【感想・ネタバレ】姫君の世界史 エリザベートと黄昏のハプスブルク帝国のレビュー

あらすじ

『エリザベート』は毎年のように帝劇や宝塚歌劇で上演される人気の演目であり、いまなおウィーンの象徴的存在である。19世紀のオーストリア帝国を中心としたヨーロッパの政治社会や文化を背景に彼女の生涯をあらためて検証することで、単なる「悲劇の皇妃」にとどまらない人物像を浮き彫りにする。特に詩作や旅の記録を通じ、彼女が同時代から受けた影響、同時代や後世に与えた影響を描き出してゆく。

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Posted by ブクログ

麗しき后妃の光と影を知るための一冊。

最後のオーストリア帝国皇帝・フランツ=ヨーゼフの正室であるエリアべートの評伝です。

世界史に興味・関心があり、何かとっつきやすい本はないかと探している中で手に取った本です。

ハプスブルク家やオーストリア帝国といえば、かつての中央ヨーロッパの大国。
今となっては、ウィーン合唱少年団のような文化面でかろうじて印象をのこすオーストリア。
盛者必衰の無常観にシンパシーを感じる自分としては、おもしろく読めました。

主人公をざっくりと紹介します。
オーストリア皇后エリザベート(1837–1898)、通称「シシィ」。フランツ=ヨーゼフ1世の后妃で、ヨーロッパ宮廷文化の中でも特にドラマチックで、今なお人気のある女性です。
若くしてオーストリア皇帝フランツ=ヨーゼフ1世に見初められ結婚しましたが、ウィーン宮廷の厳格な生活にはなじめず、美しさと自由を求め続けました。
伝統を重んじる宮廷での束縛や姑ゾフィー大公妃との確執など、自由を奪われた存在でもあります。
オーストリア民族から支配をうけていたハンガリーに強い愛着を持ち、オーストリアとハンガリーの調和に大きな役割を果たしました。また、各地を旅し続け、ウィーンにはほとんど落ち着きませんでした。
晩年は精神的にも不安定で、最終的にはジュネーヴで無政府主義者ルイジ・ルケーニに暗殺されてしまいます。


教師目線で語るならば、やはり歴史の面白さは人物の生き様にやどるということを再認識できました。
また、これまで評伝を読む時には歴史の表舞台に立ってきた政治家や著名な文化人を選ぶことが多かったですが、そうではない人物も歴史を彩る重要な役割を果たしているわけで、多面的に歴史を語るには名脇役(バイプレーヤー?)にも注目することが大切だと感じました。


自分の専門は日本史で、世界史にはうといですが、楽しく読めました。
世界史の初心者にもおすすめ。

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2025年09月24日

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