あらすじ
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。
どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。
鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。
一方、自殺専門の殺し屋「鯨」、ナイフ使いの天才「蝉」も「押し屋」を追い始める。
それぞれの思惑のもとに──。
「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。
疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
伊坂さんの書く殺し屋ってなんでこんなに魅力的なキャラが多いんだろう!
一人一人のキャラが濃くて、その周りとの関係性も良くて、伏線の張り方もよくて…!絶対もう1回読み返したくなる( ¨̮ )
【印象に残った台詞】
「じゃあな。死んでるみたいに生きたくない、ってのは本当にいい台詞だ」
「無関心でいるといつの間にか洪水に呑まれてるんだぞ」
三人の視点が交互に語られ物語が進んでいくスピード感が最高。
比与子が孝次郎から住所を聞き出し、これから非合法な連中が槿の家に押し寄せてくる、という場面にハラハラした。
最後に寺原が死んだとなって、どうしてだろうと思ったら最初の若者が伏線だったとか、その正体もしっかり示唆されていたとかさすがと驚いた。
Posted by ブクログ
10年ぶりに再読
10年前はさらっと読み飛ばしてしまっていたのだろう
感想がだいぶ異なったものになった。
165p 兆候はあるんですよ、幻覚のしるしは。目の前の信号の点滅がちっとも止まらなかったり、(中略)この列車ずいぶん長いなぁ、なんて思ったら、まずい兆候ですよ。信号はたいがい見始めの契機で、列車は目覚めの合図だったりします
22p この信号いつまで点滅しているんだよ。
335p 回送電車は、まだ通過している。
冒頭が幻覚の見始めの契機で
最後が目覚めの合図だとすると
実は全て幻覚?
さすがにそんなことは…?
そんなあやふやな感覚を持たせて
非現実的な、まさに夢だったのではと思うような体験をした鈴木と読者を重ねさせたのだとしたらまさに天才的
もはや10年前の自分は何を読んでいたのだろうか。
Posted by ブクログ
蝉、鯨、押し屋、主人公のそれぞれの視点で物語が進んでいく。
スピード感よく、ハラハラドキドキをちょうどよく維持したまま物語が終わる。
各殺し屋の殺し・バトルシーンの描写が細やかで描写が想像しやすい。その点もハラハラ感に寄与しているのではないか。
殺し屋シリーズの始まり
正直2.3.4作目の方が好きだけど、、。
まさにハードボイルド、殺し屋シリーズ大好きです。
人がどんどん死んでいくし結構表現もグロめだけど、淡々と描かれていく。最後にきっちり助けてくれる押し屋流石です。蝉が1番好き、どの殺し屋も死ぬ時に悲壮感が無くてかっこいい。
Posted by ブクログ
妻の復讐のために生きるごく普通の人間の鈴木と、殺し屋の鯨、蝉という全く違う境遇の3人の物語が絡み合いながら進んでいく過程は、どのような決着を見せるのか分からず楽しみにしながら読み進めた。それだけに、クライマックスらしいクライマックスがなく終わったのは少し消化不良だった。鈴木が日常を取り戻そうと妻と出会ったビュッフェに行き、「劇団」の子供たちとホーム越しに出会うラストは、爽やかだった。
Posted by ブクログ
三人の主人公の視点で描かれる。気づいたら1つずつ減っていく。
最後は1個になる。その書き方はおもしろいけど、続編を特に読みたいとはあんまり思わなかった。
Posted by ブクログ
何気なく手に取ったらものすごく面白く、殺し屋シリーズは全冊購入。(現在文庫化されているAXまで)
文字だけなのに、殺し屋同士の戦闘シーンには臨場感や迫力がありとても面白いです。
容赦なく人が死ぬところもまた良い。
好きな殺し屋:鯨
Posted by ブクログ
2年前に妻を轢き逃げされた中学校教師の鈴木は、犯人が違法薬物を売る悪徳会社「フロイライン」の社長・寺原の長男だと知ります。鈴木は、復讐のため「フロイライン」に入社し、機会を伺っていました。人寺原長男もやって来ますが鈴木と比与子の目の前で道路を横断しようとした彼は車に轢かれてしまいます。その光景は不自然であり、それは「押し屋」と呼ばれる、業界でも有名かつ正体不明な殺し屋の仕業でした。
押し屋の行方を追うようにフロイラインの社員に命令された鈴木は、押し屋を追っていきます。
一方、催眠のような特殊な力で相対した相手を自殺させることができる殺し屋の鯨(くじら)、ナイフ使いの殺し屋の青年・蝉(せみ)もそれぞれの事情から押し屋を追っていきます。
すごいスピード感のある小説です。
押し屋による事故、偶然の出会い、幻覚、多数の人間の錯綜する目論見など、物語は主人公、登場人物の制御不可能な感じで広がっていきます。善悪すらよくわかりません。作中に出てくるグラスホッパーはバッタを意味しています。主に 「大きな流れに押されて白にも黒にもなる小さな存在」 といった象徴でしょうか。
そんな中で主人公の鈴木だけが日常に戻ることができます。亡き妻との会話の中で、「生きているように生きる」という決意を固めます。しかし、そんな鈴木の思いも、最後の回送電車によって少し煙に巻かれたようになっていきます。
最後の最後まで、まるで彷徨っているような気分にさせる小説でした。
Posted by ブクログ
さて、伊坂二作目。
まったく事前情報なしで手に取る。『楽園の楽園』で感じたタイプとは異なるハードボイルドなストーリーだったのでその点は若干残念ではあったが、単純に面白く一気に読んだ。現実感があるかと問われると、どちらかと言えば寓話的なのかもしれない。どうだろう。
グラスホッパーは、スズメバチやら鯨やら蝉やらが出てくるのでそういうったものの一つかと思ったら、もっと一般的な話。バッタに見られる群衆相を殺し屋に見立てたというところのよう。
飛びバッタの物語。
キャラクター描写がうまく、生き生きとしている。そうか人ってこんなに個性豊かなんだな、と思う。キャラ立ちしているので、俳優だったらだれかな、と考える(既に映画化されているらしいのですが)。
語り部は三人いるが、主人公は鈴木という一人目の語り部。“鈴木”という苗字が、その"没個性”性を象徴しているのだと思うが、なぜか思考回路は一番謎。理解できない。そういう意味では彼も飛びバッタなのかもしれない。
伏線回収がうまく、あーそういえばそういう言及あったな、と張られたいくつかの伏線を後から確認すること数回。構成が上手。
特にスズメバチは、前に3回(他に見逃していなければ)伏線があったのに何も気づかなかった。執拗に囚われた男女に言及しているのはそういうことだったのか…。
一つ思うのは、やはり居場所かなー。中にGPSという言葉が出てくるので、執筆(出版)2004年当時も位置情報を知る方法はあったと思うのだけど。できなかったのかな。でもまあ、現実世界はともかく、「できない世界」と考えて読むのが正解なんだろうな。
ラストは主人公はなんとか生き延び平穏な生活に戻るが、何しろ話中人があっさりと亡くなるし、「実は…だった」があるので、物語が終わるまで油断ができなかった。最後のシーンが電車のホームだったこともあり、鈴木は最後押されるのでは、という疑いを払いきれず。