンデルの他の本を読んでから読むことをおすすめ。
Posted by ブクログ
実力も運のうち。
運が良い過程の育ったなら、実力も高くなる。
特に学歴は家庭の所得と大きく関係している。
機会は均等に与えられているとされているが、実際なスタート地点が違うのだから同じではない。
高学歴者と低学歴労働者との間の格差が広がり、それがアメリカではトランプの当選につながったと説明されている。
アメリカの現状がとてもよく分かった。
Posted by ブクログ
とても興味深い考え方と感じる。
確かに我々が選んでいると信じている人生についても、結局は運によるものなのかもしれないし、結局は親の裕福さに左右されているのかもしれない。
ただ、一つ言えることは昔よりも可能性は拡がっていること。
それが結果的に良い方向に向いているのかはわからず、貴族制度の時代の方が精神的尊重という点では優れており、人間にはそちらの方が良かったのかもしれない。
しかし、その制度に疑問を抱き、より良くしよう、したいと思う活動が今を作り、貴族制度を過去に変えたのなら、その過程や、そこから今抱える課題にで会えていることとして、人類は良い方向に進んでいるのかもしれない。
また数年後に読み返して、新たな視点で読みたい作品である。