【感想・ネタバレ】DEEP LIFE 海底下生命圏 生命存在の限界はどこにあるのかのレビュー

あらすじ

これまで生命が存在しないと思われていた「海底地下の世界」。
しかし、そこには地上を超える豊かな「生命圏」が広がっていた!

海底下の掘削調査で採取された「地質コア試料」から発見されたさまざまな微生物群。
・微生物たちはいつからそこにいて?
・なにから栄養を摂っているのか?
・なぜ超高温・超高圧(アッチアチのカッチカチ)の世界に耐えられのか?
これらの謎を追っていくと、そこには、これまで考えられていた生命観とは違った「生命システム」が見えてきます!

海底下深部からの地質コア試料から培養された古細菌(アーキア)には、御年・数千万歳を超えるものも!!
120度以上の高温、海底下2000メートルの高圧世界でも生き続ける!
食べるものがない「超貧栄養状態」を微生物たちは、どのようにサバイブしているのか!?
微生物の生命維持の限界はどこにあるのか?

地球科学はもちろん、生命の起源やその存続の謎へと迫っていくサイエンスのおもしろさを、実際に行われた「海底下生命圏科学掘削調査」の歴史とともに臨場感あふれる筆致で紹介していきます。

著者は、大学院生時代に出逢った科学誌「science」に掲載された「海底下地質サンプルからの微生物発見」の論文に衝撃を受け、その後、さまざまな科学掘削調査に参加、さらに海洋研究開発機構(JAMSTEC)が運用する地球深部探査船「ちきゅう」の調査航海を指揮しながら、極限環境に生きる微生物の調査を行っている研究者です。

海底地下の世界から「生命とは何か」という根源的な問いをもとに、「地球-生命システム」という大きな展望へと広がっていく、サイエンスのフロティアを紹介します!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

学問の原点は人間とは何かを知りたいという欲求だと思う。
宇宙に広がる世界は夢やロマンに溢れて耳目を集めるが、足下の海底世界に未知なる生命の世界があることを分かりやすく教えてくれる好著。人間は何処から来たのか、考えさせてくれる。

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2023年06月08日

Posted by ブクログ

海底の下に生命はあるのか考えたこともなかったが、微生物が生きていた。生物の限界はどこまでなのか、我々の世界とどう影響しあっているのか興味深い。

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2023年09月07日

Posted by ブクログ

ブルーバックスということもあり、かなり内容は専門的だと思います。それなりに用語も飛び交っている感じ。

結構、研究活動の中身・紹介が多めなので、そういう部分に興味がある人は更に面白いかなと思います。

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2023年06月20日

Posted by ブクログ

まずタイトルからして、勝手に海底に住んでいる深海生物の話と想像していました。
実際読んでみると海底地下世界とは、海の底を掘削した先の世界だったことに気付き、自分の想像もしていなかった世界がこんなにも拡がっていたことに驚きました。
こんなことを人類は行っていたのかと自分の無知を恥じ、同時に新しく入ってくる未知の情報に胸を踊らせました。
ブルーバックスシリーズは初めてでしたが、この一冊だけでは知識ではなく情報に留まってしまいそうです。他の関連した分野をまた読みたいと感じました。

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2023年06月13日

Posted by ブクログ

献本御礼。
タイトルパッと見では、深海に纏わる知見が想起され、深海魚好きとしての興味が湧く。しかし、サブタイトルの"海底下"や"生命存在の限界"といった文言に触れ、自己理解の上を行く(この場合は下を行く、か?)ものと気付く。この時点で、本書に対する好奇が増す。
まず、プロローグで提示された、堆積層やらマリンスノーやらの図を見て、何となく小説"八月の銀の雪"を思い浮かべる。『そういえば、同作でも海底よりもっと深い、未知の世界が魅力的に描かれていたっけ』みたいな。全然本筋と関係ないけど。
そこから、宇宙開発と並行して進められた海洋掘削の歴史が書かれるんだけど、華々しい宇宙に比べると、何となく地味な印象。後半に書かれているように、そのイメージは間違っておらず、やっぱり開発費はだいぶ違うみたい。もったいない。
専門家ならではの見解だなって思えたのは、海底下微生物にしてみれば、地表の世界はエネルギー競争と自然淘汰が繰り返される世界で、全く穏やかでないと見えるかも、ってところ。どちらが幸せなんでしょ。
通読しての展望は、人類史上初のマントル到達は、大きなパラダイムシフトになるってこと。生命の起源としての微生物研究のみならず、資源開発とか地震対策とか、期待される方面は多岐にわたる。地学って、本当に学ぶ機会を逸し続けてきた分野だけど、今後は要注目だな。

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2023年06月13日

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