あらすじ
雪に閉ざされたゲストハウスに電話が。ロンドンで起きた殺人事件の関係で警察が向かっているという。やがて刑事がやってきて……マザー・グースの調べにのって起こる連続殺人劇、戯曲「ねずみとり」の原作を始め、ポアロ、ミス・マープル、クィンら名探偵たちの推理がきらめく珠玉の短篇集。
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Posted by ブクログ
ひとつひとつの話がサクッと読める上に、それぞれのストーリーのトリックや結末は意表をつかれるものもあって面白かった。
あと、短編なのに登場人物達の個性や癖の強烈がすごい。
個人的に「三匹の盲目ねずみ」の話が、収録されている作品の中で、どこか異質に感じた。
登場人物達が、視点人物含め、軒並みあやしさと不気味さ、そして陰湿さを持っていて、
そんな人たちが同じホテル内に閉じ込められているという状況が怖くて最悪。
視点人物であるディヴィス夫妻がギスギスしだし、「もしかして…?」みたいになっていく展開が、より事件の雲行きが怪しくなっていって怖かった。
しかし事件解決のシーンやその後の展開は、今までと打って変わったハッピーエンドで、最初思わず拍子抜けしてしまったけど、
それはそれとしてふっと安心できる気持ちよさは嬉しかった。
Posted by ブクログ
アガサクリスティ本を読み始めて、50冊を超えたので、
だいたい話の展開方法がわかってきた。
短編集なので、いろいろなパターンがつまっている。
マープルものもたくさんはいっている。
「三匹の盲目ねずみ」が一番最初で、一番ながそうなのに、なぜ本の題にならなかったのだろう。
「三匹の盲目ねずみ」は、最後までどのパターンかが思いつかなかった。
Posted by ブクログ
前回読んだ「書斎の死体」がイマイチだったのであまり期待していなかったが、
期待値が低かった分、意外と楽しめた。
全部で8篇が収められている短編集で、
ミス・マープルだけでなくポアロ(文章で読むのは初めて)も登場するし、
解説を私が好きな西澤保彦が書いているという、
個人的に豪華な並びだったのも嬉しかった。
先日Eテレの「偉人の年収」みたいな番組でクリスティーを取り上げていて、
クリスティーの原稿料の高さにビビりました。
イギリス出身ということしか知らず、
子どもがいて主婦業のかたわら執筆をしていたというのも知らなかった。
何となく、1930~70年代くらいに活躍した人かと思っていたけど、
生まれたのが1890年ということは、もう少し前の年代なのかな。
ここのところよく読んでいるので、
クリスティー自身の生き方にも興味が湧いてきました。
というのもクリスティーの作品の良さというのは、
「ミステリの女王が書いたミステリの古典」的な側面ももちろんあると思いますが、
それとともに、
古き良き(?)時代のイギリスの文化、その時代の雰囲気がそのままそこに残っている、
という点にもあるのだと思います。
もちろん多くの登場人物は白人。
富裕層と貧困層が明確に分かれ、
富裕層のお館にはメイドや執事がいるのが当たり前。
小さな村ではチャラい若者は悪目立ちして、老人に悪口を言われる。村では娯楽が少ないから、村に若い花嫁が嫁いでくると、みんなで見に行って話のタネにする(これは現代日本でも同じかな)。
「オールドミス」がいる。「裁縫師」がいる。アパートに「石炭用リフト」がある。
そんな時代を想像してみるだけで、日本人にあるあるのヨーロッパへの憧れが刺激され、うっとりとしてしまいます。
-------------------ここからネタバレ------------------
●三匹の盲目のねずみ
この作品だけで、本の半分近くを占めています。長い。
登場人物が多くて、各人の動きを理解するのが大変。
で、警察だと名乗った奴が真犯人だったパターン。
びっくりしたのでミステリの仕掛けとしては成功だと思うのですが、
納得いかない気がしてしまうのは、
見破るための伏線がなかったからかもしれない。
あと、動機がちょっと難しかった。
●奇妙な冗談
ミス・マープルが登場する物語は、
日常生活の中で起こる事件が描かれるので、
