あらすじ
小学校で独りぼっちの「私」の居場所は、母が勤めるマッサージ店だった。「ここ、あるんでしょ?」「ありますよ」電気を消し、隣のベッドで客の探し物を手伝う母。カーテン越しに揺れる影は、いつも苦し気だ。母は、ご飯を作る手で、帰り道につなぐ手で、私の体を洗う手で、何か変なことをしている――。少女の純然たる目で母の秘密と世界の歪(いびつ)を鋭く見つめる、鮮烈な中編。芥川賞候補作品。(解説・又吉直樹)
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Posted by ブクログ
子供ならではの独特な表現が、大人になってからは得られない感性でありとても美しく感じた。
大人とは未知の生物だと感じていた幼少期の気持ちを少し思い出すことが出来た。
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『私』の世界観から語られる言葉が物語を動かしていて、幼い『私』の言葉足らずさが読者である私に考える幅を与えてくれるとても考えさせられる作品でした。未熟な私を写して考えてみるけれど、『私』の置かれている状況は、投影できるほど生やさしいものではない。読んでいて少し苦しくなる。
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自分の知らない母親の顔、例えば母は働いているが、職場にいる母は想像しにくいし、満員電車に揺られてる母もイメージできない。子供の頃自分の知らない親の顔があるのが恐かった。
その逆で、授業参観だとでよそ行きの顔をしている自分を親に見られるのも嫌だった。
この小説は自分の子供の頃の思考を忠実に蘇らせてくれた。
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小学生ならではの文体
風景とかのふとした日常から感じた小さい頃特有の語彙は、私の過去を思い出させるものがあった
なんでお客さんはすぐ死ぬハムスターくれたんだろう
って思ってたけど、そういうことだったんだな
解説読んでやっとわかった
お金持ちの女の子のお父さんがあの人って普通に読んでて気づけるんかな、聡いね
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尾崎世界観さんの2作目にして、芥川賞候補作に選ばれた作品。
前作『祐介』とは作風も文体も全く違う。そうなるのは主人公が小学生なので必然だが、それを書き切る表現力が凄まじい。
———あらすじ———
小学校で独りぼっちの「私」の居場所は、母が勤めるマッサージ店だった。
「ここ、あるんでしょ?」「ありますよ」
電気を消し、隣のベッドで客の探し物を手伝う母。
カーテン越しに揺れる影は、いつも苦し気だ。
母は、ご飯を作る手で、帰り道につなぐ手で、私の体を洗う手で、何か変なことをしている――。
少女の純然たる目で母の秘密と世界の歪(いびつ)を鋭く見つめる、鮮烈な中編。
第164回芥川賞候補作。
行き場のない少女は、カーテン越しに世界に触れる。
デビュー作『祐介』以来、4年半ぶり初の純文学作品。
———感想———
小学校低学年の主人公「私」の見る世界と心情を、丁寧に描写する文章が秀逸。主人公の純粋さがダイレクトに伝わってきて、面白くも、心苦しくもあった。
いけないことをしてそう、だとはわかっていても、具体的に何をしているのかはわからない世界を、大人になってこんな解像度で書くのがすごい。僕は小学校低学年当時の感覚や感性なんて忘れてしまっている。
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付箋を貼りたくなるシーン、表現の連続だった。小学生の少女には母がカーテンの向こうでやってることが何かいけない事なんだとわかっている。そんな母に対する感情に折り合いをつけ愛情を求めるようとする少女の健気さが読んでいて辛かった。
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純粋無垢な子供の視点で子供の持つ語彙によって書かれる生々しい現実はとても重く感じた。
大人の汚さが子供の純粋さと対比されることによってより汚く、穢らわしく感じる。
そんな現実の中でも生き抜こうとする母子の姿に終始胸が締め付けられる。
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自分の幼い頃の境遇とはまったく異なるはずなのに、読んでいると不思議と共感や懐かしさが込み上げてきた。なぜそう感じるのかははっきりしないが、未知のものへと向かう関心や興味が、そうした感覚を呼び起こしているのかもしれない。
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初、尾崎世界観の小説!
