あらすじ
毎日が退屈だ。楽しいことなんて何もない。授業を受けるだけの日日を過ごす男子高校生のカヤは、16歳の誕生日を前に謎の少女チカと出会う。美しい目を光らせ不思議なことを話すチカ。彼女は異世界の住人らしいのだが、二つの世界では奇妙なシンクロが起きていた。そして、チカとの出会いを重ねるうちカヤの心にはある変化が起き……ひりつく思いと切なさに胸を締め付けられる傑作恋愛長編。(解説・菅波栄純)
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Posted by ブクログ
カヤの考え方が自分の日常と重なって共感が高い本だった。一番好きなシーンはチカとカヤが犬の話をしている時が一番好き。チカの罪の考えが柔らかく自己肯定感が低い、重く考え過ぎてしまう人の悩みがフッと軽くなる言葉が刺さりまくってしまった。一章と二章に分かれていて一章でチカと拒絶してしまう所で泣く、二章でカヤがチカを忘れたくないの所で泣ける。この本は記憶を消して、もう一回読んで2回泣かせてくれたい。そして、読み終わった後にもう一度となぞる、永遠の住野よるファンにしてくれた。そんな本でした。
Posted by ブクログ
独特な世界観。最後、チカと出会って欲しかったけど、この物語が住野さんが書きたかたった物語として納得するしかない。結局、もう1人と会っていたのはアキなのだろうか?ーカヤに感情移入しすぎて、チカとの思い出とても切なく、心を締め付ける思いがする。している。
Posted by ブクログ
隙間時間に少しずつ読んでいきました。半年かけて読んだと思います。このお話は、あの時確かに抱いた恋愛感情が跡形もなく去っていく感覚をほのかに汲み取れて、哀愁漂う世界観となっています。この本は、その時にしか味わえない感覚を言葉で紡いで説明していました。
住野よるさんの作品は、私の人生をなぞるような場面がところどころあります。なのでひょっとしたら、未来に繋がるような所も書かれているのかも?という変な期待もしてしまいました(笑)。
例えば、カヤの生き方は私の故人に通ずるところがあり、チカは私に似ているなと感じました。カヤは人を好きになれない。ただ平穏な日々を送る。チカは恋愛を知らない。自分の部屋で好きなことを表現する。この生き方と環境が異なる二人が出会う物語に、ときめきを感じました。
特に、カヤがチカに恋愛の形を言語化して教えるときのカヤが微笑ましかったです。カヤに対する気持ちは強烈だったのに忘れて、カヤと結ばれることがない結末になったのが切なかったです。それと同時に、カヤの成長を感じました。チカが好き「だった」気持ちを認め、今あるものを積み上げていく選択をしました。
Posted by ブクログ
未知の生物と触れ合っていく主人公の心情の変化にハラハラドキドキさせられた。その気持ちを無理やり押し付けようとする様子は悲しくなるものだ…
Posted by ブクログ
毎日をつまらなく感じていた学生時代に突如現れた異世界の女性。色々と制限はあれど本人からしたらこれほどまでに刺激的な生活は無かっただろう。いつしか恋をしてその人の為に何かをしてあげたくなる気持ちは共感できた。しかしそれほどまでに印象的だった出来事ですらも時間と共に感情は薄れていく。これを寂しいと感じる事はあるけど今の自分を形成した大事な出来事でもある。過去の経験を持った今の自分を好いてくれる人物と出逢えたのなら今はその人を大事にすることを一番に考えて生きていきたいと感じた。
Posted by ブクログ
ちょっと難しかったけど、読んでよかったなと思う。もう一度読み返したい。
初めは、どこが恋愛小説なんだろうって思った。あんな人生に希望もない人が誰かを好きになるなんて思わなかったし、チカと出会っても姿の見えない人を好きになるわけないと思ったから。でも、読んでみたら今まで読んだことのない、新感覚の恋愛小説だった。
前半は、カヤに聞こえない言葉がどんなものなのか、カヤの世界とチカの世界は自分が今生きている世界の未来なのか過去なのか、想像しながら読むのが楽しかった。
人間誰しも色んなことを忘れながら生きている。とびきり嬉しかったことも、とんでもなく辛かったことも、大好きだったあの人への気持ちも。その時の感情はその時限りだから、その時々の感情を大切にしたいと思った。特に「初めて」の時。歳を重ねると「初めて」がどんどん減っていくから、初めての時の純粋な感情を大切にしたいし、楽しみたい。
所々に出てきた「見つからないように」っていう言葉、なんだったんだろう。これだけはカヤの世界でもチカの世界でも何の妨げもなく通じている言葉だったから、最後に種明かしがされるのかなって思ってたけど、されずに終わっちゃった笑
Posted by ブクログ
「だから今、その自分の心と大切なものに恥じない自分でいなくちゃいけない」475ページ
出来事を事実としては記憶できても、感情は忘れるからこそ、こういう生き方は大事だと思った。
カヤは終始クソだと思ったが、紗苗となんだかんだ上手くやっていきそう。
「見つからないように」って何?