本筋とはそれほど関係ない細かい生活の描写も多くて、その点も楽しめます。
マープルのお喋りが冗長なのがちょっとイラっとしますが、そういうキャラだから仕方ない。
●昔ながらの殺人事件
これもミス・マープル。
お決まりの容疑者としてしばしば「女にモテるイケメンの若造」が出てくるのが笑える。様式美。
村の郵便局に停まるバスは一日何本あったんだろうか。
スペンロー夫人が着ていた「キモノ」とは何のことなんだろうか。肌着ということだろうが、この時代の肌着とはどんなものなんだろうか。なんで「キモノ」と訳したんだろうか。
良心の呵責があると宗教にすがるというのは、古今東西変わらないんだな。
非常に女性らしい事件で、シンプルで読みやすいです。
●申し分のないメイド
突っ込みどころ満載の姉妹に仕える申し分のないメイドが実は泥棒だった、というところまででも実に痛快です。
ミス・エミリーの「心気症でわがままで扱いがめんどくさい女」の描写が素晴らしい。
そして最後の、メイドと妹が実は同一人物だった、という仕掛けはすごい。
ほっそりした人とぽっちゃりした人が同一人物だったという設定は少し無理があるけど、発想に完敗。
●管理人事件
「殿方は常に同じタイプを好む傾向がある」ね…
ミス・マープルの、犯人の動機の推理は、かなり主観というか偏見が入っていますね。
でも、ミス・マープルのシリーズは、
こういう世俗的なところがいいんだろうなぁきっと。
難しいこと言わない、論理的に考えなくてもいい、
日常生活に起きている些細な問題や人間関係の中に、
殺人事件の解決の糸口がある。
つまり、誰でもミス・マープルになれるということです。
●四階のフラット
ポアロはミス・マープルとは違って、
論理的に考えるタイプの探偵なんだな。
ミス・マープルの村の事件を読むのも楽しいけど、
探偵としては、私はポアロの方が好き。
昔は電化製品が少ないから、
電気付けないと部屋の中が本当に真っ暗なんでしょうな。
しかしフラットにまでメイド部屋?があるとは。
●ジョニー・ウェイバリーの冒険
誘拐されそうな息子から目を離すとはこれいかに、と思ったら自作自演か。
ポアロが情けをかけてあげるのがちょっと不思議なんだけど、
まだ実害が出てないからってことなのかな。
Posted by ブクログ
「三匹の盲目のねずみ」は犯人が意外で驚いた。
「申し分のないメイド」はいきなり署に来て真相を捲し立てて帰っていくマープルの勢いが好き。真相の方からやってくる事もあるのか…。
表題作は、はじめて読むクィン氏シリーズだった。あんまり毒が無い。
Posted by ブクログ
愛の探偵たち
クリスティの短編集。女史が生み出してきた探偵たちが活躍する作品集。
三匹の盲目なねずみ
100ページ以上ある為、中編だと認識。新婚夫婦が初めて民泊を経営し、そこに宿泊する様々な特徴の人々。大雪で外部との連絡が途絶えた環境。捕まらない殺人鬼。「雪の山荘」のお約束が十二分に詰まったお手本の様な作品。合わせて、クリスティはサスペンス作品の出来も素晴らしい事を思い出させてくれた作品。
ストーリーについてはある程度犯人も予測しやすくなっているが、とても面白い。登場人物達の癖づけによって皆んなが怪しく見え、疑う事が出来る状態で進行する為、スリリングな内容だ。
奇妙な冗談
マープルが登場。若き夫婦の叔父が亡くなり、遺産があるはずだが見つからない。知人の伝手でマープルを紹介してもらい、遺産探しがスタートされる。短い物語で大きな波は無いが宝探しは古今東西面白い道理で今回もとてもユニークに感じた。高額切手での遺産は今の時代では中々思いつかないが、叔父さんのちゃめっ気にほのぼのした空気感の物語だ。
昔ながらの殺人事件
探偵役はマープル。セントメアリミードで発生する事件について、全てマープルに報告すれば良いのにと思うのは僕だけだろうか(笑)警察署長に至るまでマープルの観察力、推理力についていけるものはいない。今回もスペンローという人物が感情を出さないタイプなので警察から疑われているが、この時代は陪審員制度然り、感情に訴えなければ無罪になれないのではと思う程だ。
