あらすじ
南米の富豪ルノーが滞在中のフランスで無惨に刺殺された。事件発生前にルノーからの手紙を受け取っていながら悲劇を防げなかったポアロは、プライドをかけて真相解明に挑む。一方パリ警視庁からは名刑事ジローが乗り込んできた。たがいを意識し推理の火花を散らす二人だったが、事態は意外な方向に……。
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Posted by ブクログ
『ゴルフ場殺人事件』は、死体の服装、狂った時計、偽の証言、遺産をめぐる思惑が幾重にも重なる、かなり複雑で読み応えのある一作だった。
ルノール氏殺害事件は、途中で「これで解決した」と思わせる真相が何度も提示される。しかしそのたびに、無実の人物が罪を被っていたことが判明し、事件の輪郭がさらに反転していく。ルノール氏は息子の服を着ていたという仕掛けから、ルノール夫妻の再出発の計画、ベラによる刺殺、そしてマルト嬢こそがルノール氏を殺害した真犯人だったという結末まで、最後まで油断できない。
特に面白いのは、物的証拠を重視するジロー刑事と、「小さな違和感」から人の心理と計画を読むポアロの対決。ジローも有能なのに、ポアロは真犯人が初登場した際のほんの一瞬の描写から疑いを抱いていたという。この圧倒的な余裕と、複雑な事件を最後に鮮やかに整理してみせるところが、いかにもポアロらしくて楽しい。ヘイスティングと「シンデレラ」ことダルシーの恋も、重い事件の後味を少し明るくしてくれる。
Posted by ブクログ
すごく面白かった! 電子書籍で買い込んだクリスティ作品を予備知識なしで読んでるけれど、この陳腐なタイトル(笑)に反して、テクニカルな抒情ミステリとして傑作と思った。名脇役ヘイスティングスの色ボケや恋の行く末も最高だし、犯人当てミステリとしてのストーリー展開、お約束的仕掛けも効果抜群で全く色あせてない。初期作品としてそこまで知られていないような気がするけど、もっと多くの人に語られるべき作品と思った。原題はもっと洒落てるかと思ったら邦題そのまんまだった!他の煌めく作品名と比べすごいハンディを負ってる。
Posted by ブクログ
ポワロシリーズ2作目。1作目も面白かったけど2作目も引けを取らない面白さだった。
結構序盤はスローな感じ。
大金持ちから身の危険を感じているため来てくれと懇願する手紙を受け取り、フランスに赴くヘイスティングとポワロ。
ヘイスティングは惚れ易すぎ。何なんだこいつ
は。なぜ名探偵の隣に立つ男はみんな美人に惚れやすいのか。
フランスに現れたころには依頼人はゴルフ場で殺されており、彼の妻は拘束された状態で発見された。外部犯の仕業にしてはなぜひらけたゴルフ場の真ん中で?と引っかかるポワロ。重要な証拠は1本の短い鉄パイプ。
絶対シンデレラが犯人だと思っていたが2段にも3段にも裏切られる展開だった。
Posted by ブクログ
今作もミスリードに繋がる、でも真実にも繋がり得る小さな手がかりが巧妙に散りばめられていた。
それらが中盤から一気に回収されまた新たな謎を生む…もう読む手が止まらない!
今回も登場人物の描写に楽しませてもらった。
特にジロー刑事のポアロに対する振舞いの嫌味っぽさ!ひとつひとつ表現力が秀逸だなと…いるよねこういう人。
マルトについては登場シーンでのポアロが受けた印象から、絶対にこの子怪しいよなとメタ読みしつつ、やっぱり最後は騙された!
人物の印象が二転三転するのもクリスティ作品の魅力だと痛感。
本編には関係ないが、ドラマ版ポアロの吹き替え声優の解説も興味深く読ませてもらった。
作品に真剣に向き合っていて、よく研究されているんだなぁと脱帽。
ドラマは字幕版でしか観たことがないけど、吹き替え版でも観てみたいな!
