【感想・ネタバレ】世界で最後の花 絵のついた寓話のレビュー

あらすじ

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日本国際児童図書評議会「おすすめ!日本と世界の子どもの本 2025」選定図書

第十二次世界大戦が起きた世界。文明は破壊され、町も都市も、森も林も消え去った。残された人間たちは、ただそのへんに座りこむだけの存在になりはてた。ある日、ひとりの若い娘がたまたま世界に残った最後の花を見つけます。その花をひとりの若い男と一緒に育てはじめます。すると……。なぜ人間は戦争を繰り返すのか? 第二次世界大戦開戦の直前に描かれた、平和への切実な願い。世界的ロングセラーを村上春樹の新訳で復刊。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

本文の文章(村上春樹訳)をそのまま使用して途中端折りながら大まかなあらすじを書きます。

あらすじー

第十二次世界大戦があり
文明が破壊されます。

少年たちと少女たちは成長しても、
ただおたがいをぼんやり見つめあうだけです。
愛がこの地上からそっくり消えてしまったから。

ある日、それまで花をいちども見たことのなかった
若い娘が、たまたま世界に残った最後の花を目にしました。

彼女の話に興味を持ってくれたのは、
よそからやってきたひとりの若い男だけでした。

若者と娘は花に養分をあたえ、
花は元気をとりもどしました。

花は二本になり四本になり、
林と森がまた地上にもどってきました。
世界に愛が再びうまれました。

若者と娘のあいだに子供が生まれ育ちました。

町や都市や村が生まれました。

そして兵隊たちも。

まもなく世界にはまったくなにひとつ残りませんでした。

ただひとりの男性と
ひとりの女性と
そして一本の花だけはべつにして。



訳者あとがきより抜粋
(前略)
本作品『世界で最後の花』は1939年11月に刊行され、その年の9月にナチス・ドイツ軍がポーランドに侵攻し、第二次世界大戦が勃発していると述べています。(中略)
この本はローズマリーに捧げられていますが、彼女は1932年に誕生したサーバーの一人娘でした。彼女の生きた世界は、お父さんの願い通り「より善い」世界だったのでしょうか。(中略)
みなさんもご存知のように、世界では今でもこの現在も、残酷な血なまぐさい戦争が続いています。いっこうに収まる気配はありません。それはあとになったら当事者の将軍たちでさえ「何のための戦争だったかもう思い出せない」ような戦争であるかもしれません。そんな中で「世界で最後の花」を守るために、多くの人が力を合わせています。この本も、そんなひとつの力になるといいのですが。



感想
血なまぐさい戦争をどうにか明るいファンタジーに描き希望がみえるところがよいと思います。
「世界で最後の花」がまだ現れるうちは希望があります。
「世界で最後の花」が二度と現れなくなったらと思うと怖い気がします。

0
2023年07月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

短い文章に決して上手ではない絵なのですが、戦争はすべてを奪ってしまうことが表されています。
文化、芸術、普段に何気ない生活すべてが奪われても一つの花から、また愛や人々の豊かな感情が戻っていくのが印象的でした。

0
2024年08月06日

Posted by ブクログ

ネタバレ

物語は、第12次世界大戦後の荒廃した文明、そして原始的な生活に回帰した人間たちの姿に始まる。 残されたただ1つの花を愛で、平和に暮らし始めた男女が家族を作り、さらに人口が増えて文明化した途端、また戦争を始める人間が現れ…

絵は全体的にとぼけたタッチのラフな線描だが、兵隊が列を成して現れる場面は5ページにも渡り、破滅を予感させる不気味さが際立っている。

「なぜ人間は戦争を繰り返すのか?」をテーマにしたこの絵本は、ナチスドイツがポーランドに侵攻した1939年に刊行されたという。
日本では1983年に『そして、一輪の花のほかは…』という邦題で出版され、その後絶版となっていたものが、最近 村上春樹の新訳で出版されたとのこと。 まさに今だからこそ、戦争の不毛さを多くの人に伝えてくれる。

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2023年08月06日

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