マープルの観察と推察はシンプルであり急所を突いている。今回はお節介な部分も魅力だ。
申し分のないメイド
探偵役はマープル。村で発生する盗難事件について。彼女が最後、犯人を警官に告げるシーンにおいて、自身のメイドのいとこがあらぬ疑いでクビになり、噂が経っている事を解消する為に憤りを感じている部分が、彼女の優しさだけでは無く強さも表している。事件はありきたりではあるが、犯人の正体についつは楽しむ事ができた。
管理人事件
病気で塞ぎ込んでいるマープルにヘイドック医師が身近で起きた謎をまとめて持参。
若くてお金持ちの夫婦。夫の故郷である田舎に戻り、家を再興し、昔ヤンチャだったがオールドミス達に認められ。そんな暮らしの中で、以前敷地の古屋敷に住んでいた老婆が嫌がらせをする様になり。マープル曰く、昔から人が大きく変化する事はない。後味が悪い事件である。
四階のフラット
探偵役はポアロ。若い男女グループがフラットという旧イギリスの家屋で鍵を無くしてしまい裏通路(ゴミ捨て場?)から侵入し部屋のドアを開けようと試みるが、誤って下の部屋に侵入してしまい。死体を発見し、困っているところ、上のフロアにいたポアロが助け舟を出す。最後、ロマンチックに締めていくところがポアロシリーズらしい結末だ。
ジョニー・ウェイバリーの冒険
ポアロシリーズ。ヘイスティングスも登場。誘拐事件。被害者家族の屋敷内にて偽装が多すぎる為、ポアロは違和感に気づく。いわゆる誘拐偽装事件であり、ある程度見たことのあるストーリーだった。
愛の探偵たち
表題作。探偵役はクィン。表題作の探偵がクィンである事が感慨深い。内容はありきたりなものでアリバイも当時のミステリーに有りがちな壊れた時計の二重仕掛けだ。犯人達がそれぞれ自分が犯人だと名乗り上げ、殺害方法を実際のものと違う方法を挙げ推理が自分達に向かない様に偽装する。何重にも偽装を仕込んでいるところが面白い作品だ。
Posted by ブクログ
おなじみの探偵たちにまた会える。
「三匹の盲目のねずみ」大ヒットした劇「ねずみとり」の原作だそうで。確かに「ねずみとり」の方がこなれた感じがしたかも。
「奇妙な冗談」若いカップルがミス・マープルにした相談は、マシューおじさんが遺したはずの宝物の場所。自分の知り合いのヘンリーおじさんについて楽しそうに語るミス・マープルが示した、マシューおじさんの遺産とは。思い出話で若い人をうんざりさせるミス・マープルを思い浮かべると思わず微笑んでしまう。ハッピーな結末も素晴らしい。
「昔ながらの殺人事件」スペンロー夫人が殺された。警察から話を聞かれたミス・マープルは、いつものように思いを巡らし、そしてちょっと出かける。ミス・マープルの洞察力と行動力、それから若者をユーモアたっぷりに応援する優しさに拍手したくなる。
「申し分のないメイド」正直者なはずのグラディスが泥棒扱いされて奉公先をクビになった。代わりに雇われたのはできすぎたメイド。何かを嗅ぎつけたミス・マープルが動く——。鮮やかに悪者を見破り、グラディスを励ますミス・マープルに拍手喝采。
「管理人事件」事件が何よりの薬とヘイドック医師はミス・マープルに一つの謎解きを渡す。さらりと謎を解いて元気になるミス・マープルはやはり素敵。
「四階のフラット」鍵がないのでリフトで上がろう。若者たちが間違えて入った部屋で見つけてしまったのは死体だった。そこに現れたのはポアロ。またもや意外な人間関係があり、ポアロは事件解決と共に優しく若者を勇気づける。ところで原タイトルはThe Third-floor Flatなんですね。これイギリス英語だったっけ、アメリカ英語だったっけ。
「ジョニー・ウェイバリーの冒険」由緒ある一族の跡取り息子が誘拐された。ポアロとヘイスティングスのやりとりが楽しく、事件は大した不幸もなくあっさりと解決するので、気楽な気持ちで読めた。
「愛の探偵たち」サー・ジェイムズ・ドワイトンが殺された。連絡を受けたメルローズ大佐と居合わせたサタースウェイトは、屋敷に向かう途中でクィン氏に出会う。屋敷で彼らが救うのはもちろん恋人たち。クィン氏に導かれるように、人を語り、事件を語り、解決に導くサタースウェイト。その不思議な感覚を存分に味わえる。