読んでいくうちに、母娘の置かれている環境や状況が理解できるけど、小学生低学年の娘の文体が読んでいて少し疲れたけど、薄いし読み切れた。
又吉直樹の解説も楽しみにしていて、読むと娘の限られた言葉の中で巧みに描かれていた世界が私の中でようやく形を成した瞬間に感動した!
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ずっと前、子どもの頃
人混みの中で突然心がざわつく感じ、
会話してる相手の声が急に聞こえなくなる感じ、
話の内容よりその人の靴が気になる感じ、
を思い出した
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小学生の視点で、分かることと分からないことが明確に書き分けられているのがすごいなぁと思った。
お母さんがマッサージ店で働いている間、隣のベッドで待つ主人公。「言っていい?」とか「こわれたところを直す」とか、主人公が性的な施術を分かりきれてないところも、行為の生々しさを際立たせていた。
「変タイマッサージ店」とか杏仁豆腐にハムスターのウンコ乗せられたりとか、あからさまにいじめを受けているのに、傷ついているように見えなかった。ハムスターが死んだときも。お客さんからお母さんに向けられる、蔑む視線以上に禍々しいものはないのかも。
描写を小学生までにとどめることで、突き放しも引き寄せもしてもらえない痒さが、純文学って感じした。
世の中にあるエンタメ、すべて人間関係がテーマになってると思うと不思議だな。その視点で読み解くと、それぞれの癖が見えて面白そう。
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子供が書くような文章と対照的に内容が重くて、読んでる間ずっと苦しかった。パキパキと表現される、お母さんを変にするそれはなんだったんだろう、、
子供目線から書かれる周りの大人達の苦しみが濃くて、本当に辛くなった。お母さんが男の人と変なことをしてる、この意味が分からないところから段々と知っていく過程、本当に絶妙。
子供の感じる汚さが本能的でゾワゾワするような感じ
Posted by ブクログ
尾崎世界観の世界観
表現がおもしろい
小学生の女の子の心の中
うまく表現できないけど
ふいんき伝わってくる
みたいな。
先生…クズすぎるよ…
遅れてるってそういうことよな?
言う?それ。
ということはきっと子供も。
いい大人に出会えますように。
Posted by ブクログ
子供の視点から描かれている本。
尾崎さんだからこそ表現できる観音的な表現から何度も読みたいと思える本だ。
幼いながらに母親の事を分かりたいでも分かりたくない。そんな気持ちも繊細に書いている。
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なんだか尾崎さんらしい本でした。
大人の成人男性が小学校低学年の一人称で、描写をしていくところに凄みを感じました。
また、クリープハイプの楽曲で使われそうだなぁと感じる文章なども見られてファンの方は、一層楽しめるかなと。
内容としては、少し重たいが我々が普段の物語で得るような活力や高揚感、幸せとは少し離れていて、普段読書を娯楽としている人たちの真反対に存在する、暗い日常をリアルに書いていました。
少し気持ちは重くなるかもしれませんが、影を知ることで自分の生活がいかに恵まれているか、それを再認識できる本だと感じます
Posted by ブクログ
子供ならではの視点、あの頃、日常の、今思えばどうでもいい風景がひどく気になり心にずっと留まってた感覚が上手く表現されていた。彼女が大人になり母親についての全てを知る時が、どうか来ませんように。
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子供の視点で物語が進んでいくのに、描かれている内容はそれに相応しくなくて、苦しい気持ちになる。ただ子供の考えや感じたことが純粋で、母を愛していて、それが余計に苦しい。大人はだれも助けてくれない。そんな現実を突きつけてくる。きっとこの世の中もほとんどがそうなのだろうと考えさせられる。
Posted by ブクログ
何度か親のそういった場面に遭遇したことがありますが、子どもの頃の親の性的な行為って強烈に残る。
子どもが大人になって「あれはこういうことだったのか」が繋がった時のなんとも言えない気持ち悪さ。
