【感想・ネタバレ】駈込み訴え(乙女の本棚)のレビュー

あらすじ

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人気シリーズ「乙女の本棚」第33弾は、文豪・太宰治×イラストレーター・ホノジロトヲジのコラボレーション!
小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

あの人は、私の女をとったのだ。いや、ちがった! あの女が、私からあの人を奪ったのだ。

「ずたずたに切りさいなんで、殺して下さい」。男はそう言って、自らの師の居場所を密告した。

太宰治の名作が、有名ゲームのキャラクターデザインなどで知られ、本シリーズではイェイツ『春の心臓』、江戸川乱歩『人間椅子』、夢野久作『死後の恋』、『瓶詰地獄』、泉鏡花『外科室』を担当する大人気イラストレーター・ホノジロトヲジによって描かれる。
名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

文豪・太宰治の二次創作。
聖書を読んでユダに感情移入してしまい、昂った気持ちのまま勢いよく書いたような作品。
初めは「可愛さ余って憎さ百倍」なヤンデレ展開ですが、終盤「商人として主を売った」とユダが自身が悪人であることを自覚する流れが、羅生門みたいで好きです。

最初、挿絵の意味がよく分からなかったですが、小羊(羊小屋で誕生)、小鳥(イエスの棘を抜く前のコマドリ?)、銀貨30枚と狐(罪のイメージ)など、聖書などでイメージが定着している動物が描かれているのかなと思いました。
全部の意味はわからなかったですが、聖書読んでる人なら理解できるのかも?
あと、ユダの足が鳥なところも謎です。

聖書って解説本読んだりしないと理解しきれ  ないと思うのですが、どうして太宰治は聖書を読もうと思ったのか、どれくらいの期間をかけて理解を深めたのかが気になります。
宗教を信じると生きやすくなるかもとか思って必死で聖書読んだけど、人間味あるユダの方が気に入って信仰心は微塵も芽生えなかった、みたいな流れなら辛い…。

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2025年02月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ユダがどういう心持ちでキリストを裏切ったかが、ユダの一人称で綴られている名作。

GOの影響で、新国立劇場の演劇「骨と十字架」を観たりして、この手のものに興味が向いてる。
太宰治、じつはあまり好きじゃないんだけど、これは非常によくできてる。むかーし若い時にも読んだけど、今の方が理解できる。年を重ねたんだろうな、それなりに。
イラストも不気味で美しくて善き。
このシリーズ、良いですね。

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2023年10月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

途中で、あ!キリストの話かっと気付いた。何だか日本的な雰囲気が漂っていて不思議な後読感だった。
太宰治っぽい、ネチネチ、だらだらした独白で、私は好き。

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2025年04月23日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公はキリスト教のイスカリオテのユダ。

っていうのは最初のころにわかった。ので、ラストの一文に驚きはなかった。
ただユダ視点で考えるとなぜイエスを裏切ったのか?という問いに対し、銀欲しさなどではない。イエスへの鬱屈とした愛情と独占欲、という解釈は面白かった。
一言、お礼を言って欲しい。自分だけを見て欲しい。特別な女を作らないでほしい。
「旦那様」と訴えているが、凄く混乱している感じで、押し付けがましい信仰心なのか、同性愛なのか、どっちかなあ、と思った。

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2024年12月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

もっと絵があればいいのに。が最後まで読んだ感想。
何故か冒頭からすごく早口で話している感覚で途中ついていくのに必死だったが文字を追う目がどんどん先をいき、途中文字から目を離さないとどんどんエスカレートしていく。文字をこんな早く、急かされるように読む感覚は初めてでびっくり。そして、誰が話しているのだろうと思っていたらあんなに忠誠心を示して自分がいかに想っているか語り尽くしていたのに最後に裏切り者だと知る。どんでん返し。

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2024年08月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「旦那様…」との書き出しに、主人公は女性と思いきや、まさかの、かの有名なユダ!ユダがこんなにもイエスを慕い、愛し、敬い、トクベツの情と行動を捧げてきたのに、それに期待するほど応えてくれないのは、あまりにも悲しい。片思いの辛さというべきだろうか。
この人だけには分かってもらえたと思うときがあっても、本当のところはそうでもなくて、ユダの寂しさ、辛さが伝わってきた。太宰治は、心の機微を描くのがとてもうまいと思う。この寂しさ、私も分かるところがあり、とても共感できた。

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2024年01月31日

Posted by ブクログ

ネタバレ

イラストはよく分からなかったが、途中からキリスト教っぽいと思ってやっぱりユタで嬉しかった。
聖職者の隣にいるのも大変だと思った。
太宰治らしい、暗いけど惹かれる話だった。

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2023年10月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

内容はかなりうろ覚えだったが、一人称の語りから透けて見える心の動きがうまくて、もどかしくて、面白い。
知識がある方は、「あー、あのくだりね」となるのだろうか。再読だが、前回も同じことを思った気がする。進歩がない。
このような手に取りやすい形になって、再読できて嬉しい。

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2025年01月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「私」は常に「あの人」への羨望と嫌悪、愛憎を拗らせていた。物語の終盤「あの人」の唐突な振る舞いに対して、「私」は「あの人」は寂しさを抱えているのだと慮り、背信を取りやめようとする。その瞬間だけは「私」にとって「あの人」は神ではなく、2個上の自分と同列の人間であり、引け目を感じることなく愛せる対象になったのではないか。「私」にとって「あの人」は手が届かないからこそ惹かれ、手が届かないからこそ口惜しい存在だったように思う。

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2023年08月09日

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