あらすじ
【文豪・泉鏡花の少年時代を綴る、明治怪奇ミステリー!】 時は明治21年――。 古都・金沢で働く人力車夫の義信は、英語を学ぶために訪れた私塾で、寄宿生ながら英語を教える風変わりな美少年・泉鏡太郎(のちの泉鏡花)と出会う。 高い受講料に断念しようとする義信に、鏡太郎はあるものを提供することで受講料を免除にすると持ち掛ける。 それは”怪異の噂”を持ってくること。 義信は鏡太郎とともに明治の金沢で起こる不可解な噂の真相を調べに、様々な場所へと出かけることに。 お化けのでる武家屋敷、雨乞い後に必ず死ぬ巫女、金沢城跡に現れる幽霊など……はたして本物の怪異は存在するのか――? おばけ好きな偏屈美少年と人力車夫の青年による、明治怪奇ミステリー開幕!
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Posted by ブクログ
若き泉鏡太郎こと泉鏡花の体験談。
それがのちのち作品に反映されたという形の短編集です。
私も鏡花が大好きなので、楽しませてもらいました。
『夜叉ヶ池』や『化鳥』が収められいるなかでは特にお勧めで面白かった(^^)
Posted by ブクログ
出会う度に山姫を褒めちぎる年上女性好きの鏡太郎に苦笑しつつ。
貸本屋さんのお嬢さんに想いを寄せられてはいるのにね、段々彼女が可哀想になってくる。
特に鏡太郎の史実を知っていると、彼女の恋がどうなるのかは自ずと知れるのがまた。
シリーズとして続くなら、案外車夫の彼とどうにかなりそうとか予想しつつ、それはさておき。
まだ少年とも言える年齢の泉鏡花こと鏡太郎が怪異絡みの事件に首を突っ込んでは謎を解き明かしていくミステリ。
相棒はまだ金沢に不慣れながら人力車夫をしている義信。
彼もまた後半に明らかになる「謎」要素があるのだが、それもまたさておき。
怪異好き(かつ年上女性好き)の鏡太郎から英語を教わる受講料代わりに人力車夫として拾える噂話から怪異絡みの話を義信が鏡太郎に伝えて、人力車で現場まで出向くというのが基本的スタイル。
今回の話には、現実的に一応オチがつく話なので怪異は実在しない態にはなっているけれども、同じくポプラ文庫ピュアフルから先生が出している作品に繋がりを持たせる部分もあり、今後シリーズが続くなら本当の妖怪たちも出てくるかもしれないなと期待。
あちらのシリーズでも泉鏡花は出てきてましたしね。
鏡太郎と義信コンビもよかったし、それぞれの謎解きも面白かったので、ぜひシリーズ化してほしいなと思う作品だった。
雨乞い後に必ず死ぬ巫女の話とか、閉鎖された村の不気味さと相まって怖かったし、明治中期だからこその「最新技術」を活かしたネタなんかも面白かった。
折角ある人から「花」の文字頂いたし、彼が「鏡花」になるまでを読んでみたいなと思うのは自分だけではないはず。
次作、お待ちしております。