性的に大人になって数年経つので忘れてましたが、数年ぶりに思い出させられた作品。
しかも主人公の場合、親の相手は親が愛した人でも何でもなく、自分の担任や政治家、知らない汚い大人たち。これが数年後に理解できるようになってしまったとき、主人公は親のことをどう思うのだろうか。
気持ち悪いと思うならまだ真っ直ぐ生きれてると思うけど、
「うちの親おくれてるから仕方ない」と納得してしまうことが、一番最悪の結果。
けど大きくなるにつれて、親がおくれてること(とまでいわなくても周りと比べて変なこと)、気づいちゃうもんね。おくれてるからって世界に蔑まれていい理由には全くならないのに、この世界に生きてると、そんなクソみたいな理不尽に納得してないと、自分の首を絞めることがあるのが現実。
きっと主人公はこの体験が人生の大きな壁になることでしょう。貞操観念も狂っちゃうんじゃないかな、とか考えたら苦しくて、他の方のクチコミにもありましたが「文学的すぎて子どもを装った大人が書いてる感」を多少感じつつ、気付いたら感情移入?してた事に、読み終えてからの胸糞感で気付きました。
又吉さんの解説で納得した部分もあり、私にとっては又吉さんの解説ありきでこの一冊を自分の中に落とし込めたと思ってますが、主人公の体験を「この時期の大切な経験」だとは思えなかったです。これからこの時期を迎える子どもたちにはできれば誰一人こんな経験せずに生きてほしい。
Posted by ブクログ
⭐️3.2
お母さんは何か『変』なことをしている。幼いながらに分かっているが、分かっていない。カーテン越しでのやりとり。近いのに遠いお母さん。こんな所にしか居場所がない『私』が気の毒で仕方なかった。
徘徊してたおじいちゃんとのシーン。
もう誰か止めてくれーっと心の中で叫んだわ泣
又吉の解説で少し心が洗われた。
尾崎世界観さん初読みだったけど、とんでもない人でした(良い意味で)
Posted by ブクログ
知っても苦しい。知らなくてもさみしい。
えも言われぬ母との距離感、自身でも気づいていない孤独。
歪んだ大人の世界。
傍観者として終始変な表情で読んでいたと思います。
切符に対する行動等 子供らしさを際立たせて
少女の立場をより際立たせる一方、
水や母に対する表現が文学的すぎて
「あ、少女の皮をかぶって大人が書いているな」と現実に戻る箇所もちらほら。
このあたりのすみわけは難しそうだから、素人がどうこう言える立場ではないけれど・・
汚い世界を汚れのない目できれいに表現した作品。
そして何よりも又吉先生の解説が芸術的すぎて、
余韻をすべてかっさらっていた。笑
又吉先生の作品も読んでみたくなってしまった。
Posted by ブクログ
表紙の100円とあらすじ どう繋がるのかなと気になって買ったこの本。
想像以上に苦しくなって心折れそうになりましたが、なんとか読み終えました。
女の子の感じるにおい、感触、などがこっちまで伝わるような書き方でした。
子どもって思う以上に大人を見てるよね。
この本を読む間は男という生き物に対して怒りがずっと湧きます…止まらない止まらない。
Posted by ブクログ
簡単に言うと親ガチャに失敗した少女の内面の成長の物語。
幼い少女の目を通して描かれる社会があまりに残酷で、何度も目を背けたくなった。
影のない父親を含めて男たちの人間性がどれもこれも悍ましいのだが、現実世界にも確実にこの手の男は存在するだろうという嫌な説得力がある。
母親の行動や描写に少し引っかかったが、おくれてるという表現で腑に落とされた。
この母の人生も読んでみたい。
Posted by ブクログ
所々のひらがな・子供なりの変換能力があり、子供視点になりやすかった。
小説と映画で、小説にしか出せないものってなんだろうと考えていたが、まさにこの作品だった。
誰も名前が明かされないまま話が進む。
(選挙ポスターのお父さんを除く
異様なまでに会話が少なく、主人公の心情がベース。
拙い表現で、よく汚れを思い浮かべる。
Posted by ブクログ
想像できなかった内容だった
文章がもう尾崎世界観すぎた
芥川賞候補作品
10年振りくらいに、又吉の火花を読んだ時の感覚を思い出していたら、最後の解説で又吉直樹、ってでてきて、ぶわあやっぱそっちの感じなのかってなった
自分の視野を広げるきっかけになったが、再読はしんどくて難しそうで、誰かにすすめるには重すぎる
純文学、、すごい、、