あらすじ
【泉鏡花の少年時代を描いた、明治怪異ミステリー第2弾!】 時は明治、古都・金沢で過ごす変わり者の美少年・泉鏡太郎。(のちの泉鏡花)おばけ好きな鏡太郎は、人力車夫の義信とともに怪異の噂の真相を解き明かす。 魚の化生ではないかと噂される陸軍少佐夫人、神隠しから帰って来た医者の息子、河童の正体……など。 そして、ある不思議な噂が、金沢を揺るがす大きな事件へと発展していく――!
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Posted by ブクログ
泉鏡花もとい鏡太郎くんの年上女性に対する賛美が相も変わらずで安心してしまった。
泉鏡花作品は『天守物語』とあと数作しか読んだことがないので、「少年時代の泉鏡花が体験したことを基に作品を書いた」という設定のこの物語、後書きで先生も言及されていたとおり、泉鏡花作品の入り口としても面白くありがたい話だと思う。
あの体験したあとで、実際どんな話を書いたんだろうと気になりますもの。
各話が終わるたびにあるコラムもまた興味深い。
解説も楽しみなのです、いいぞもっとくれ。
と、実際の泉鏡花作品との架け橋にもなるこの作品、今回は初手から鏡太郎くんの賛美が止まらない女性が登場。
山姫様がクールに去ってしまわれてからどうなるだろうと思っていたら、前述通り安心するという。
この話、決して安堵できるような話ではないんですけど。
しかもこの初手話が最後に文字通り大きく「火を噴く」話になるという。
そんな展開は想像していなかったよ!
他にも、鏡太郎くんの過去に関わる話も登場。
まあ義信さんの過去に関わる件もあるにはあったけれども、彼は一作目で粗方やりましたしね。
鏡太郎くんが過去に体験したことへの答え合わせ、そのオチも含めて印象深かったです。
でもやはり一番印象深かったのはラストの話。
作中で一番やっていることは過激で、それでいて幻想的で、山の恐ろしさというか、人智の及ばない世界の恐ろしさを感じた話だったなと。
妖怪の出てくる『くらがり堂』に繋がる話でもあるので、科学では説明できないことが出てきても大丈夫な世界観のはずなんだけれども、それでも驚いて。
でも綺麗なんだよなあ、美しかった。
読み手側でもそう思うのだから、鏡太郎くんがあの景色をどう捉えて後にどう表現したのか、気になりますなあ。
問題は、私にはまだ泉鏡花の話は難解すぎてなかなか読めないんですよね……あの妖しくも美しい世界観を読んでも理解しきれない。
易しい現代語訳にしちゃうと魅力半減する気がするし、でもそうしてくれないと理解できないというね。
もっと読解力上げないと駄目だなあ。
個人的な愚痴はさておき、鏡太郎くんと義信さんのもはや気の置けないバディな二人のやり取りが頼もしくも微笑ましく、今回も本当に楽しめる作品でした。
更なる続編、お待ちしております、先生!