結局チカはどういう存在?アキとの関係性は?
謎がたくさん残った。前半はあまり面白くなかったが、大人になって紗苗と再開してからは割と面白かった。とりあえず、「自分の心と大切なものに恥じない自分」という言葉が好き。大事にしたい。
Posted by ブクログ
現実世界とは変わっている世界の住人との話で少し変わっている物語だった⋆͛⋆͛ 男の子のこの世界がしょうもないという姿勢で自分とは違う世界の見方なのが興味深かった。クラスメイトの呼び方や歌の伏線回収がとても面白かった。歌が現実にあったらいいのにと思いながら読んでいたから本当に聴けると分かったときわくわくして即聴きました^^
Posted by ブクログ
いた。
したかった。
なりたかった。
信じられた。
心の中に湧いたもの全て。
全て、過去の想いだ。
その想いを現在の形ですくい取ろうとすれば、
それらは砂のように崩れ指の間をすり抜けていく。
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住野よるの作品は良くも悪くも強烈な読後感が残る。
そして、微妙に共感できそうでできない主人公も特徴の一つだと思う。
でも、何故か共感できないはずの主人公の感情に、引き込まれるだけの勢いがある。
タイトル回収が気持ちいい。これも特徴の一つかも。
『この気持ちもいつか忘れる』
「記憶」を忘れることと、「気持ち」を忘れることを分けて描写しているように感じられた。
後者は、引用箇所のように想いが過去形になった時に「忘れる」という表現をしていてすごく納得がいった。
思えば、自分だって「気持ち」を忘れながら生きている。
忘れなければ自分の気持ちがいつまでも居座り続けてしまう。新しく気持ちが生まれくなってしまう。
何も感じられなくなってしまう。
「気持ち」を忘れるという機能は、「今」を生きていくためにあるのだと感じた。
Posted by ブクログ
つまらない世界、つまらない人々、つまらない自分。そんな自らの世界を丸ごと変えうる何かを探し求めるカヤ。読んでいて、これだけイライラさせる主人公も珍しい。とにかく特別な体験を求め、それ以外のものは全てつまらないと一蹴する。なんだかラノベの主人公に極端に憧れているだけなのに、自らが特別な存在であると勘違いしてしまっている中高生感が否めない。それだけこのカヤは見ていて嫌悪感を感じるが、これはつまり何者でもない読み手である自分に対する嫌悪感なのだと、読んでいて思ってしまった。
大人になったカヤ。再会したクラスメイトの斎藤と付き合うことになる。斎藤、めちゃくちゃ可哀想。だけど、この斎藤が全て変えてくれる。本当にいい子。まじで。
「忘れてもいいんだよ」と、声をかけてくれる。これは刺さった。カヤと共に、読んでいる自分まで許された気がした。今のこの気持ちも、いつか忘れるかもしれない。でも、それでいいんだと、今後は考えることにしよう。
Posted by ブクログ
最後まで読み終えることができて良かったと思える作品だった。
正直に言うと序盤とチカに会えなくなってからは、この作品最後まで読み切れるかと不安に感じた。
まるで自分のことを見ているみたいだったから。
決して異世界人と恋をしたわけじゃないけど、私も痛い人間だし、高校生の1年間でした恋が10年経っても忘れられないという経験がある。
途中までは「なるほど。私の突風もすでに過ぎ去ったのか。やはり、惰性で生きるしかないのか。」と痛い人間らしく思っていた。
どんな恋愛小説を読むより、今を生きようと思えた。
あの気持ちもいつか忘れる。
今の気持ちもいつか忘れる。
Posted by ブクログ
うーん 前半は、つまらないと全てを否定する高校生
の呟きがつまらなくて読み続けるのが辛かった。
プロット的には大した意味はないと感じ取れて、カヤ
が一生懸命に模索していたチカの世界との共通点や違
い・影響力にはさほど興味が持てなかったことも理由
の一つかもしれない。
大人になっても相変わらずなところにうんざりしたが、
冷ややかに相手を分析しながら言葉を選んだり、打算
的なところは誰にでも多少はあると思う。
ただ、常にそういう気持ちを意識して生きている事が、
カヤがある意味真面目で、人生を真剣に考えている証
なのかもしれないと思った。
深く考えすぎず、ある程度適当に生きてる人はかなり
いると思う。
良くも悪くも、人間は忘れる。
当時の気持ちは忘れてしまったかもしれないけど、大
切だったと言える人がいた、特別だったと思える思い
出があるのは事実で、それだけでも幸せな事だとカヤ
には気づいて欲しい。
刺々しさは無くなったけど、カヤが心から笑え、楽し
いと思ったり、人を愛せる日が来るのか心配になりな
がら読み終えた。