あらすじ
嫌われ者の老退役大佐が殺された。しかも現場が村の牧師館の書斎だったから、ふだんは静かなセント・メアリ・ミード村は大騒ぎ。やがて若い画家が自首し、誰もが事件は解決と思った……だが、鋭い観察力と深い洞察力を持った老婦人、ミス・マープルだけは別だった! ミス・マープルの長篇初登場作。
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Posted by ブクログ
どこかで聞いたことがあるトリックではあったけれど、それはむしろ逆で、この作品からありとあらゆるミステリーにオマージュされていったのだなと感じた。
疑いの晴れた人間は確かに誰も疑わない、その心理をついてトリックに用いたのはさすがアガサクリスティだなと思わせられるし、いい意味での裏切りが好きなので、謎の婦人が被害者の一人娘の母親というオチに「あ、そういうことか〜」と思わせられた。古典的じゃなくてここから始まっていったんだと思いながら読むと本当に感慨深いし、こんな奇抜な筋書きを次々思いつくアガサクリスティは本当にすごいと思う。
Posted by ブクログ
あーあ、面白いミステリが読みたいなーーと思って助けてクリスティー!と読んだら…最&高!笑
もー面白すぎる!これだよこれなんだよ〜〜!大満足。
犯人わかった時本を取り落とすかと思った。
この鮮やかな謎解きを待ってた。
変にグロくもなく特殊な設定とか余計なものナシ、静かな村で起きたひとつの殺人を追うだけでノンストップで読み切らせる物語の上手さにひれ伏しちゃう。余計なものがないんだよねー!
登場人物も多いから、読みながら推理するのも楽しいし、暇を持て余した老嬢(この単語すごい)たちの無益なおしゃべりも退屈すぎて笑える。
さすがに時代が違いすぎて、物語の中で当たり前に過ぎてくこまかな描写がわかんないことも多いけど、100年近く前に書かれたとは信じられない。
次はアクロイド殺し読むの楽しみだなー。
Posted by ブクログ
ミス・マープルの長編初登場作。
セント・メアリ・ミード村におけるマープルの印象があまり良くないことに驚いた。
「あの人は村いちばんの意地悪よ。村で起きることを残らず知っているうえに、そこから、とっても悪意のある推測をするの」
マープルが村人にこんな風に思われているなんて、少しショック。地元の警察関係者にも胡散がられているし。アガサ・クリスティはマープルを何故もっと魅力ある女性にしなかったのか不思議に思った。
事件の真相には驚いた。それこそ胡散臭い村人がたくさん出てきた中での、まさかの真犯人。事件の謎解きも二転三転し読んでいて混乱した。
逆にずっと胡散臭い嫌な娘と思っていた女性が実は意外にいい娘だったことにも驚いた。
マープルがポアロと違うのは、あくまでも素人探偵という位置づけである点。ポアロのようにズバリ真犯人や事件の真相を言い当てるのではなく、あくまで自分の意見を警察関係者に述べて後は一任する。
これで事件が解決するのはマープルの洞察力と熟練された説得力によるものか。
マープルについて。
マープルはアガサ・クリスティの実のお祖母さんに似ているらしい。「気持ちのいい人間なのだけれど、あらゆる人、あらゆることで、その人やことの最悪の事態を驚くほどの的確さで予想し、それがたいてい的中する」
さらにポアロシリーズの『アクロイド殺し』に登場したシェパード医師の姉キャロラインの原型とも言われている。「気むずかしい老婆、好奇心いっぱいで、何でも知っているし、何でも聞いている、家庭内の完璧な探偵」
私のご近所にこんな鋭い洞察力を持ち近所の人たちを常に観察するお婆さんが住んでいたら嫌かな。
Posted by ブクログ
クリスティのミス・マープルシリーズ第一弾。
ポアロは映画などで何となく触れたことがあるが、ミス・マープルは本当に初めて。マープルのシリーズにも良作があるらしく、それを読むためだけに一作目を手に取った。
語り手は牧師。その牧師の家でセント・メアリ・ミード村一の嫌われ者が殺される。意外なことに犯人はすぐに自白するが。。。
思った以上にマープルが出て来ず、あれっという感じ。語り手がマープルの隣人というだけで、ある意味村人Aから見た事件、という体裁だから非常に淡白にストーリーは進む。クリスティらしい、適度に退屈で、適度に意外な犯人。当たりハズレもなく、シリーズの一作目としてはある意味普通すぎるのではないか。
何となく、語り手によって面白さが変わりそうなシリーズだと思った。
Posted by ブクログ
嫌われ者の老大佐が静かな田舎町の牧師館で殺されるところから始まるミス・マープル初登場の作品。
物語は牧師館の主であるクレメント牧師視点で語られ、村のあらゆる人物たちの人間性と置かれた状況から「だれが大佐を殺したのか」を推理していく。
結局犯人はローレンス青年と大佐の妻アンであったが、最初に自首した二人が実は真犯人であったというのはよくありそうでなさそうな展開だ。犯人が偽の自首をすることで完璧なアリバイを確保し二度と疑われることがないよう好印象に振る舞うのは、実は現実によくあることで、珍しいのは彼らが殺人犯とその恋人であった点だ。
レティスは母と海外で静かに暮らすが、デニスはやはり船乗りになるのだろうか。そして気になるのはグリゼルダが宣言通り良妻賢母となるのか否か。きっと彼女は誰もが慕う牧師様の美しく慈愛に満ちた妻となるのだろう。
Posted by ブクログ
昔読んだはずだけど、他作品の情報入り乱れて静かに没頭できなかった。語り手が犯人だったか?一度起訴されて無罪放免になったら同じ罪に問えないこと利用してわざと捕まる話だったか?などなど。
マープルさんのよさは火曜クラブの方がキラリと光る。
Posted by ブクログ
作中で「人間性」の話題がよく出てくるから、登場人物全員を疑いながら読み進めていたけど、誰が犯人か見当もつかなかった。最後の謎解きでは「そこかーーーっ」と悔しい気持ちになった。
これの直前に読んだクリスティーの作品が「なぜ、エヴァンズに頼まなかったのか?」で、わたしはこっちの冒険とロマンスと謎解きがある方が好みかも…と、思いつつ、狭いコミュニティの中で繰り広げられる謎解きも面白く読めた。
これまで本を読んできて、少し前の時代のイギリスのイメージはぼや〜っとあったけど、今作ではよりくっきりイメージできるようになった気がする。
ミス・マープルをはじめとする牧師さんやグリゼルダなどのキャラクターがチャーミングでよかった。
村で起きた事件が題材だったので、この先のシリーズでミス・マープルはどんなふうに事件に遭遇していくんだろう?というところが単純に気になる。