Posted by ブクログ
事件の真相は二転三転し、最後の最後まで気が抜けずハラハラしながら楽しめました。スタイルズ荘に続き、またも男女の愛でお互いを庇いあい捜査が難航するパターン。関係性とか過去とか、色々と複雑だったなぁと思いながらも、「今、ミステリーを読んでいるぞ!」という気持ちになりました。
Posted by ブクログ
ポアロが主人公のアガサ作品の第2幕。
時代背景などを感じさせない情景を思い起こさせる書き方が面白さを際立たせる。
少々内容を書くとポアロのモナミ(親友)ヘイスティングスは少し間が抜けているのか純情に一途である事で物語を迷走させる箇所も面白い。
今作では、ポアロを打ち負かそうとジローが出てくるが、敵う訳もなく大口を叩いて退散すると言う。
そんな中で起こるミステリーが展開されていく。
読んでいく中で少し地理的な事も必要になるが、それはさておきストリートと謎解きに関しては現代の作家では思いもつかない発想で読者を迷走へと誘いながら最後にはすっと落ちどころを持ってくる読み手にとってはこの上ない爽快感を味わうことができる。
人間性と保身のために、様々な人間模様を描いた作品です
Posted by ブクログ
1作目よりも読みやすく感じてするすると読み終えることかできた。
ヘイスティングズのせっかちで早とちりで少し惚れっぽいキャラクター性が好きだったので、無事幸せになれて良かったなと思った。
1作目から引き続き読者から見た(ヘイスティングズから見た)第一容疑者が、ちょっとした情報1つでコロコロ変わっていくのがおもしろかった。
愛のために暴走したり、愛のために命を投げ打ったり、愛のために旧友と敵対したり。
今作はそんな愛の話だったなと感じた。
次作の「アクロイド殺し」は帯に問題作と言われているだけあって、なかなかおもしろいらしいのでとても楽しみ。
Posted by ブクログ
前作に引き続き、ヘイスティングスの色恋による暴走に突っ込みをいれながらも、今回は遂に成功。
原作では結婚後、牧場経営で成功してアルゼンチンへ移住したという形で、今後の登場が減るらしい。
また、ドラマ版では結婚後、鉄道への投資に失敗したため破産し、イギリスに帰国して引き続きポアロの助手を務める。
今回の事件では、依頼を受けてポアロ達が到着してみれば既に依頼人は亡くなっているという事の始まり。ゴルフ場というタイトルだが、遺体の発見現場がゴルフ場なだけで、他にゴルフ要素はない。
ポアロの推理は結構成り行き任せな感じがあるものの、ジローというライバルの存在や(特に落ちが笑いどころ)、この事件に深く関わりのある過去の事件など、推理自体も二転三転で面白かった。
最後は収まるところに無事収まった形で概ねすっきり。
解説は、ドラマ版ポアロの日本語吹き替えを担当・熊倉一雄さん!
ディズニー作品やヒッチコック等でも馴染みのある声。
人間というものは、じつに模倣ずきの動物であります。日々の生活の習慣のなかにおいても、非独創的であり、それと同様に、習慣のそとにおいてもまた模倣ずきなのです。かりに、ある男が犯罪をするとなると、彼が犯す他のいかなる犯罪も、きわめて類似性をおびてくるのであります。〜一度成功したのに味をしめて、そのつぎもきっと成功すると主張する、あの人間性に深く根ざしているものに服従してしまいました。そのおかげで彼は、独創性の欠如の天罰を受けなければならなかったのです。p149
Posted by ブクログ
ヘイスティングがいい活躍?をしたのが印象に残りました。好きな女性のために一旦はポアロと敵対しましたが、ポアロはそれにはあまり目をくれなかったのがいい結果になったと思います。ジロー刑事はポアロを最初バカにしていた所がありましたが、賭けた500フランを置いて最後はポアロに敬意を抱いたのではないかと思いました。
Posted by ブクログ
第一の殺人の被害者であるルノーが実は…というところまではなんとなくわかったのに、まさかマルトが真犯人だったとはーーーー!!!!
クリスティーの小説では書かれていること全てに何かしらの意味があるので、例えば「女性はこうこうこういうものだ」という話が事件の鍵を握っていたりする。
そういうことをちゃんと頭に入れて登場人物をさらってみると、読んでいる途中でももう少し真相に近づける気がする…
物語全体の満足度はすごく高い。
途中でヘイスティングスの行動に呆れたりもしたけど、ポアロがいいならいいんだろう…と考えて乗り越えた。
久しぶりにポアロとヘイスティングスのコンビの話を読んだけど、やっぱり友人視点のポアロは良いなあ。
ポアロの頭脳の鋭さと親しみやすさ両方が感じられる。
ジローを負かしたところは気持ちよかった。
あとがきでドラマ版のポアロの吹き替えをやっていた方の話が読めたのがすごくよかった。
ポアロのおしゃれを丁寧で行き届いたおしゃれと表現したり、物語の登場人物たちの人臭さ、ポアロを演じた役者たちの演技、どれも役者さんならではの視点だ〜と思った。
Posted by ブクログ
あまり期待してなかったのだが、ふつうに面白い。この人もしかして代表作群が凄すぎて、他のパッとしない作品の評価が霞み&厳しくなりがち?なんとなくロジックを重視する方は合わないかなあと。ポアロが超人すぎて、作者の思いつきをそのまましゃべっているようにしか見えないほど(笑)
複雑な人間関係トリックによる入り組んだ真相が明かされた時の快感たるや。あとベッタベタのメロドラマも自分好みで、読後感も心地よい。
Posted by ブクログ
アガサ・クリスティ様々なのだけど、
展開が、展開が多過ぎるー!笑
序盤の依頼人が会う前に殺されているーー
からの話の掴みはバッチリで、食い違う証言、過去の不可解な事件とその関係者などなど、兎に角てんこ盛りなのである。いつも通りそこかしこにヒントは散りばめられているものの、気持ちよく騙されてしまう。
それにしても前々からヘイスティングズはかなり恋愛脳な人物だなぁと思っていたけれど、今回は派手にやらかしている!笑
ポアロも彼の行き過ぎた行動に呆れるやら、揶揄うやらで微笑ましい。
「パパ・ポアロの言うことを聞きたまえ」
「パパ・ポアロに任せておきなさい」
この作品で気付いたが、私はこの「パパ・ポアロ」という言い回しが好きだ。相手の本質を見出し、より良い方向に導かんとするポアロらしさがよく現れている。