【感想・ネタバレ】不思議な少年(8)のレビュー

地球から遠く離れた惑星を地球化するためだけに作られたロボットを。
何十年もの間、自分を着飾ってひとりの男性を待ち続ける老婆を。
代わり映えしない日常に感覚が麻痺してしまった、現代のサラリーマン一家を。

永遠の生を持つ不思議な少年の目を通して
国も時代も関係なく多種多様な人間を見る、オムニバス形式の作品。

少年が触れる人間のストーリー(=人生)は、感動で心温まるものもあれば、
涙が止まらないほど切ないもの、残酷で胸が締め付けられるもの、希望に満ち溢れたものなど本当に様々。
どのストーリーも先が見えない、ありきたりや予定調和とは対極のものばかりです。

心を掴まれ、揺さぶられ、年に何回か読み返したくなる、私にとっては宝物のような漫画です。
もし今は気が向かなくても、ぜひ心の隅に置いておいてください。
そして読みたいと思ったときにゆっくりと触れて、ぜひお気に入りの1話を見つけてほしい。
気の遠くなるほどの確率の末に、この作品があなたの目に止まったのですから。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2020年08月28日

●聖フランツ
不思議な少年が珍しく感情的になって、読みを誤ったパターンかな。
フランツもなかなか、人間離れしてた。

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Posted by ブクログ 2010年10月10日

・“不思議な少年”と瓜二つなフランツ、信仰心を試される苛酷な裁判の時
・かつての栄光に引きずられたミュージカル女優が、最後に見る特別な映画

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Posted by ブクログ 2010年03月13日

こういう道徳的というか、人間の愚かさと美しさをむき出しに表現して、人間とは?を問い続ける作品ていうのは、今の時代本当に必要だと思う。

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Posted by ブクログ 2022年05月28日

少年に真っ向から意見する、少年そっくりな少年。

人生、何がが幸せかどうかについては、終わってみなければわからないかな。

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Posted by ブクログ 2015年05月23日

9巻まで一気に読んで、不思議な少年は恐らく神が遣わした天使なんだろうが、人間を見届ける者としての不死には限界がないから全く同じではないが、メタモルフォーゼして性をも超えて人間と交わる下りはクラムジーじゃん、って今頃気付いた。クラムジーほど楽天家じゃないけど。クラムジーはアンドロイドだから機能停止と言...続きを読むう限界があるし、見届ける者でもないんだけども、天使の様な無垢さ、と言う表現を人間が使いたくなるのは何故だろう、と言う部分で通じるものがある気がする。

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Posted by ブクログ 2009年10月22日

様々な「人間」の生き様を、永遠の時を生きる「少年」が見つめる、ヒューマンストーリー集。

描かれている人間の感情の表現が秀逸でありながら、ありがちな感動物に終始せず、どこか淡々としたところがあり、飽きにくい作品。


今回の第8巻は、「少年」に「信仰」を試される少年、過去の栄光に身をやつす女優の二つ...続きを読むの物語。

前者は集団心理との葛藤を叙情的に、後者は養子との関係を中心に、廃れゆくものへの哀愁が描かれている。


また、山下和美のやわらかな描画が、詩的なストーリーにマッチしている。そこも見所の一つか。

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Posted by ブクログ 2009年11月11日

昨日(10/3)発売の最新巻です。

不思議な少年は全巻揃えてますが、ひとつひとつ
こちらにUPしていません。

これは、ずっと中世の魔女狩り時代の話→100年近くあとへ、と続く
山下和美お得意の海外時代モノ。


集団は怖い、
集団はひどい、
集団はヤバい・・という今も連綿と続く、
大多数集団心理...続きを読むの恐ろしさと、人間のもろさが如実に描かれた作品になっています。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

いつも読む人の心の裏側をのぞき見るような作品が多いこのシリーズ。
今回は聖フランツ4部作。
果たして人は究極の場に追い詰められた時、わが身を捨てられるか?
自分の身に置き換えて、ひと時沈思黙考してしまった私です。
残る1つは「マリー・ロンドン」
かつてのミュージカル女優のお話。
孤児をひきとって育て...続きを読むてみたものの・・・。
子育ては、血の繋がっている間でもむずかしい。
それが、血も繋がらず、ましてや外国人の子供だったら、どんなに大変か!
辛いシーンの連続でしたが、最後はホロっとさせるのは、やはり山下和美の巧さですね!
脱帽です♪

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Posted by ブクログ 2012年07月15日

時代と場所を問わず人の営みに干渉する少年を狂言回しとした連作集。長い期間をかけて不定期連載しているせいで、この少年の立ち位置が徐々に変化していく様が非常におもしろい。初期には人間の本性を暴く、あるいは試す、ある種興味本位の傍観者にすぎなかった。後期になるにつれて、人間の運命をあるべき姿に修正する積極...続きを読む性を持つようになる。傍観者から調停者としての役割へと変化していく。
この作品がマーク・トウェインの未完の同名作から着想を得ていることは間違いないと思う。トウェインの少年はサタンの甥なのだが、山下作品における少年も初期においては非常に悪魔的ともいえトウェインの影響を感じさせる。一方、後期に至っての調停者としての少年は、明らかにトウェインとは方向性が異なる。トウェインを離れて独自の少年を描き出しているとも言えるが、しかしそれは少年自身の主体性を失っていく過程でもある。後期のほうが人間への働きかけが強いことから、一見より主体的になったようにも見える。少年は運命や歴史の流れといったより大きなものに取り込まれ従属を強めていく。となれば、物語はどうしても予定調和の閉じたものになりがちになってしまう。そこをどう回避するのかが今後の焦点になるのだろうが、今のところまだ閉じた世界からは抜け出てはいない。

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