あらすじ
世界の南のはずれ、蛇神の抜け殻から生まれた島々。
領主は「海神の娘」を娶り、加護を受けていた。
沙来の天才楽師・忌は海から聞こえる音色に心奪われ、
滅びの曲と知らずに奏でてしまう。
隣国・沙文と戦を重ねていた沙来は領主を失い、
「海神の娘」累が産んだ男児は「敵国・沙文の次の領主となる」と託宣を受ける。
自らの運命を知り、懸命に生きる若き領主と神の娘の婚姻譚。
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後宮の烏スピンオフ第二弾『海神の娘 黄金の花嫁と滅びの曲』は前作『海神の娘』より前の時代のお話。
戦争が絶えない沙文と沙来。それぞれの国の領主とその妻である海神の娘、彼らを支える人々を中心に描かれます。
『後宮の烏』の烏連娘娘も、海神も、この世界の神々は残酷で気まぐれです。海神に選ばれた領主や海神の娘でも、自ら努力をして状況を変えていかないと生き残れない。
実際、戦では沙文の方が禁忌を犯しているのですが、滅びたのは沙来ですから。神の気まぐれに人はふりまわされてしまうのです。
それは、『十二国記』や『香君』などでも描かれたテーマで、神と施政者、人のありかたについて考えさせられます。
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キツイでも好き!
冒頭から巻末までずっと重苦しくて心にのしかかる世界
1巻で触れられていた、争いあって滅びの道を辿る両領地、主だった者が死に絶え合併に奔走する若い上層部。
人の心を持たない海神の遊戯。
そんな神に仕える巫女王、霊子。
海神の世界で、遊ばれ翻弄され嘆き畏怖するしかない人々、人々を娘たちを、せめても幸せにしたい霊子、何が霊子を嘆かせ怒らせているのか分からない海神の三つ巴。
今後、霊子が海神の元に行くことになった話もあると思われて楽しみ。
でもきっとそれも悲しい物語。
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『後宮の烏』と同じ世界線の別大陸の物語。 続編を待っていました。 争いの絶えない隣国、沙文と沙来を舞台に、そこで生きる領主や海神の娘の生き様が描かれる。若由と英の夫婦の話はもちろん最後を締めくくる素敵な物語だが、この夫婦に連なる両国の脈々と続いていた歴史と人の営みを思うと、その壮大さに心打たれる。理不尽な出来事を経験してもなお、人は前に進む。まさに強く儚い者たちの物語だった。
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今回は沙文と沙来の短編ですが全て話が繋がっていてどんどん引き込まれました。
海神に振り回される登場人物たちの苦悩や葛藤がドラマチックで生き生きとしていてとても胸が熱くなりました。
領主の居ない沙来がどうなるか気になるし、海神と霊子の過去も早く読みたい…!
続編希望!
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シリーズ2作目。
明るい話ではない。辛さ苦しみ恨み怒りを扱いつつも一筋の光が訪れて救われる。人間は群れたり寄り添いつつも、一人である。特に立場が上であれば孤独だし孤高でなければならない場合が多い。海神は気まぐれで厳しく、でも娘を遣わす。
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2作目は、沙来と沙文の島のお話。沙来の天才楽師と名高い忌が、海から聞こえてきた音に心を奪われ、滅びの曲と知らずに奏でてしまったことから、悲劇が始まる。
本来なら、海神の娘を娶ることで、それぞれの島はその加護を受けることが出来るのに、その加護を与える海神である海若が、滅びの曲を気に入ってしまうなんて。ただそれだけ、気に入ってしまったから、聞きたい。それがどういう結果をもたらすかは、わかっていないのだ。
実は、海神の娘も、彼女たちを娶らなければならない島の領主たちも、海神に運命をほんろうされているに過ぎないのではないかと思ってしまう。そんな彼女たちの幸せを願う巫女王である霊子が、海若の時に無謀な行動を諫めつつ、彼に寄り添う姿が少し痛々しく思われた。海若と霊子の関係が気になるところ。
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今回は、かなりさみしいお話だった。
笛で奏でる曲を聴きたいがために、島を滅ぼす海神。
もともと小競り合いのあった沙文と紗来の2つの島のうち、
戦いの最中、海神の雷が落ち燃え尽き、沙来は滅びる。
沙文の方も領主一族が死に絶え、
紗来の領主の息子が新しい領主として運ばれてくる。
生きる場所を失った紗来の人々は沙文に移り住むが、
当然、人々には軋轢が生じる。
領主はどう向き合うのか。
元々、神というのは理不尽なものであると思ってはいるが、
いやだからこそ、
物語の中では人に優しくあってほしいの。
巫女王である霊子が海神といることを選んだ話、
人でなしの道を選んだ話は、
いつか語られるのだろうか。
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買ってからずっと積んでたけど、やっと読めた。
1巻はあまり話同士の絡みがなかったけど、こちらは連作ものだった。
沙文と沙来の長年の確執と再興の物語。
しかし、海神・海若は一体何がしたかったのか。
あと、霊子の正体も気になる。
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海神の娘が領主の嫁となる世界。
神の采配と人々のあがき。
みんな一人一人、自分にしか乗り越えられない試練を抱えて生きている。
なのに、血脈の縛りにも抗えない。
生きるということの尊さ。
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今回は婢の娘・嬰が海神の娘に選ばれた。仕えていた家のお嬢様が目にかけてくれたのが裏目に出て、何で純粋で傲慢なのかと思っていましたが、海神の娘に選ばれた事によって立場が逆転。それでも、心は高貴なままのお嬢様に囚われていた嬰が哀れでした。
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争い続けた沙来と沙文の2国は、神の怒りに触れ恐ろしい雷による神罰受けた過去がある。その後、両国間の婚姻を重ね平和を目指してきたが、お互いの不満が燻り再び戦が起こりそうになる。真面目な若い領主・由(ゆう)とその妻で海神の娘・英(えい)は懸命に民をなだめようとするが…。時に絶望しながらも最善を尽くそうとする姿が眩しく輝いて、幸福を祈らずにはいられない。
後宮の烏の世界
白川先生のお話 大好きです。
世界観や登場人物の心根。
今回は少し長編で 二つの島に関わる海神の娘も時と共に変わり、前作より少し悲しい感じです。
Posted by ブクログ
今回は二つの島の物語。
一つは海神の戯れに滅ぼされ、もう一つの島は領主の一族が全滅。
そして、戦の絶えなかった島の人々が共に暮らすことに(~_~;)
そこへ嫁に送り込まれのも、領主として敵地で育てられるのも悲劇かと。
神は理不尽というのを見事に描かれているのは、凄いとは思うんですが、このシリーズ、不穏すぎる。