あらすじ
安倍氏に最も食い込んだ記者による「安倍評伝」の決定版!
20年にわたり安倍氏を取材してきた元NHK記者が「回顧録」にも書かれていない肉声を記録した膨大な取材メモからその実像を描く。
はじめに
第1章 第三次政権への夢
第2章 雌伏の五年間と歴代最長政権
第3章 慰安婦問題と靖国参拝
第4章 トランプと地球儀俯瞰外交
第5章 拉致問題解決への信念
第6章 習近平との対決
第7章 生前退位と未来の皇室像
第8章 スキャンダルと財務省
第9章 岸家と安倍家の葛藤
おわりに
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「政治家の評価は」多角的に…。
2023年7月読了。
今、世界は一部分の戦争のせいで、世界的な食糧難、世界経済の低迷、覇権主義の台頭…等、様々な事象が起きている。
そんな世界の中で「日本」と云う国は、どう立ち回れば良いのか、どの様に世界各国と渡り合って行けば良いのか、大袈裟な表現をすれば「夜も眠れぬ…」程不安な社会である。
国情的に、政治的に且つ経済的に安定している国、などは至って少なく、世界情勢に疎い南半球の島嶼国まで、標的にされる時代である。
その事を誰よりも自覚的に知っていた、「地球儀俯瞰外交」の先駆者たる故安倍晋三氏が、もし、今生きていたならば……と、ついつい考えてしまうのは、恐らく私だけでは無いだろう。
最近の岸田首相は《先ず取り組むべきは中国だ》と言っているが、習金平やその他多くの(腹に一物どころか、ニ物,三物抱えていそうな)海千山千の政治家と、真艫に立ち向かって行けるのかどうかすら、正直心許ない今、「最悪の事態」だけは回避すべく、更なる活躍を望むが、「国家観」や「人物眼」の様なものは、天性と努力が常人レベルでは務まるものではない。
つくづくと、国の「宝」を喪った事への悲しみに暮れるばかりである。
連載当時から感じていたが、「私だけが知っている…」の類の記事は、往々にして《過大評価》されがちである。著者自身の自慢話が入っていないこと、言葉の奥に有る思いまで考えた上で、故人の発言を使っている点、これ等は男性記者でもやらかす事なので非常に良かった。
著者自身がピタピタに20年以上張り付いていた訳では無い(アメリカ支局長も兼務していた)ので、政治生活の全てを網羅できている訳ではない点、(当たり前の事だが)故人が「自分の死」を前提にして語った物ではない為、核心的な部分への証言が少ないこと、、、この辺りがモノタリナサヲ感じた点であろうか。
最後に、彼の政治生活中、ず~~~っと「悪口」「批判」「誹謗中傷」を故人へぶつけ続けた雑誌が、いざ「本を出す」と成ると、「NHKの記者に書いてもらわないと分からないことだらけ」と云うのも情けないし、二度と帰らぬ人に対して「未だに」石を投げる様な記事を、ダラダラと書き続けている新聞雑誌メディアへ言いたい。
『一人の人間として、言うべき(伝えるべき)言葉は、何も無いのか?』と。