あらすじ
身寄りの子どもたち十五、六人と暮らす孤児・信太。物乞い稼業で糊口をしのぐ毎日だ。だが、どうしても実入りのなかった日、信太は一緒に物乞いをするおみきさんに連れられ、〈えにし屋〉を訪ねる。信太たちを出迎えたのは、お初という妖しくも美しい女。一方同じ頃、三十路を過ぎと見える、やけに疲れ果てた夫婦もお初を訪ねていた。五年前行方知れずとなった一人息子を探してほしいという。今になって何故。二組の客になぜか心を揺さぶられるお初。つなぐも切るも容易ではない縁(えにし)。真剣に扱うならなおのこと――。人生の光と影を描く、身も心も震える傑作時代長篇サスペンス!
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
えにし屋春秋の続編。気持ちよく読めてしまうのは、断片的な違和感をつなぎ合わせて見事に解決に導く鮮やかさと艶やかなお初の所作。そして声をあげづらい大家に嫁いだ嫁や孤児等弱者への暖かな視点があるからかと思う。私のお初イメージは天海祐希さんか歌舞伎の中村七之助さん。おかしらは田中泯さん。
Posted by ブクログ
1作目よりキャラクターがハッキリしてきたシリーズ2作目。人と人との縁を結ぶ「えにし屋」、ミステリーの要素が強いので一気読みした。
時代小説はあまり読まないが、あさのあつこと宮部みゆきは別格。
江戸時代は、現代と違い、身分も職業
も来し方も様々、だからはるかに人間模様がおもしろいと、、、。2人の時代小説を読むといつも感じている。
Posted by ブクログ
えにし屋の第二弾。長編ながら一気に読み進められる。人の話の小さな違和感を少しずつ解き明かしていく過程が良い。とても面白かった。何より明るい兆しが見えるラストが好きだ。次回は御蔵屋の縁談話だろうか?楽しみだ。
Posted by ブクログ
結局子供ができなかったのは摂津屋さんの方が原因だったのでは?子供には罪はないよなって読みながら思った。お常と平太が再会できたことは良かったです。
Posted by ブクログ
過ぎ去った歴史、近世の価値観を今さらどうこうならぬものの、どうやらこのシリーズでは物語として当時の男女差別の風潮に灸を据える意がこもっている。相変わらず裏に隠された真相を解明する過程が、いかにもまだるっこいのだけれど、細かで数多な不条理を紐解いて行く面白さ。お初の推察と洞察の鋭さは相変わらず。それでも、甘く見積もったしくじりが他者の命を奪ってしまう。情にほだされそうになる甘さも垣間見える。完璧ではないそこがまたいいっちゃいい。いずれにせよ、舟さん含めてけじめを保ちつつ子どもたちを救うえにし屋を応援したい。
Posted by ブクログ
人と人の縁を結ぶことを職業とする「えにし屋」のお初は。お頭の才蔵とはべらんめえ言葉で話す男なのだが、女装し、今でいうとLGBT。お初が依頼を受けたのは5年前の火災で行方不明になった当時3歳だった男の子・平太を捜索するという摂津屋夫妻からの依頼。この不可解な事件に取り組む中で、複数の殺人事件も発生し、不自然な経緯満載のドラマティックなミステリー展開を示していくが、見事にお初はこれを解決していく。物乞いの利口な男の子・信太の存在も絡みストーリーの面白さを深めている。
Posted by ブクログ
この度えにしやに持ち込まれたのは五年前に行く方知れずになった幼い息子を探して欲しいというもの。藁をも掴むようなその話を引き受けたえにしやのお初は、両親の周りから探り始めるのだが、そこには思いもよらない事実があった。
謎めいたお初や才蔵などのえにしやの面々の活躍と並行して物乞いの少年の成長も描かれている。
事実が突きつけられた時の人々の姿が残酷なよう。
時代小説版ハードボイルドという感じ。